イスラエル批判、反シオニズム、BDS を 「反ユダヤ主義」 と見做す思考の、度し難い愚かさ
はじめに
「反ユダヤ主義」, anti-Semitism という言葉は、今やまるで魔法の言葉のようにイスラエルに対する「批判」封じのための道具となっている。言わば、言葉が武器化されていると言ってもよい。
イスラエル(*1) は Jewishness(*2) とイコールではない。Judaism(*3) ともイコールではない。Semitism(*4) ともイコールではない。当たり前のことだが。
シオニズムも Jewishness とイコールではない。Judaism ともイコールではない。Semitism ともイコールではない。当たり前のことだが。
本来これで、イスラエル批判も、反シオニズムも、ひいてはイスラエルに対する BDS (Boycott, Divestment, Sanctions: 以下の 2) 及び次章参照) 運動も、「反ユダヤ主義」(*5, anti-Semitism) とイコールだなどということは有り得ないということの説明として十分である。
本来、これでもう十分なのだが、さらに別の視点から、簡単な例を挙げる。例えば、あなたが日本人であれ、非日本人であれ、日本という国の何らかの政策に反対し、それに抗議するために日本をボイコットする(日本製品をボイコットする、あるいは例えばあなたが非日本人のミュージシャンならば日本でのコンサートをキャンセルする、等)として、そのこと自体が即「反日本主義」もしくは「反日本人主義」という名の Racism 人種差別の行為と見做されるなどということは有り得ない。これはボイコットの他に、資本撤退、制裁、経済制裁といった他の抗議・抵抗・懲罰のための方法を採用したとしても、同じである。要するに、それで即、あなたが「反日本主義」者もしくは「反日本人主義」者という名の Racist 人種差別主義者、人種差別論者であるということにはならない。あなたが日本の政策を批判し、日本の政策に反対し、その是正を要求するために、あるいは是正をかちとるための方法としてそれが必要だとあなた自身が判断し、もしくはその目的のためにその運動に賛同して、そうした抗議や抵抗の行為・運動を行なっている限り、あなたが「反日本主義」者、「反日本人主義」者であるということには全くならない。
具体的事例の批判に立ち入ると本投稿の本題からやや「脱線」するが、もう一点、加えておく。しばらく前、フランスにおけるイスラームの預言者ムハンマドの戯画化やこれに反発したイスラム原理主義者によるテロ行為を受けたフランス大統領のイスラーム批評(もしくは批判)を含む声明などに抗議して、世界の多くのイスラム圏の国々の指導者やムスリム達から、「フランス(製品等)をボイコットせよ」という抗議の声が湧き上がり、それは大きな国際的キャンペーンに発展した。筆者は(自分がムスリムでないという理由からではなく)あのフランス・ボイコットの声は支持しないし、あのキャンペーンに合理性や正当性を感じないが、しかし一方で、彼らがフランスをボイコットしたければボイコットする、そのこと自体は彼らの社会的行為として自由であり、したがってそのボイコット運動は例えば法律などによって禁止されるべきものでなく、そもそも、彼らのボイコットは「反フランス主義」、「反フランス人主義」と呼ばれるべきような言わば人種差別的思想に根差したものであると見做されるようなものではない。実際、国際社会において、あのフランス・ボイコットの声を支持する、しないの議論とは別に、あれに人種差別だ、「反フランス」あるいは「反フランス主義」だなだというレッテルを貼ってフランス・ボイコットを禁止しようとする動きは、一切見られなかったと言ってよいだろう。
イスラエルがターゲットになった時だけそれを「反ユダヤ主義」だとして批判し禁じようとする動きは(近年は法律で禁止しようとする動きすら活発である)、ただ単に、イスラエル批判の声を沈黙させ、抵抗や抗議の運動を封じるために、「反ユダヤ主義」という言葉が便利に使われている現象に過ぎない。
上記のことのばかばかしさを示す例は多数あるが、以下はそのうちの 2例。
1)
