イベントレポート:喫茶店3大チェーンをマーケティングトレース×会計クイズで分析
梅雨が明け湿気と熱気のうだるような暑さの中、外を出歩くのも嫌になりますね。営業や訪問で外出しているとクーラーの効いた喫茶店に逃げ込みたくなります。
そんな夏本番を迎えた2019年7月30日(火)、大阪でマーケティングトレースと会計クイズさんのコラボイベントが開催されました。そのイベントに運営サポートとして参加してきたのでレポートしてみます。
今回イベント会場となったのは、"新しい事業を興したい"、"支援したい"人達が集まる「スタートアップカフェ大阪」さん。仕事終わりの19時開始でしたが会場ほぼ満席になる合計20名の様々な業界/職種の方が参加してくださいました。関西大学梅田キャンパスに併設されていることもあって、学生の参加者もいらっしゃったようです。
イベントタイトルは、マーケティングとファイナンスをつなぐ思考をゲーム感覚で学べる『マーケティングトレース×会計クイズ』。
実企業の財務諸表からビジネスモデルを読み解き、さらにマーケティング戦略を深掘りできるようになることを目的に、次の2部構成でイベントは進んでいきました。
「財務数値から企業の大枠を把握しよう」by#会計クイズさん
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「企業のマーケ戦略を考えよう」by#マーケティングトレース
2時間という限られた時間ながら、財務視点とマーケティング視点で企業の分析方法を「学び」と「実践」を体験できる濃厚な時間でした。
第1部:「財務数値から企業の大枠を把握しよう」by会計クイズさん
会計クイズさんのコンテンツはその名の通り、会計知識をクイズ形式で学べるというもの。そんなコンテンツあまり聞かないよね?ということでそれだけでも興味が引かれます。さらにフラッシュプレゼンテーションでテンポの良いトークと、クスっと笑わせてくれるコンテンツを織り交ぜながら、財務諸表の比較クイズが展開されるので、非常にライブ感があって仕事/学校終わりの時間でしたが、脳を刺激してくれます。
たとえば
次の企業の内、一番「仕入債務回転期間(仕入れ債務が売上原価の何日分に相当するかを示す指標)」が長いのはどの企業でしょうか?
①ペッパーフードサービス
②SFPホールディングス
③鳥貴族
というクイズが展開されるわけです。
会計クイズさんのイベントに参加するのはまだ数える程度ですが、こんなにもカジュアルにわかりやすく会計を説明できる人はいないんじゃないか!?と思えるくらいに惹き込まれました。
クイズのテーマも幅広く各クイズ毎の解説で、各企業のビジネスモデルの違いやその特徴が財務諸表にどんな風に表れているのかも丁寧に解説してくれるので、ゲーム感覚でファイナンス基礎を学ぶことができます。
今回のイベントテーマでは財務数値から企業の大枠を把握しようということで、今回対象になったのはコメダ珈琲、ドトール、ルノアールの3大喫茶店チェーン。ドトールとルノアールの財務の違いを、ビジネスモデルや価格帯の違いから説明してくれたのは納得感があって理解しやすかったです。
第2部前半:「企業のマーケ戦略を考えよう」by#マーケティングトレース
マーケティングトレースとは、"トレース"という名の通り、その企業の業績推移やこれまでの事業展開内容など、デスクトップリサーチで情報収集した内容を整理して成功要因・失敗要因を探り、次のマーケティング戦略を考えるというインプットとアウトプットを繰り返して思考力を鍛えるトレーニング方法。「マーケターの筋トレ」とも説明されていますね。
※ちゃんとした定義はこちらを参考に↓
導入部分では「いきなりステーキ(ペッパーフードサービス)」を分析事例として紹介。いきなりステーキが急成長を遂げた裏には「特許による差別化戦略」と「PR」が大きなポイントだった、という読み解きに至った黒澤さんの分析フローを説明してくれました。
今回はマーケティングトレースの入門編ということもあり、簡易分析フローとして下記のルールを決めて、分析方法の説明と参加者全員参加のワークへと進んでいきました。
ビジネスモデルを理解する「財務分析」
↓
マーケティング戦略を立てる「STP分析」
↓
顧客に価値を届ける「4P」
ターゲット企業はコメダ珈琲、ドトール、ルノアールの3大喫茶店チェーン("3大"というのは個人的な表現です)。マーケティングフレームとして有名な「STP」「4P」の使い方から、実際の3企業のポジショニングの違いや、4Pでみた時の企業の比較など、マーケティングというものになかなか触れない参加者にもわかりやすく説明してくれました。
第二部後半:マーケティングトレース実践
そしていよいよアウトプットの時間。
ワークのお題は、コメダ珈琲、ドトール、ルノアールからターゲット企業を決めて、「自分がその企業のCMOだったら」「マーケティング戦略(STPと4Pの観点に限定)」「収益インパクト」を出す、というもの。しかも制限時間わずか30分くらい!?
