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世の素敵作品を勝手に語る

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個人的推し作品や作家さんへの愛を140字で吠えます。19-20世紀多めかも
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井上安治(1864-89)は小林清親の弟子で、夭折の絵師として知られています。 西洋画のような臨場感を持つ清親の作品に比べ、風景をより平面化させた、合理的且つ「浮世絵らしさ」が特徴のように思えます。 《銀座通夜景》1882-89頃

揚州周延(ようしゅう ちかのぶ 1838-1912)明治の浮世絵は「美術」というよりも史料としての価値が高く認識されている印象があります。着物の一部に使われている極彩色がお洒落で見ていて飽きません。《幻燈写心競 女史演説》1890年

有元利夫(1946-85)一度見ると永遠に脳裏を漂い続けそうなジワリとくるプロポーションの人物画でありながら優しい印象を受けるのは、彼の作品が中世の西洋絵画や日本の仏画など「祈り」の宗教画に根ざしているためでしょうか。

ホリー・ワーバートンの幻想写真。写真を組み合わせて非現実の世界観を構築する試みはコラージュのよう。作中の人物は生き生きとしており、幻が現実として躍動しているようにも思えます。

シャルル・マルタン(1884-1934)のイラストは淡い色遣いと大胆な構図が軽やかでお洒落。アールデコ作家の中でも一際キュビスム的な傾向が強い気がします。サティ作曲『スポーツと気晴らし』はマルタンの絵の構図をサティが楽譜上に置き換える意図で出来たらしいですね。斬新。

セム、本名ジョルジュ・グルサ(1863–1934)はベルエポック期の風刺画家で知られます。パリの情景を描いた風俗画は落ち着いた色遣いが多く、それぞれの人物描写にリアリティがありながらも軽やかに描かれています。

小林清親(1847-1915)といえば西洋絵画の技法を取り入れた光線画でしょうか。活気ある江戸の浮世絵に比べ影絵や薄明かりなど光の演出が強く、情緒的でノスタルジックな印象を受けます。江戸から東京の時代の境目に想いを馳せてしまいますね。『柳原夜雨』(1896)