2) BDS 運動というのは、イスラエルによるパレスチナ人の土地の違法占領や違法入植を止めさせるために、イスラエルの圧倒的な軍事力を前にして軍隊を持たず抑圧され続ける非占領地のパレスチナ人から国際社会に要請された声に応じ、イスラエルが国際法を遵守して違法入植や違法占領を止めるまでイスラエルへの抗議として Boycott, Divestment, Sanctions, つまりボイコット、資本撤退、制裁の運動をしようという非暴力の国際的な運動であるが、近年、イスラエルのロビイスト・グループが活発に働きかけたことによって、この運動 BDS を「反ユダヤ主義」と不当に見做して、法律で禁じようとする動きが、アメリカ合州国やヨーロッパ各国で急速に広まってきた(アメリカ合州国の動きについては次章参照)。
以下は 1ヶ月ほど前、2020年11月3日付の記事だが、ここでリポートされている件は、いわゆる 反 BDS 法 なるものがいかにばかばかしいものかを示す典型例。
https://mondoweiss.net/2020/11/in-first-application-of-anti-bds-law-germany-censors-israelis/
ドイツにおける 反 BDS 法 で最初に標的となったのが、ベルリン在住のイスラエル人アーティスト達だったという話である。
本投稿の冒頭でも書いたように、Jewish, Jewishness ということはイコール、1948年に「建国」されたイスラエルと呼ばれる国ということでは勿論ないし(そもそもあの国にはアラブ系の市民、つまりパレスチナ人もいるのだが)、Semitism イコール、イスラエルということでも勿論ない。BDS を「反ユダヤ主義」つまり anti-Semitism という一種の人種差別主義と見做すのは、完全な没論理なのである。
そんなことはちょっと考えれば分かるはずのことであって、これも既に述べた通りであるが、仮に日本の政策を批判して日本をボイコットする運動があっても、それはイコール「反日本主義」もしくは「反日本人主義」といった人種差別には当たらない。
イスラエルだけが、anti-Semitism, anti-Semitic, anti-Semite といった言葉を便利に使って、自国の政策に対する批判やその政策に抗議するためのボイコット運動を封じることなど、本来できない注文というものなのだ。
<以下、本章における脚注>
*1 1948年、それまで「イギリス委任統治領パレスチナ」(British Mandate for Palestine, Mandatory Palestine: 1920-1948年, それ以前は16世紀以降オスマン帝国の支配下)だった土地の一部(といってもかなりの比率を占めるが)を領土として「建国」された新興国家、イスラエル。正式名称はイスラエル国(英語名 State of Israel)。
(1947年のパレスチナ)
*2 Jewishness とは「ユダヤ人であること」を指す。
*3 Judaism の意味は「ユダヤ教」。
*4 Semitism とは「ユダヤ主義」を意味し、その他、セム(語)風、ユダヤ(人)風、ユダヤ人気質などを指す言葉。なお、「セム」はユダヤ人だけを意味する言葉ではなく、セム人・セム族には現在のパレスチナ人を含むアラブ人の他、広範な範囲の人々が含まれる。「セム語」も同様で、これはヘブライ語とアラビア語を含む複数の種類の言語の総称である。
*5 本 note 投稿の冒頭で書いたように、anti-Semitism という言葉は、今やまるで魔法の言葉のように、イスラエルに対する「批判」封じのための道具となっている。言葉として武器化されていると言ってよい。その他に、同様に使われる言葉として、反ユダヤ主義(の)、反ユダヤ主義者(の)といった意味になる anti-Semite, anti-Semitic (前者は名詞および形容詞、後者は通常は形容詞のみ)といった用語がある。そもそも Semite とはセム人、セム族の人を指し、その意味は Semitic (languages) すなわちセム系の言語(ヘブライ語、アラビア語、ほか)を使用する人々の総称であるから、これには当然ながら、ユダヤ人だけでなく、現在のパレスチナ人を含むアラブ人の他、広範な範囲の人々が含まれる。にも関わらず、anti-Semite, anti-Semitic, anti-Semitism といった一連の言葉は、ユダヤ人「のみ」に対する差別的な思想や行動を意味するものとして使われており、それがこれらの言葉の使用を巡る歴史であり、現状である。
