秋の昼寝
つい昨日まで蒸し暑くて適わなかったが、ここに来て急に季節が秋へと、思い出したように歩みを進めた。
連日、休む間もなくフル稼働していたエアコンも、今日は稼働することもなく小休憩。窓を開けて、ちょっと曇った空を窓越しに眺めながら布団に寝転がり、本を読む手を止め微睡む時間は、何者にも代え難い幸せなひと時である。
昼寝が気持ちのいい季節になって来たなと、密かに思ったりする。人生と同じだなと、ふと思ったりする。
手間をかけず、こんな幸せな時間を過ごせる秋も、人生の中では短い。昼寝が気持ちいいなと思えるのも、また一年の中でそれも短い。
どことなく幸せな時間と似ているなと、タオルケットをかけていないと、ちょっとひんやりするふくらはぎを片足の甲で擦りながら、目を閉じて微睡みながら思ったりしている。
こんなに幸せなことはない。
もう少し寝ていたいなと思う時に、起きるぐらいがちょうどいい。
幸せを感じるのもそれぐらいがちょうどいい。幸せを感じ取る気持ちが鈍って、不平不満を言ってしまいそうだから。
夕飯の支度をしなければならない。そう思って起きるのがちょうどいい。
短い、そして幸せな、昼寝には持って来いの秋の始まりである。
2024年9月22日 書き下ろし