「理」で考えつくし「心」を尽くして「運」を待つとはどういうことか?「論語と算盤と私」にグッとき過ぎて書く衝動を止められなかった朝倉祐介さん考察
無数に存在する本。一生かかっても読みきれないだろうその無数さに胸がうずく。私は昔から紙の本が大好きだ。昔は時間はあったけどお金はないために図書館からの借り専だった。今は本を買えるようにはなったものの時間はないために、限られた時間の中いかにいい本に出会うかがライフワークとなっている。
「この本面白い!」という本に出会えた時は幸せを感じる。そんな時にはシェアせざるを得ない感覚にかられる。
そう感じて止まなかった本日の一冊はこちら↓
幻の名著と言われているこちらの一冊。
私は一年半くらい前にNewspicsを読み始めてから朝倉さんを知った。その朝倉さんがVoicyでチャンネルを持たれていると知った約一年前から配信を心待ちにして聞いている朝倉さんファンだ。あの番組が好きだ好きだと言っていたら、『論語と算盤と私とVoicy』のnote化に携われることになった奇跡。Here comes a Miracle!!!
書くためには繰り返し聞くのだけれど、聞いて面白いものは書いても面白く、何度見聞きしても衰えない面白さに、「この方はすごい…」と心底感じている。
朝倉さんと大室先生の対談noteはこちらです!「もう本っ当に面白いなぁ、この対談は!!!」と思って止まないので、是非読んでみてください(^^)!↓
表題の本の中でどこが好きだったかにいく前に、まず朝倉祐介さんのどこが好きかから。
1、coolだけど熱いところ
2、知の集積感
3、伝え方の丁寧さ
4、この人は果てしない量の本を読んできてるな感(文学を感じる)
5、喋るのもうまければ文章もうま過ぎなところ(Newspicsコメントやご著書のタイトル、中身にセンスが光っている)
こんな感じでしょうか。やっぱり朝倉さんといえばシニカルで(ポジティブな意味で)面白く、それでいてすごく丁寧謙虚な伝え方をするところが素敵だ。Voicyの中でも上位にランクインする人気チャンネルなのに、「こんな番組誰が聞いてるのかと思いながらもやっている訳ですけども」的発言もたまらない。大室先生とのご対談はもちろん楽しくて大好きなんだけど(これについては記事一本書ける好きさなのでまた別途)朝倉さんのソロ回もすごく好き。ソロ回ではこれらの回が私的胸熱回です。
朝倉さんといえば、昨年出されたご著書『ファイナンス思考』はベストセラーとなり、紙で7万部も売れたらしい。書店に行けば必ずいいところに置いてある大ヒット作ですね。見たことある、読んだことある、という方も多いのでは?
私が今日オススメする『論語と算盤と私』は、それより前の2016年10月に発売され、朝倉さん初のご著書だそうで。
そもそも私自身はファイナンスや経営とは無縁で、ファイナンスが知りたくて朝倉さんを好きになったという入りじゃない。前述の通り、Newspicsでのコメントが面白くてフォローしだし、Voicyで聞いてさらに好きになったという経緯だ。ファイナンス論の第一人者になんて失礼な!という感じだが、逆に言うと、朝倉さんからファイナンスや経営論要素を抜いたとしても好きさは変わらないということだ。
朝倉さんがただただ馬について語っていくとしても好きは変わらないだろうし、ただただ音楽について語っていくとしても聞き続けたい。
朝倉さんの物事の捉え方が好きだし、もっと聞きたいと思う。
『論語と算盤と私』の帯には「新時代のしなやかな経営論」と書いてある。上記の通り、私はしなやかな経営論を欲していた訳ではないが、「朝倉さんの言うこと面白いからなぁ。読んでみよう!」という軽いノリで購入した。
そしたら素晴らしい内容だった。それはもう本当に。経営論には全く詳しくない私に響いたのだから、経営論や組織論を知りたいと思っている人には絶対にオススメです!
以下、心に響いた箇所
・以前人から言われたことですが、「いい人」であろうとすると、誰に対しても薄く広く情けをかけてしまいます。けれどもそれは、誰に対しても薄情であることにほかならないのです。(P.15 創業者が合理的判断をし続けられるかの文脈で)
・理の世界で考え尽くした後となっては、「自分がどうしたいか」を基に決めざるを得ないし、決めるべきなのだと思います。(P.37 有事のリーダーシップとは?)