「反ユダヤ主義批判」の政治的濫用、ここに極まれり? ― 「IHRA定義」の欺瞞性 〜 BDS運動に対する歪曲
本来もっと読まれるべき、BDS Japan Bulletin の note 投稿による解説。BDS Japan Bulletin は日本における BDS 運動の掲示板的な役割を目指すアカウントだが、筆者はその管理者ではないし、メンバーの一人でもない、念のため。
上記リンク先のテキスト中に「ポンペオ国務長官の主導で、このIHRA定義にもとづき、アムネスティ・インターナショナル、ヒューマン・ライツ・ウォッチ、オクスファムの3団体を『反ユダヤ主義団体』であると指定する動き」とあるが、参考まで、以下は、先月(2020年11月19日)アムネスティ・インターナショナルが発表した、アメリカ合州国国務省の BDS 運動を封じる動きに対し、表現の自由、政治活動の自由、そして人権擁護の活動自体を攻撃するものとして批判する声明。
なお、BDS Japan Bulletin の note 投稿による解説を、もう 1点、紹介しておく。
イスラエル擁護が自己目的化しているとしか思えない日本人の例 〜 「ユダヤ人と日本」 という名のツイッター・アカウント
本章で紹介する日本(人)のツイッター・アカウントについては、過去の筆者の note 投稿でも取り上げている。過去に取り上げたものと共に、新たなものを加え、以下に引いておく。
1) 日本における 反BDS の没論理ツイート例(2020年11月4日)。こういう主張をする人というのは没論理の人か、あるいはもしも本当は知的な人であるならば、イスラエルの体制の為に役立つなら他人から没論理と思われても構わないと思うような人。ある意味、気の毒。
前章で繰り返し書いたように、仮に日本の政策を批判して日本をボイコットする運動があっても、それはイコール「反日本主義」もしくは「反日本人主義」といった人種差別には当たらない。
Jewish, Jewishness ということはイコール、1948年に「建国」されたイスラエルという国ということでは勿論ないし(繰り返し書くが、そもそもあの国にはアラブ系の市民、パレスチナ人もいる)、Semitism イコール、イスラエルということでも勿論ない。
BDS を反ユダヤ主義, つまり anti-Semitism という一種の人種差別主義と見做すのは、完全な没論理なのである。
これも繰り返し書いておく。
イスラエルだけが、anti-Semitism, anti-Semitic, anti-Semite といった言葉を便利に使って、自国の政策に対する批判やその政策に抗議するためのボイコット運動を封じることなど、本来できない注文というものであって、その口封じのための論理は論理などと呼べるシロモノではなく、極めて没論理的、非論理的で、単に批判の声を封じたい、批判者を黙らせたいという悪意がある、莫迦げた発想によるものである。
「ついで」。英語でも書いておく。
Jewishness doesn't equal ISRAEL (a state created in 1948) and Semitism doesn't equal ISRAEL, as a matter of course. To regard BDS movement as anti-Semitism is a typical example of illogic. Such a way of thinking is alogical, illogical and silly.
IF you criticize Japan's policies: e.g. its government's policy you regard as racism, and boycott Japan or, organize or participate in a boycott or boycott, divestment, sanctions movement against Japan, IT DOES NOT mean you're anti-Japanese (as a kind of racist), as a matter of course.
