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クラスづくりは、習慣づくり
今回のテーマは、「クラスづくりは、習慣づくり」です。ここでの問いは、クラスづくり問いう言葉があるけど、一体何をつくるのか?何を目指すのか?という問いです。
答えはもちろん、色々考えられますが、僕の答えは、「安全と安心をつくり、習慣をつくること」です。今回は、特に、クラスづくりを習慣づくりという切り口から考えてみます。
習慣は、なぜ重要なの?
習慣の重要性は、先人たちが何度も何度も指摘していて、本もたくさん出ていますが、改めて習慣は何がいいのかを考えてみましょう。
習慣を別の言葉で表現すると自動化です。つまり意識しなくても自然とできるようになることです。例えば僕たちは、お箸でご飯を食べる時に、いちいち指先に意識を向けないと思います。それは僕たちがお箸を使うことが習慣になっているからです。
一方で、お箸を使うことが習慣化していない外国の方であれば話は別でしょう。きっと食事を味わうのに苦労します。このことから、習慣化すると何がいいのかというと、認知的コストが小さくなるということです。要するに、お箸を使うということにエネルギーを割かずに食事を楽しめる訳です。ここは大きなポイントです。
もし僕らが望ましい習慣、例えば「毎朝、早起きして運動する行動習慣」とか「課題を先送りしない思考習慣」を身につけてしまえば、認知的なコストを支払わずに、ストレスなく、より良い生活が送れる訳です。だとすれば、どんどん良い習慣は身につけた方がいいですよね。
ところで、僕らも赤ちゃんの頃にはお箸を使えなかったはず。そのように考えると、実は習慣化するとは学習そのものです。学習とは何かというと、教科書を読むとか、ノートをとるといった行為を指しているのではなく、脳の神経細胞同士の結びつきが強まって、情報処理が自動化されるということに他なりません。
ですから、「クラスづくり」を「クラスの学習や変化を支援すること」と置き換えると、要するにクラスづくりとは、クラスの習慣化を支援するということになります。さらに言葉を足すと、「クラスづくりの成果とは、生徒にどんな習慣を身につけさせることができたか」で評価することができるということです。そうすると、やや曖昧な「クラスづくり」というイメージの輪郭、ゴールも明確になってきます。
ここで、注意点があります。それは、習慣はその性質上、身につけてしまうと意識されなくなってしまうということです。すると困ったことに、新しい習慣を定着させた、つまりクラスとして成長したのに、その変化を実感しづらいが故に、みんなで成長を喜ぶべき機会を逃してしまうのです。
だから僕は、クラスの成長=新しい習慣の習得だと捉え、その変化を生徒が実感できるように「見える化」しておくことが重要だと感じています。そこで、次により具体的に、習慣化という切り口でクラスづくりをする方法についてお話しましょう。
どのようにクラスで習慣をつくるか
どのように日常の学校生活の中で、習慣の視点を生徒と共有していけば良いでしょうか。
まずは、クラスの成長とは要するに新たに身につけた習慣である、という図式を生徒と共有するところがスタート地点です。わかりやすい例えを用いると良いと思います。中学生に対してなら、「皆さんは自転車に乗る時に、いちいち運転の仕方を思い出そうとはしませんよね?それは、皆さんにとって意識しなくても自動的にできることになったからです。人が変化するとは、そのように何かが習慣化・自動化されるということです。だからより良いクラスに成長していくために、新しい習慣をどんどん身につけていきましょう。」といった感じです。
次に、まとまった時間が取れる時に、いくつかのファシリテーションの問いを投げてみます。「僕たちのクラスですでに習慣になったことは何でしょう?何が、意識せずともできるようになりましたか?」あるいは「これからあなたが自動化できたら素敵だなと思う習慣は何ですか?」といった感じです。生徒に紙に書いてもらい、みんなで話し合うと良いと思います。
そして、日常的には、帰り学活の振り返りの場面で生徒の口から出てくる言葉や、日常の中でのつまずきを拾って、ホワイトボードや画用紙に「習慣化リスト」として書いていきます。僕のクラスの最近の事例では、ある生徒が友達を手助けした時に「ありがとう」と言ってくれて嬉しかったという振り返りから、「ありがとうの一言を添える」という習慣をリストに加えました。すると、生徒の意識がそこに向かうようになり、振り返りの場面で、感謝に触れることが多くなりました。子どもたちの素直に成長しようとする力は素晴らしいと感じます。今は僕のクラスでは、時間を決めてから行動するという習慣に意識を向けています。
最後に、学期の終わりでは、何が僕たちにとって、当たり前のことになったかな?と生徒に問いかけると良いと思います。見える化した習慣化リストをもとに、評価してみてもいいと思います。こうすることで、生徒も教師も変化を実感しやすくなります。興味深いのは、これはやがて「クラスのカルチャー」となり生徒のアイデンティティになっていくんです。「〇〇できるのは、さすがこのクラスらしいと思いました」とか、「〇〇できるこのクラスを誇りに思います」といった声が生徒から聞こえるようになっていきます。
以上、今回は、クラスづくりは、習慣づくり。でした。皆さんが関わるクラスでは、どんな習慣が定着していますか?あるいは、どんな習慣を身につけて欲しいと願いますか?クラスへの教師の働きかけを、習慣化という視点で考えてみるのはいかがでしょうか?