・自分自身の経験に照らし合わせて考えると、「理:心:運」は、それぞれ「1:4:5」程度の割合で影響を及ぼしているのではないかと考えています。(P.43 事の成否は「理」「心」「運」が決める)
・運が成功要因の半分を占めるからこそ、逆に考えてみれば、人為的にコントロールできる残りの5割こそが大事であるとも感じるのです。(P.45 「理」で考え抜き、「心」を尽くして「運」を待つ)
・腹に据えかねる内容や見当違いな指摘であっても、いちいち構ってはいられません。適切な手順や道義的な約束から逸脱しない限りにおいては、「記事を憎んで記者を憎まず」の精神をもって、「ケセラセラ」と受け流すべきなのだと思います。(P.49 メディアの「予言の自己実現」)
・他人と自分を比較せず、多少うまくいっても浮かれて勘違いをせず、また悪いときも気落ちせず、「失意泰然、得意淡然」で、その時々になすべきことに淡々と取り組む。そうした心持ちを保つことです。(P.53 自分自身に何も期待しない)
・少なくとも情報を得るにあたっては、表面化しない背景があることや、書きぶりひとつでいかようにでも本旨が歪められ得ることに、思いをはせる想像力と節度をもちたいものです。同時に、自分自身が持つ評論家気質やその罪深さに対して、せめて自覚的でありたいと思う次第です。(P.56 実践家を批判する3つのパターン)
・何事も、物事は始めるよりも終わらせるほうが難しいものです。(P.229 「慢性的な赤字」と「健全な赤字」を切り分ける)
・風土を変えていくうえでは、絶望的な敗北状況を味わい尽くすこともまた、有効なプロセスです。坂口安吾ではありませんが、堕ちること、堕ちきることをもってしか、自分たちの存在意義を見直すモメンタムを得ることはできません。中略〜 確実に言えることは、苦難を乗り越えて変革を成し得た集団は必ず強くなります。(P.240 墜ちよ、負けよ、それ以外に生まれ変わる道はない)
・人間は誰しも与えられた環境の奴隷と言えるのではないでしょうか。環境次第でまったく本領を発揮できないこともあれば、逆に水を得た魚のように生き生きすることもあるということを、多くの人が自身の体験や周囲の人々の観察を通して知っているのではないかと思います。環境を整えるうえでは、アメのアプローチもあればムチのアプローチもあるでしょう。極力穏便に進めるに越したことはありませんが、重要なのは、どういったアプローチを採るかよりも、実際に行動が変わるのか、結果が出るか否かです。(P.250 人間は環境の奴隷である)
・自分の行動ですら、自分の意思ではままなりません。いわんや他人の行動をや、です。「将を射んと欲すればまず馬を射よ」といいますが、人の行動を変えようと思えばまずは取り巻く環境を変えるべきなのでしょう。仮に組織に働く慣性の一側面を「空気」と呼ぶならば、空気を読んだうえで空気に流されず、率先して空気をつくるということです。(P.253 空気に流されず、率先して空気をつくる)
・「やりたいこと」を追求した結果、夢は断たれてしまいましたし、散々な目にも遭いましたが、それでもなお残るもの。それは、自分のなかの納得感と経験であると思います。(P.349 個として独立するための原則と心意気)
・そもそも事をなすとは、誰かに頼まれてやることではないでしょう。起業家も変革者も、誰かからの指示を受けて行動を起こすものではありません。誰からも頼まれもせず、指示もされず、それでも自分の内側からふつふつと沸き立つ熱意、やらずにはいられない衝動、使命感に突き動かされて取り組むものなのだと思います。傍から見ると、「お前は何様のつもりだ」と感じられるかもしれません。けれども、自分が「やらなければ」と思ってしまったら、もうそれはどうしようもないことなのです。(P.358 出発点は心意気のほかにない)
もう本当にかっこいい。すごく哲学的なのだ。そしてその『朝倉哲学』は、ものすごい量の書物と経験に裏打ちされて導き出されてる感がひしひしと伝わってくる。(ご本人は「浅学非才の身である私が言うのもおこがましいですが」とよく仰っているけれど…)
私がこうしてnoteを書くのだって、誰から頼まれたわけでもなく、自分の中のやらずにはいられない衝動によってだ。場合によっては「なんだこの人、気持ち悪いな…恐いな…」と思われるかもしれないそうした衝動だけど、「書かねば!書きたい!!」と思う気持ちは止められない。
「自分がやらなければと思ってしまったら、もうそれはどうしようもないことなのです」ってフレーズ、すごく好きだなと思う。
Coolだけど熱い。熱いけれど淡々と。そんな生き様と哲学が表れている「論語と算盤と私」は本当にオススメしたい名著です!
余談:本書のタイトル「論語と算盤と私」タイトルは、渋沢栄一さんの「論語と算盤」と平松愛理さんの「部屋とワイシャツと私」からオマージュされたそう。そのセンスもグッとくる。タイトルにピンと来ない方が多くて、全然売れなかったそうだ。OMG(泣)それを淡々と言うところもまたいいなぁと思っている!
内容に少しでもピンときた方がいらしたら、是非この本を手にとってみてください!どこがよかったか一緒に語らい合いたいレベルで好きな本です!
最後までお読み頂きありがとうございました(^^)
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