BDS Japan Bulletin からの批判ツイートを併せて掲載しておく(前章でも書いたが、BDS Japan Bulletin は日本における BDS 運動の掲示板的な役割を目指すアカウントだが、筆者はその管理者ではないし、メンバーの一人でもない、念のため)。
"シオニスト組織SWCが記事を投稿している『みるとす』は親イスラエル団体で日本版歴史修正主義運動を担ってきた宗教右派「キリストの幕屋」関係の雑誌。イスラエルの人種主義政策を擁護し、BDS批判に傾注するSWCは、サンダースを支持した米国ユダヤ系若年層の人権感覚からますます乖離しつつある。"
2) 前項で引いたツイートの主による最近のツイート(2020年11月26日)とそれに対する BDS Japan Bulletin からの批判ツイート(2020年12月1日)。
3) 前々項、前項で引いたツイートの主による最近のツイートには、次のようなものもある。アメリカ合州国のバラク・オバマ前大統領の回想録をイスラエルの元国会議員が ”歴史修正”と批判したとツイートしつつ、そのスレッド内でツイートしたもの(2020年11月27日)。
早尾貴紀氏(イスラエルのヘブライ大学およびハイファ大学客員研究員などを経て社会思想史研究者、ディアスポラ、イスラエルとパレスチナに関する著書多数)による批判ツイート(2020年12月1日)、および BDS Japan Bulletin による批判ツイート(2020年12月1日)と併せて、それぞれ紹介する。
なお、イラン・パぺ(Ilan Pappé)とは、1930年代にナチスの迫害から逃れてドイツから当時の「イギリス委任統治領パレスチナ」に移住したユダヤ人の両親のもとでイスラエル「建国」(1948年)後の1954年にハイファ(1948年以前は「イギリス委任統治領パレスチナ」、彼が生まれた時はイスラエル領)に生まれ、エルサレムにあるヘブライ大学とイギリスのオックスフォード大学で学んだ、そして「母国」イスラエルを去った、イスラエル人の歴史家のことである(彼については次章であらためて触れる)。
4) 前項までに紹介した、イスラエル擁護が自己目的化しているとしか思えない「ユダヤ人と日本」という名のツイッター・アカウントを含む日本の事例を取り上げた note 投稿、その1
以下は、前章で紹介した BDS Japan Bulletin による note 投稿2点のうちの一つ。
繰り返しになるが、BDS Japan Bulletin は日本における BDS 運動の掲示板的な役割を目指すアカウントだが、筆者はその管理者ではないし、メンバーの一人でもない、念のため。
取り上げている例は、上記のツイッター・アカウントと、更に日本の「イスラム思想研究者」(自称)の例。
5) イスラエル擁護が自己目的化しているとしか思えない「ユダヤ人と日本」という名のツイッター・アカウントを含む日本の事例を取り上げた note 投稿、その 2
これは筆者の note 投稿。第2章「イスラエルによるパレスチナ人家屋等破壊を、『民主国家イスラエル』の法律に従った行為として擁護する日本人」、及び 第3章「BDS運動の趣旨を歪曲し、もしくはイスラエルを批判する人々を『人道主義』『正義』『平和』といった言葉を操りながら『皮肉』る日本人たち」において、前項の 2人の例を紹介。
イスラエルの政策を批判する、反シオニズムの姿勢を鮮明にする、あるいは BDS 運動を支持するユダヤ人、もしくはイスラエル人たち
この例は今や枚挙にいとまがないほどあるので、例を一つ一つ挙げていると文字通りキリがない。以下は一部。
念のため書いておきたいのだが、イスラエルの政策を批判したり、反シオニズムの態度・姿勢を鮮明にしたり、あるいは BDS 運動を支持するようなユダヤ人やイスラエル人が仮にいないとしても、だから、イスラエル批判や反シオニズムや BDS 運動が「反ユダヤ主義」なのだ、などとは言えない。
上記のことは流石に説明不要だろうが、あえて例示すれば、要するに例えば、ある人の日本批判に賛同する日本人がいないから、日本をボイコットする運動(があったとして)を支持する日本人がいないからと言って、だからと言って、それが即、その批評・批判や政治運動が「反日本主義」「反日本人主義」とレッテル貼りされるに相応しい人種差別思想に基づくものなのだという理由にはならない。当たり前ですね。
