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大須健太・作品集 Ⅱ

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毎週水曜日に掲載している無料エッセイを集めたマガジン。
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#エッセイ

消えない物

 本当に最近のウェブニュースはくだらない記事ばかりだ。まるで吟味されたかのように並んでい…

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しあわせ貯金

 人が発する言葉というものは、それまで生きてきた間に見聞きしてきた全ての言葉を無意識のう…

「はじまりのパ・ド・ドゥ」のあとがきを書くなら

 そんなつもりはなかったが、結果として二〇二四年の集大成として書き上げたクリスマス小説「…

ふぇーどあうと

 ここ数十年の間に、日本のお正月というものがどんどんと変わってきている。これを掲載する頃…

柱時計

 昨日、二〇二四年が終わった。良くも悪くも、私にとっては良い一年だったと思える、そんな年…

風見鶏とアクセス数、その先にあるもの

 もうすぐ二〇二四年も終わろうとしている。いい年だったと言い切ってしまうには、まだいささ…

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本を読むということ

 大人になると、時の流れが妙に早く感じる。これは誰が言ったか忘れたが、大人になると物珍しさがなくなり、そのせいで生活が単調になり、時の流れが早くなるという。  そうは言っても、物珍しさがなくなって単調な生活が続いているからといって、時の流れが早くなるのかと言うとそうでもない気がしている。逆に、生活の糧を得るために仕事をしたり、やりたくもないことを致し方なくやっている時程、時の流れが遅いと感じることを考えると、上のそれはちょっと違うような気もする。  今振り返ると、小学校の

寿命各々

 先日、喪中の葉書が届いた。父宛である。  葉書であるから、できるだけ見ないようにと心が…

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酔っ払い

 人は時に、とんでもない事態に遭遇することがある。先日、電車に乗った際、人身事故で幾分ダ…

おいのち、いただきます

 昨年はさんまが不漁で食べる機会も少なかったが、今年は大量とみえて、これでもかと言うくら…

扇風機

 日も短くなったし、食器を洗う時に流す水も冷たくなった。もう本当に秋が来たのだなと、そう…

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追悼・大山のぶ代さん

 人間、生まれてきたからには何かしら、自分の持っている能力や才能を信じて、何とかそれを仕…

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「サンダカン八番 娼館 望郷」に見る田中絹代の生き様

 かつて、人生五十年と言われた時代があった。それは江戸時代のことだっただろうか、それとも…

秋の昼寝

 つい昨日まで蒸し暑くて適わなかったが、ここに来て急に季節が秋へと、思い出したように歩みを進めた。  連日、休む間もなくフル稼働していたエアコンも、今日は稼働することもなく小休憩。窓を開けて、ちょっと曇った空を窓越しに眺めながら布団に寝転がり、本を読む手を止め微睡む時間は、何者にも代え難い幸せなひと時である。  昼寝が気持ちのいい季節になって来たなと、密かに思ったりする。人生と同じだなと、ふと思ったりする。  手間をかけず、こんな幸せな時間を過ごせる秋も、人生の中では短