これ、普段の仕事ではなかなか経験できないくらいの抽象度高×超高速アウトプットが求められるワーク内容。「マーケターの筋トレ」と表現する理由を実感した瞬間でした。
参加者の皆さん、限られた時間の中でスマホやPCなどで情報収集したり、グループ内での意見交換も積極的に行われて、何とか時間内でアイデアを出そうとされていました。
ワークの結果として、ルノアールを選ばれたグループが多く、
・チケット販売での収益ポイントを早めたり、リピート利用促進をする
・客単価を引上げるのではなくて、客層を広げる戦略をとるために珈琲だけ
でなく「紅茶」も取り扱う。ドトールやコメダ珈琲のように店舗数が多いチェーンよりも、参入障壁は低いし、新規開発ではなくリプトンや他紅茶ブランドと提携するなども検討してもいいのでは?というアイデアが上がっていました。
#会計クイズさんもこのワークに飛び入り参加してくれ 、コメダ珈琲をターゲットに、「FC展開」と「店舗開発支援」もやられているビジネスモデルに目を付けて、FC店舗数拡大の戦略案を発表されていました。短時間ながら収益インパクトまでまとめられていてアウトプットスピードの速さに脱帽…。
最後にまとめとして黒澤さんのアウトプット例の紹介。
ブランドイメージ視点でみると、ドトールやルノアールには特定商品名をイメージするプロダクトはないですが、コメダ珈琲には他の2社にはない「シロノワール」というブランドプロダクトがある強みを生かした戦略展開を発表されていました。
「シロノワール」という商品ブランドがあり、すでに菓子メーカーとのコラボ商品も出されている。その実績をさらに発展させて、既存かつシェア獲得の激しいコーヒー/喫茶店ニーズ層ではなく、シロノワールファン層という新しいターゲットの顧客層を作るアプローチと来店売上へもつなげる、という戦略アイデアです。
シロノワールファンを増やすため、コンビニに「シロノワール独占棚」を作って認知拡大プロモーションを行い、商品×来店無料チケットの仕掛けで来店につなげて、新規客層を獲得するというプロモーション企画内容。
コメダ珈琲内で検討してくれそうな具体的な企画内容でアウトプットの質が高いなー!というプレゼンでした。
こんなイメージ!?
最後に
仕事終わりのセミナーでしたが、コンテンツ盛りだくさんにも関わらずあっという間に感じるくらいに充実した2時間でした。
セミナー後も登壇者への質問や参加者同士の交流が活発に行われて、参加者皆さんの満足度が高いことがうかがえました。実際参加された方のツイートもこの場を借りて紹介しておきます!
マーケティングトレース大阪コミュニティについて
今後、マーケティングトレースの輪を広げるために大阪コミュニティを立ち上げる準備をしているようです。8月末にはマーケター(インハウス、コンサル会社)や、広告代理店で勤務されているマーケティング実務経験者をターゲットにしたミートアップイベントを開催予定ですので乞うご期待!
会計クイズやマーケティングトレースについてもっと詳しく知りたい!という方はTwitterを是非ご覧ください。
今回お世話になった会場:スタートアップカフェ大阪 KANDAI MeRISE さん
イベント企画の持ち込み募集されているようですよー!起業テーマに沿うものであればなんでもウェルカムということでした。