ただ一方で、本投稿に即して言えば、声を上げている人の数が過半数に及ばずとも、あるいは多数でないにしろ(実際には実数として多数と言ってよいのだろうが)、少なからぬ数の事例の、イスラエルの政策を批判する、反シオニズムの姿勢を鮮明にする、あるいは BDS 運動を支持するユダヤ人もしくはイスラエル人の存在があるのであれば(以下、多数例のうちの一部の例を見れば分かる通り実際に存在するのだが)、それは、そうしたイスラエルやシオニズムに対する批判を抑えたり BDS 運動を封じたりするためにそれらに対して「反ユダヤ主義」とのレッテル貼りをすることの愚かさを、如実に物語っているものだと言えるだろう。
1) Jewish Voice for Peace: インスタグラムの投稿 6点。前半の 3点は BDS 運動に関するもの。残りの 3点は、シオニズム〜反シオニズムに関するものである(筆者の本 note 投稿のタイトル上の写真は、以下の 4点目のものから拝借した)。
最後の 6点目のものは、つまり、「あなたは、人種差別(主義)に反対しながら、同時にシオニストであることはできない」、意味を崩さず意訳すれば、「あなたがもしも人種差別(主義)に反対するのなら、シオニストであることは止めるべきだ」。同インスタグラム投稿に添えられたテキストには、"If you oppose racism, you should oppose Zionism too!" とある。
2) IfNotNow: 前項の Jewish Voice for Peace と同様、アメリカ合州国のユダヤ人の反「イスラエルによる占領政策」、パレスチナ人の人権擁護を旨とする組織だが、こちらは若者世代中心の運動体という印象がある。以下、やはりインスタグラムの投稿から 2点。
BDS 運動を「反ユダヤ主義」とレッテル貼りして禁止したり、反シオニズムを「反ユダヤ主義」と見做す、また、イスラエルが 1967年以来、半世紀以上にわたり国連安保理決議に違反して違法に占領し続けるパレスチナ人の土地の一部「ヨルダン川西岸地区」においてイスラエルが建設したイスラエル人のための違法入植地で生産されアメリカ合州国に輸入されたものに "Made in Israel" とのラベルを貼ることにしようとする、アメリカ合州国政府のそうした一連の政策を批判するもの。
3) 前章で触れたイラン・パぺ(Ilan Pappé)〜 1930年代にナチスの迫害から逃れてドイツから当時の「イギリス委任統治領パレスチナ」に移住したユダヤ人の両親のもとでイスラエル「建国」(1948年)後の1954年にハイファ(1948年以前は「イギリス委任統治領パレスチナ」、彼が生まれた時はイスラエル領)に生まれ、エルサレムにあるヘブライ大学とイギリスのオックスフォード大学で学んだ、そして「母国」イスラエルを去った、イスラエル人の歴史家 〜 の発言。
Facebook 上に投稿されたヴィデオ。彼がこの中で言っていることは、つまり、
"ISRAEL is colonizing PALESTINE. It (Zionists) started colonizing PALESTINE in the late 19th Century and still colonizing today."
ISRAEL という国(正式名称は英語では State of ISRAEL)は 1948年に「建国」されているので、上記の 2番目のセンテンスの It とは、意味合いとしては後にイスラエルを「建国」することになる Zionist のユダヤ人(たち)を指すことになる。
4) ユダヤ系アメリカ人の政治学者 〜 1953年ニューヨーク生まれ、両親は共に Holocaust survivors つまりナチス・ドイツによるホロコースト(ユダヤ人大虐殺)政策の中をかろうじて生き残った人:母親はドイツ占領下のポーランド・ワルシャワで育ちワルシャワ・ゲットーとポーランドのルブリン市郊外にあったナチス・ドイツのマイダネク強制収容所(正式にはルブリン強制収容所)の生存者、父親はワルシャワ・ゲットーとナチス・ドイツによるアウシュヴィッツ強制収容所の生存者 〜 Norman Finkelstein の発言。以下、2点。
1点目も傾聴に値する、イスラエルの政策を闇雲に支持する人たちが耳を傾けるべき達見だが、2点目(Facebook 上に投稿されたもの)は必見・必聴のヴィデオ。
5) 次は、イスラエルにおいて、パレスチナ占領地における人権侵害を監視・リサーチ・リポートし、イスラエルによる占領地のパレスチナ人に対する人権侵害や占領政策に異議を唱えている人権擁護団体 B'Tselem の Executive Director の責にあるイスラエル人(ユダヤ人) Hagai El-Ad のツイートからの 2点(2020年6月24日および 2018年12月26日)。
