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ボブ・マーリー Redemption Song 〜 歌詞和訳

Bob Marley and the Wailers が 1980年6月10日にリリースした12枚目のアルバム Uprising のファイナル・トラック, 最後の曲。その Redemption Song が シングル曲としてリリースされたのは, 同年 10月7日。

しかしリリース(解放)は, 1日で 終わらない。


Redemption Song 〜 歌詞和訳

Redemption Song 〜 歌詞和訳

以下の YouTube クリップ, (1991) とあるのはリマスターの時期かな。同クリップのディスクリプションに記載の通り, オリジナルがリリースされたのは 1980年。シングルのリリースは同年, 10月7日。

Redemption Song from Bob Marley & the Wailers' 1980 album Uprising, single released in the same year, on October 7

英語原詞 https://genius.com/Bob-marley-and-the-wailers-redemption-song-lyrics

[ 和訳 ]
ずっと昔, 海賊が, そうさ, 連中が 俺の身体を奪い
奴隷船に売り飛ばしたんだ
やがて連中は 俺を引っ張り出した
底なしの地獄, 奴隷船の船底から (*1)
だけど 俺の手は強く造られていた (*2)
全能の神の手によって
俺たちはこの時代に 前に進む
誇り高く

一緒に歌ってくれないか
自由の歌の数々を (*3)
なぜって 俺が持っているのはこれが全てなんだ
贖罪の歌, 救済の歌
自由を取り戻すための歌

精神の奴隷状態から 自分自身を解放するんだ (*4)
我々の心を自由にできるのは 我々自身だけなんだ
原子の力を恐れることはない (*5)
誰も時の流れを止められないんだから
彼らはいつまで 我々の預言者達を殺し続けるんだろう (*6)
我々が傍観している間に, 見て見ぬふりをしている間に (*7)
ああ, それもその一部分に過ぎないらしい
我々は 聖なる書の目的を果たさなければならない (*8)

一緒に歌ってくれないか
自由の歌の数々を
なぜって 俺が持っているのはこれが全てなんだ
贖罪の歌
救済の歌
自由を取り戻すための歌

精神の奴隷状態から 自分自身を解放するんだ
我々の心を自由にできるのは 我々自身だけなんだ
おお, 原子の力を恐れることはない
誰も 時の流れなんて止められないんだから
彼らはいつまで 我々の預言者達を殺し続けるんだろう
我々が傍観している間に, 見て見ぬふりをしている間に
そうだね, それもその一部分に過ぎないらしい
我々は 聖なる書の目的を果たさなければならない

一緒に歌ってくれないか
自由の歌の数々を
なぜって 俺が持っているのはこれだけなんだ
贖罪の歌

俺が持っているのはこれだけなんだ
救済の歌
自由の歌
自由を取り戻す歌

…………………………………

訳注

*1 pit は「大きな穴」, 「(物の)底, 最下部」, そしてキリスト教世界における古語では「地獄」。bottomless pit は "底なしの地獄", 具体的には "奴隷船の船底" を指しているのではないかと。

*2 But my hand was made strong, by the hand of the Almighty .. ボブ・マーリーは信仰者だったから(ラスタファリに関してここで深入りした解説は書かない, 筆者にはそのための十分な知識があるとは言えないし), この made の訳には「創造」の「造」を使った。

*3 "自由の歌の数々を", 自由の歌を, だけでもよいのだろうけれど, ここはあえて songs, 複数形に忠実に訳してみた。

*4 因みに原詞の Emancipate は「(政治的・社会的な束縛や圧迫から)解放する」「自由にする」の意。

*5 atomic energy は「原子エネルギー」「原子力」「核エネルギー」。ボブ・マーリー が atomic energy にどんな意味を込めていたのか。答えは容易でない。正直, ここは未解決。

今日のこの note の最後で触れる ICAN (International Campaign to Abolish Nuclear Weapons), 核兵器廃絶国際キャンペーンの, あの「核」に(も)直接 関わる意味合いがあるのかどうか。今は謎。

*6 prophets, つまり prophet の 複数形。これに関しては, 以下の note の第3章 第2項 Paul Simon 弾き語り版 "The Sound Of Silence" 〜 歌詞和訳, その訳注 *18 で言及した。

SOS, Save Our Souls, a.k.a. "The Sound Of Silence" の歌詞では, And the sign said, "The words of the prophets are written on the subway walls and tenement halls, and whispered in the sound of silence"

