「新しい挑戦は素晴らしいことだと、おじいちゃんは思うよ」
「未来のためにできること」を考えようとしたのに、本棚の横にある昔のアルバムを開いてしまった。
写真にはタバコを加え、子ども頃の僕を抱えた祖父がいる。「子どもの近くでタバコは吸わないでね」という習慣を知らないまま、祖父は他界した。
未来のためにできること。そして、子どものためにできること。祖父にとって、孫である僕は、未来を感じる存在だったのかもしれない。
ある時期、僕は「出版社 兼 カフェ」なるお店を立ち上げた。出版の経験も、飲食店の経験もない無謀な挑戦だった。
それでも祖父は言った「新しい挑戦は素晴らしいことだと、おじいちゃんは思うよ」と。
ー この挑戦は2年で幕を下ろした。
「出版社」と言いながら、本の作り方がわからず、右往左往していると、人を通じ、人に出会った。再び迷子になると、親切に案内をしてくれる人に巡り合った。奇跡の連続みたいな日々だった。
「今日の売上0円」が確定しそうなとき、開かずの扉が開き、常連さんがやってきた。お会計のときに受け取った1,800円で涙があふれた。ジェットコースターのようなリズムで喜怒哀楽がやってくる。
祖父の言う通り、新しい日々はワンダフルだった。
ところで、祖父のひ孫である僕の息子は、ゲーム解説のYouTuberになりたいようだ。
ただ祖父はYouTuberを知らないから、クエッションマークかもしれない……と思ったが、僕が伝えた「出版社 兼 カフェ」も似たようなものか。
だから、もし、ひ孫の声が届いたなら「その挑戦は素晴らしいと、ひいおじいちゃんは思うよ」と、きっと答えてくれるのだろう。
そうだ、ひ孫の夢と一緒に、僕の話も聞いてほしい。
ー おじいちゃん、次はこんなことを始めてみようと思うんだ。
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