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こじれた話 #004 《ウイスキーはお好きです》

人それぞれの「隔世の感(かくせいのかん)」が存在すると思う。

クルマ好きの方にとってはガソリン・マニュアル車はほぼ完全に淘汰され、電気じかけのハイブリッド車やEV車がもてはやされる時代が来るとは、まさに「隔世の感」だと思う。

自分にとっての「隔世の感」は国産ウイスキーの高級化。

高校生の頃、酒を飲み始めた頃に家で飲んでいたウイスキーは国産もので、サントリー・レッドやサントリー・ホワイトなど。いずれも飲める程度(失礼!)の味のウイスキーで、輸入品のウイスキーとは質的に、雲泥の差とまで言わないが、かなり差があった。

自分に対して、父親は自分が毎晩飲んでいたサントリーのウイスキーを時には飲むことは許してくれたが、自分が大切にしていた輸入品のウイスキー、オールド・パーやグレンフィディックなどは絶対に飲ませてくれなかった。味の判らんガキに飲ませるにはもったいないと思っていたのだろう。

しかしそうなると、どうしても飲んでみたくなるのが人の世の常。親父が寝た頃を見計らって、オールド・パーやグレンフィディックをストレートでこっそり少しだけ飲んでみたら、そのあまりの美味さに驚いた。こりゃ親父が自分に飲まさない訳だと妙に納得した記憶がある。

そんな安物(失礼!)ウイスキーを量産していたサントリーが、今や高級ウイスキーメーカーの一角に成り上がってしまった。『山崎』や『響』なんかはサラリーマンが気軽に飲めるウイスキーではない。安い『角』でもそこそこの値段だ。まあ『角』はボトルが独特の亀甲彫り風なので、このボトル加工費用も多少値段に付加されているのかもしれなが…

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自分が務めていた会社の或る先輩のお父上は酒に関する独特の理論を持っておられた。曰く、美味い酒と普通の酒を混ぜると、味は美味い酒に引っ張られて、全体的に美味い酒になるとの事。

試したことはないが、この説は本当だろうか?その説を披露した先輩も試したことがないそうだから、この説の真否は未だに不明のままだ。

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またサントリーのウイスキーの話に戻るが、10年ぐらい前、街中で井川遥が微笑む「角ハイボールがお好きでしょ。」の黄色い看板を見るたびに、心の中でついつい「はい、お好きです!」と答えてしまい、ハイボールが飲みたくなった。これは自分にとって、かなり"パブロフの犬"的広告だった。

サントリーウイスキー角瓶 3代目マドンナ、井川遥
2015年8月 / 大阪市内の千日前筋にて

広告関係の仕事に携わっていたので、井川遥が売れ始める少し前に、彼女を一度だけ或る商業施設のバーゲン告知用のポスターに起用したことがある。

大きな五つ玉のそろばんを持って、元気よく歩いている井川遥の姿をバーゲン告知用のポスターに起用したのだ。キャッチコピーは「勉強します!」だったと思う。

井川遥にとっては思い出したくもない黒歴史?の一部かもしれない。こんなところに書いてしまってごめんなさい。しかし実に楽しい仕事でした。

その頃、まさか井川遥がこんなに立派な女優に成長するとは、先見の明のない私には想像出来なかった。今や井川遥はちょいと素敵なお母さん役を演じれば、かなりのものだと思う。

「うん、今宵もハイボールを注いでください!」

立派な女優に成長した井川遥に「隔世の感」を感じるのは自分だけだろうか?

ウイスキーの話がこじれて、いつのまにか井川遥礼讃になってしまった。

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あほらし屋の呆れた鐘の音が聴こえてきそうなので、こじれた話はこの辺で。

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井川遥の「角ハイボールがお好きでしょ。」ビジュアルも魅力的だが、石川さゆりの「ウイスキーが、お好きでしょ」歌声も魅力的。

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