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ウマくはゆかぬ

巨星の引退と共に魑魅魍魎が跋扈跋扈する。

2024年12月22日 中山競馬場
時期と競馬場名で、『有馬記念』が思い浮かぶ人はどのくらいいるのだろうか。競馬の馴染みのない方でも一度は聞いたことがあるかもしれない。世代最強馬を決める日本ダービーと、その年の最強馬を決める有馬記念。この2レースは数々のドラマを生み出してきた。

年の瀬のレースであり、1着本賞金最高峰5億円のこの大一番は、数々の名馬の引退レースとして使われてきた。芦毛の怪物オグリキャップや奇跡の名馬トウカイテイオー、日本近代競馬の最高傑作ディーイプインパクトもこのレースで有終の美を飾り、第二の馬生へと歩みを進めた。

だれもが今年の有馬記念の主役はドウデュースだと思っていた。2歳でG1朝日杯を勝利し、3歳時には日本ダービーを勝利し、4歳では先に引退した同世代の名馬イクイノックス不在の有馬記念を勝ち切り、今年5歳でも天皇賞・秋、ジャパンカップと秋古馬G1を連勝してきていた。もちろん陣営も有馬記念を引退レースとして公表していた。
昨日12月19日の枠順抽選会では、1枠2番が確定していた。コースの特性上有馬記念では内枠有利とされており、誰もがドウデュースの勝利を確信したことだろう。たとえ勝利を確信できなくとも単勝ドウデュースの馬券を握っておくことが競馬ファンの流儀とも言える状況が整いつつあった。有馬記念を勝てばG1、6勝でイクイノックスと並び、秋古馬三冠の達成、獲得賞金ランキング歴代1位も見えていたのである。

あまりにドラマを背負いすぎたドウデュースに関して、今日夕方衝撃のニュースが流れる。

右前肢ハ行のため出走取り消し


このニュースをXで見た時、信じられずに目を何度か擦った。何度見てもその文字は変わらない。有馬記念への出走は取りやめ、そのまま引退へと向かうそうだ。小さな不調でも500kgの馬体でじそく60km/hで駆けるサラブレッドには命取り。

馬主・調教師の方々もこれから種牡馬としての余生のためにも苦しい決断をされたことだろう。
いち競馬ファンとしてもどんなドラマが生まれるのかワクワクしていた分喪失感はある。

しかし、数年後にはドウデュースの子供たちが競馬界をリードしてくれることを楽しみにしつつ、今年は他の馬達がどんなドラマをつくりだくれるのか楽しみである。

下馬評では枠順、勢い的にも3.4歳馬が人気しそうである。
一方僕は、シャフリヤール、ディープボンドあたりのさらに年上達が最後にギャフンと言わせるレースも見てみたいと思っている。

なかなかうまくはゆかない世の中でも、時間は続いていくので、どんな状況でも楽しめるような余裕を持っていたい。