*7 "我々が傍観している間に" だけで訳はいいんだけど, 意訳的に "見て見ぬふりをしている間に" を加えた。

*8 Ooh, some say it's just a part of it, we've got to fulfill the book .. it は後にくる the book を指しているのではと思うが, そこに確信までは持っていない。

the book は "the Book" と頭文字を大文字にすると「聖書」の意味になる。歌詞サイトでは 大文字になっていないが, ラスタファリの運動は一応「聖書」を聖典としているし(一応と書くのには文字通り「一応」理由があるが, 上にも記した通り ラスタファリに関してここで深入りした解説は書かない, 筆者にはそのための十分な知識が今あるとは言えない), ボブ・マーリーは信仰のある人だったので, ここでは「聖なる書」という日本語訳にした。

英語原詞 について

外国語の歌の歌詞の和訳を試みてそれを掲載するのだったら(note にしろその他のサイトにしろ), できることなら 原詞を併載した方がよい。明らかにその方が分かりやすい。しかし, それは(歌詞原詞の全編掲載は)残念ながら不可能。

英語歌詞, つまりここでは, 英語で歌われる曲の原詞。その(全編)掲載に関するその辺りの事情については, 以下の note の「前説」の次の次の章「英語原詞 について」にて。

さて さて 🎶

1980年10月7日 〜 2023年10月7日

1980年10月7日 〜 2023年10月7日

長きにわたり 耐えてきた(耐えている), 堪えてきた(堪えている)抑圧, その苦しみからの救済の歌, 自由を取り戻す歌, 自由を取り戻すための歌 Redemption Song は, 1980年リリースのアルバム Uprising にその最後の曲として収められ, 同年 10月7日 にシングル・カット, リリースされた。

シングル盤 カップリング(B面)は 2曲, Redemption Song (Band version) と

I Shot the Sheriff (Live), どのヴァージョンだったのか, 筆者が好きなのはこれ。

上のは 1975年リリースのライヴ盤 Live! 収録ヴァージョン。

さて,

パレスチナ/イスラエル問題 〜 それは 勿論, 2023年10月7日に始まったのではない

過去の note において何度も書いてきたけれど, パレスチナ/イスラエル の「問題」は, 2023年10月7日に始まったのではない。いわゆる「パレスチナ問題」(「問題」という言葉の解釈次第で「イスラエル問題」と言った方がよいのではとも思うが)の歴史的背景を知る人間には, それは あまりに常識的なこと ではあるが。

「パレスチナ/イスラエル問題」の成り立ちやその概観については, 以下の 2021年10月8日付 note の 第1章から 第2章 にかけて, まとめています。

ハイファ(48イスラエル, 47イギリス委任統治領パレスチナ)に戻って 〜 1983年10月5日

以下は, パレスチナ及び中東に関わる note マガジンへのリンク。

パレスチナ と ボブ・マーリー "War"

"Until the philosophy which hold one race Superior and another Inferior, is finally and permanently Discredited and Abandoned 〜 Everywhere is War"

.. existence is resistance, for Palestinians, this is true. Just by very existing on their land, this is an act of resistance in itself. Even more so, when they actually claim their rights, claim their identity, do cultural works, like produce Palestinian culture, that is an act of war.

「パレスチナ人にとって『存在とは抵抗である』。彼らが 自分たちの土地に存在しているだけで, それ自体が 彼らの抵抗行為 となるのだ。さらに言えば, 彼らが 実際に自らの権利を主張し, そのアイデンティティを主張し, そして例えば パレスチナのカルチャー(文化)をプロデュースするような, 自らの文化を表現する活動を行なうのなら, それはそのまま 彼らにとって 闘争であり戦争行為 なのである。」

https://note.com/dailyrock/n/n4f72c06d4167

Until the philosophy which hold one race superior and another inferior, is finally and permanently discredited and abandoned 〜 Everywhere is War

日本語にするなら(意訳するなら),

ある人種(趣旨を踏まえれば この文脈においてはこれを「民族」という言葉に置き換えてもよいだろう)を優越であると見做し, 別の人種を劣等であると見做すような哲学(思想)が, 最終的かつ恒久的に信用されなくなり(支持されなくなり), そしてそれが放棄されるまでは, 世界中 何処にでも「戦争」が起きるだろう。

