【社内報の作り方】ページネーションを決めよう
ページネーションを決める作業は、かなり悩ましいです。なぜなら正解がないから。但し構造的には、①構成要素、②順番、③分量の3つだけです。ここを理解すれば、ある程度自動的に決められます。
構成要素を考える
まずは構成です。社内報の場合、記事の性質は、ニュース記事、インフォメーション、企画記事の3つに大別できます。ニュース記事は、会社の過去の出来事を伝える記事です。この抜け漏れは、場合によっては致命的になります。情報収集力と、掲載の判断が重要です。インフォメーションは、「健康診断を受けましょう」というような、お知らせ記事です。各部署から発信事項を収集することが大切になります。企画記事は、テーマを設定して編集する記事です。特集、コーナー企画、投稿コーナーなど、テーマの決め方が命です。ここは編集者の遊び心やセンスが出る部分です。
順番を考える
これをページネーション上に表現していくのですが、WEBの場合は、カテゴリーを意識します。ニュース、インフォ、投稿、企画①、企画②、企画③という風に種別で分け、その下にコンテンツをぶら下げていくとよいでしょう。ニュース、インフォ、投稿などの更新頻度の高い記事は、ワードプレスなどのCMSで、誰でも触れるようにしておくことが一般的です。
紙の場合は、表紙、目次、企画①、ニュース、企画②、企画③、企画④、投稿、インフォメーションという流れが一般的ですが、ここに固執する必要はありません。マンネリを防ぐ意味で、毎回変える会社もあります。但し、定番記事(コーナー企画、インフォ、投稿)は、後ろのページでよいので、固定することが望ましいです。読者としては、いつものところにある安心感、また検索性の高さは重要で、どこにあるか毎回探すというのは、非常に面倒な作業です。また作り手も、基本のページネーションがあったほうが省力化が図れます。発行頻度の高い社内報は特にこうした工夫が必要です。
「枠」から決めても良い
そして分量(ページ数)です。流れを考える前に、実はこの分量から決めたほうが良いかもしれません。
WEBだと正直いくらでも増やすことができますが、身が持ちません。例えばニュースは都度更新、企画①は週1更新、企画②は月1更新など、「枠」から決めるのが現実的でよいでしょう。たまに「伝えるべきことを、伝える。分量は、勝手に決まる」と、精神論バリバリの人がいますが、案外こういう人に限って、1人で抱え込むか、実務丸投げかどちらかの困ったさんです。
紙の場合は、中綴じと言われる、真ん中にホッチキスで留めてある仕様が一般的なので、4の倍数を意識しましょう。特に経済的なのが16の倍数です。そうすると必然16ページ、32ページ、48ページと、選択肢が絞られてきます。表紙だけ別の分厚い紙で作りたい場合は、これに4ページ足し、20ページ、36ページ、52ページという具合です。立ち上げ時は、16ページ~20ページくらいがコントロールしやすいページ数です。ページ数の増加は、そのあとの確認作業、修正作業など含めると、指数関数的に作業が膨らみます。小さく生んで大きく育てる。社内報にもこの発想が重要です。
今回の1冊
今はWEBにしか存在しない「R25]。10年前は都内の駅構内に置かれ、みんなが発行を楽しみにする人気のフリーペーパーでした。著者は初代編集長の藤井氏。アウトソーシングのあり方、コンテンツの締切に応じた台割の考え方など、実務面でめちゃくちゃ役に立ちます。若手の全社内報編集者に読んでほしい必読書です。
社内報の作り方|創刊編 各記事はこちら
VOL.01 発行目的を決めよう
VOL.02 コンセプトって、どう決めるの?
VOL.03 媒体を考える
VOL.04 ルールを決める編集方針
VOL.05 デザインを決めよう
VOL.06 経営計画盛り込めていますか?
VOL.07 ページネーションを決めよう
VOL.08 コーナー企画は数が命?
VOL.09 協力者はいますか?
VOL.10 アウトソーシング①
VOL.11 アウトソーシング②
VOL.12 アウトソーシング③
最終回 誰が決めるの問題
Connecting the Booksは、これまで培ってきたクリエイティブディレクター、コピーライター、編集者としてのノウハウを公開するとともに、そのバックグラウンドである「本」のレビューを同時に行うという新たな試みです。