実験のセンス 2014年12月02日
スポーツ界には迷信と真実が入り混じっている。ナンバ走りであの選手は速くなったという話が広がると、ナンバが流行る。ナンバが万人に効くのかどうかはさておき、結果から原因を推測する。イチロー選手がカレーを食べていたからカレーにメジャーリーグで成功する秘訣があるのではと勘ぐる人は少ないけれど、トレーニングになるとそういうものは多い。
本当に効果があるものとそうでないもの。迷信と真実。それらの違いをどう読み取るのか。科学が証明してくれるのを待っていてはトップのスポーツでは間に合わない。科学が証明すれば広く常識として共有されるということで、価値が低くなる。誰も知らないことだからこそ価値が高い。
自分の人生で証明するには実験しかない。ウォーミングアップで20分ジョギングを一週間してみる。翌週にはウォーミングアップでスクワットなどのウエイトトレーニングを20分することを一週間続ける。どちらがより良かったのかをその後感覚や数値化されたものも含め評価する。そしてよりよくしていく。
実験が少ない選手は、質問しても理屈しか言わない。正しいから、すごい選手がやっていたから、これまでもそうだったから。実験がない選手は疑いがない。今より良くなるのではないかという姿勢がない。自分が習慣的にやっていることを疑えない。検証してどちらがよかったかという比較がない。つまり行動が変わらない。
会議に出て喋ってみた日とそうでない日。座る場所を変える日と変えない日。なんだか自分が変われないと言いながら、何も変えてない人もいる。自分の習慣によって相手の行動も規定される。
能動的にトレーニングをするということは、自分で何かを変えてみてその結果を注意深く観察するということ。そうして知見が溜まっていき、迷信と真実は分けられ、独自の戦い方が生まれる。指示待ち人間は自分には実験する権限があることを知らない。今日も私にはなにかを変えてその結果を観察する権利がある。