ここでの「戦争」war は an act of war であり, 「戦争」と表現もできるし, war という英語が意味としてもともと包含している 「闘争」という言い方にしてもよいだろうと思う。

https://note.com/dailyrock/n/n4f72c06d4167

今日の最後は,

ジョン・レジェンド が 歌う, Redemption Song

ジョン・レジェンド, パレスチナ解放への支持を声に出し行動する「少数セレブ」のうちの一人

「セレブ」には碌でもない奴, チキンや偽善者が少なくない(*1, 2)。別にセレブにばかりいるわけでもなく, 世界中 何処にでもいるわけではあるが, それはプラスに働かせれば意義あるものになるはずの影響力を持つセレブであるがゆえに目立つ。ついでに書くと, ボブ・マーリーは10人以上もの子供をもうけたらしいけれど, 中には「有名」ミュージシャンになった者もいて, 筆者が知る限りその二人はそれぞれ以前からイスラエル支持の大莫迦者。

とりわけ偽善と欺瞞のイスラエル支持・支援大国, 複数のイスラエル・ロビイスト団体が存在してパレスチナ支持の声を封殺しその暗躍(もはや「暗躍」ではないが)を誇らしげに明らかにする国, つまり 自称「チャンスの国」アメリカ合州国(*3)においては, パレスチナ解放への支持の声を上げるに際しては 機会(チャンス)を奪われるというリスクを覚悟しなければならず, それゆえ声を上げ行動する有名ミュージシャンや俳優は, いきおいその存在が目立つことにもなる。

ジョン・レジェンドは, それでも声を上げる「(全体のなかでは)少数のセレブ」のうちの一人。彼のパレスチナ支持は今に始まったことではなく, 記憶の限りで言っても確か10年上前から声を上げている。以下は, 今年の例。

彼は今年11月の大統領選でカマラ・ハリスなんかを応援してしまっていて(共和党でもなく民主党でもないジル・スタインを支持してほしかった), それは残念だったけれど, 少なくとも, こういう主張はしていた。

以下のインスタグラムのポストは上と同じ内容だが, 因みに, このインスタ・アカウントをフォローすると, その他の「少数セレブ」(数自体はもはや決して少なくない)の言動も知ることができる。

*1 既に終わってる, 「絵に描いたような」偽善者 ボノ。

*2 ボノについては, 以下でも言及。

*3 アメリカ 〜 イスラエルへの巨額の軍事援助だけでは飽き足らず, "名実ともに"「戦争犯罪人」のネタニヤフを連邦議会に招き「演説」を "拝聴", 今や 世界一の恥知らず国家, アメリカ合州国

以下, ここでも(!)ついでに,

アメリカ合州国「セレブ」の欺瞞の典型, それに対するメディアの沈黙の象徴, ボブ・ディラン。

ハロルド・ピンター と ボブ・ディラン 〜 共に ユダヤ人ノーベル文学賞受賞者ながら 雲泥の差, もちろん 泥 は ディラン … 第1章は "ことわり書き: ミュージシャンが ノーベル「文学」賞を受賞したって構わないよ勿論 〜 だから 取り上げたいのはそんなくだらないハナシではなく",

第2章以降は ハロルド・ピンター と ボブ・ディラン の比較, 後段の章は あらためて「パレスチナ/イスラエル問題」について。

イスラエル擁護者 「ボブ・ディラン」 に対する 俺の個人的ボイコットは, 所謂 "キャンセル・カルチャー" なるものとは一切関係ない(All Along the Watchtower 歌詞和訳付き)

以下の 2020年9月17日付 note ボブ・ディランの恥ずべきイスラエル支持ソングと、サブラ・シャティーラ、パレスチナ難民虐殺事件 38周年, その 第2章に,

2021年6月から1年間 イスラエルの首相を務めたナフタリ・ベネットの生い立ちを書いた。奴の両親は, 1967年にイスラエルに移住したユダヤ系アメリカ人。イスラエルがどんな国かを示す典型例 の一つ。

では, 最後に, 

ジョン・レジェンド が 歌う, Redemption Song

2017年のノーベル平和賞授賞式の際の, ジョン・レジェンド。

同年の受賞者(団体)は, ICAN (International Campaign to Abolish Nuclear Weapons), 核兵器廃絶国際キャンペーンだった。

Redemption SongJohn Legend LIVE at 2017 Nobel Peace Prize award ceremony 🎶

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