見出し画像

地域の宝の在来種

みなさんこんにちは株式会社大豆カンパニー本木です。 (2016年執筆)
私たち大豆カンパニーは全国2位の大豆生産面積である宮城県で大豆問屋を営んでいます。私で2代目になりこの大豆の仕事を始めてから今年で17年をむかえます。元々当社は父である先代の社長が株式会社エムアールとして創業した会社で、輸入大豆の販売をメインで行っていました。
父が大豆を熱心に追いかけている姿がカッコよくて、当時私は大学に通っていましたが、いつか自分も一緒に働きたいなと思うようになりました。
そうこうしているうちに働いていたスタッフの方が辞めたこともあり、大学を中退して一念発起、思い切ってやってみよう!と入社したのが始まりです。
(大学1年生の時、単位が悪すぎたことも理由としてあったかもしれません(笑)

入社後右も左もわかりませんでしたが、反抗期もあり父に色々聞いてからやるのも嫌で、最初はとにかくサンプルをバックに詰めて一人飛び込み営業をずっとしていました。当時は輸入大豆をメインで販売していましたので特に他社に比べて売りになるような事がありません。当然のように価格競争の波にのまれていき、安ければ売れるけど高ければ売れないという状態になりました。「安ければ売れるのであれば!」となるべく経費をかけずに1人で1日1,400袋運んだり、遠方でも高速道路は絶対乗らないで夜中帰ってきたり…。身体も悲鳴をあげていたと思います。結構腰がやられましたね(笑)
そんな日々を何年か過ごしていくうちに仕事のやりがいというものを感じられなくなっていったのを今でも覚えています。(金額は書けませんが給料もかなり安かった…)

そんなある時、山形の庄内地方に行き農家のおばちゃんから「おめえ、この豆知ってっか?」と見せられた大豆があります。
その大豆は緑色で極小の今まで見たことの無いものでした。みなさん「それ黒神大豆でしょ!」とピンっと来たとは思いますが、当時私は衝撃を受けてそこから「もっともっと面白い大豆って全国にあるんじゃないか?」と思い、在来種を探す旅(ネットサーフィン)をはじめるようになりました。
色々調べていくうちに、赤や茶、くらかけ豆のようなツートンカラーなど、日本には2000〜3000品種もの大豆(集約すればそこまではないと思いますが…)があることがわかり、「大豆ってすごい面白い!」と思うようになりました。
そこからマニアックな大豆の収集をはじめ、ちょうど差別化したお豆腐を作りたいというオファーも増え、すごく仕事が楽しくなってきました。その頃からかな、本当にこの仕事が天職と思えるうようになりました。
ですので私にとってこの「黒神大豆」は特別なものなんです。人生を変えてくれたと言っても過言ではありません。
青豆豆腐の色つけやきな粉に使われることが多い品種ですが、ちょっと控えめなところも大好きです(笑)

産地周りをして、生産者さんの話を聞きながら地域の宝などそういう「味」のある話を聞けるのもこの仕事の魅力です。
これからも亡き父の大豆を追いかけている姿を思い出し、私も人生かけて大豆の可能性を追いかけていこうと思っています。