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真夜中の感謝状

 街を歩いていると、またこの匂いがしてきた。秋の訪れを知らせるキンモクセイである。ずいぶん昔だったら、春夏秋冬もそれぞれ堪能できるくらい一定の期間があったものだが、この一〇〇年で春夏秋冬も大きく変わってしまった。

 街を歩いていると、あちこちでコスモスを見かける。コスモスは私にとって、そして私の母にとって特別な花である。それはずいぶん前にエッセイにも書いたのだが、子供の頃の私と母を結ぶ共通の思い出の花なのである。

 今年は母が大病をしたせいで、我が家の暮らしは一変したが、それでも季節はこうして巡って来るのである。

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