6) 次もイスラエル人。イスラエル・テルアヴィヴ生まれ(1953年)、現在もイスラエル在住のイスラエル人(ユダヤ人)であり、ジャーナリスト・作家である Gideon Levy の署名記事と彼が言っていることの抜粋、計 2点。
Gideon Levy はイスラエル紙 Haaretz にオピニオンを寄稿し、コラム記事を書いているジャーナリストだが、彼はしばしばシオニスト達によって、ガザ地区のイスラム原理主義グループであるハマスのためのプロパガンダをしている人間だなどと、極めて的外れで愚かなレッテル貼りをされて非難されている、彼自身イスラエル人であり、ユダヤ人である。
7) Boycott From Within 〜 We're citizens of Israel who support the Palestinian call for Boycott, Divestment & Sanctions (#BDS) of Israel 〜 ツイッター・アカウントより。
今月に入ってからまだツイートはないが(直近は 2020年11月26日リツイート)、以下は現在の同アカウントにおけるトップ、固定されたツイート。
8) 以下は、1) で取り上げた Jewish Voice for Peace (アメリカ合州国のユダヤ人の反「イスラエルによる占領政策」、パレスチナ人の人権擁護を旨とする組織の一つ)によるインスタグラム投稿 6点のうちの 6点目、「あなたは、人種差別(主義)に反対しながら、同時にシオニストであることはできない」、意味を崩さず意訳すれば、「あなたがもしも人種差別(主義)に反対するのなら、シオニストであることは止めるべきだ」(同インスタグラム投稿に添えられたテキストには、"If you oppose racism, you should oppose Zionism too!" とある)という趣旨のものの、同組織の Facebook 上のアカウントによる投稿。
この Facebook 投稿に対し、前項の Boycott From Within の活動家であり、反シオニスト、反「イスラエルによる占領政策」、パレスチナ人の人権擁護、BDS 運動支持の活動家であるイスラエル人(ユダヤ人)の一人 Ronnie Barkan が、興味深いコメントをしているので、この (JVP: Jewish Voice for Peace による) Facebook 投稿を付す。
彼は、ここで、"absolutely agree! so how can JVP defend recently giving a platform to a leading apologist for Zionism and its deep rooted supremacy - Peter Beinart?" とコメントして、そのラインにおいては Jewish Voice for Peace をも批判し、他のコメンテイターと議論している。
付録: 自由に機会を 〜 Give FREEDOM a Chance
先月、11月4日付の筆者の note 投稿へのリンク。Give Peace A Chance は言わずと知れた(と思いたい!)、今は亡き(今年も命日が近づいてきた)ジョン・レノンが残した数多の曲のうちの一つだが、その歌と歌詞と、筆者による和訳歌詞。
第4章「映画『いちご白書』の "Give Peace A Chance" のシーンを彷彿とさせる、アメリカ合州国のユダヤ人の若者の団体による、イスラエル・ロビーに抗議するデモ」と、第5章「ちょっと脱線、自由に機会を 〜 Give Freedom A Chance」が、今日の本 note 投稿の内容と関連するので、付録。
第4章では前章で紹介した IfNotNow の運動を取り上げ、第5章ではその 2) において BDS 運動を「反ユダヤ主義」と見做すことの愚かさを、3) においては今日の本 note 投稿の第2章「イスラエル擁護が自己目的化しているとしか思えない日本人の例 〜 『ユダヤ人と日本』という名のツイッター・アカウント」で紹介した同ツイッター・アカウントについて、書いていた。
第5章に関しては、今日の本 note 投稿の該当部分では、その箇所の筆者自身によるテキストからほぼ転載している部分がある。
因みに生前、「平和運動」など社会的な活動に熱心だったジョン・レノン(John Lennon, October 9, 1940 – December 8, 1980) だが、今から 40年前に銃弾に倒れたジョンは、パレスチナとイスラエルの問題については語ることはなかったと思う。残念ながら、当時はまだ現在ほどには「パレスチナ問題」は世界の注目を集めていなかったわけだが、もしも彼がその問題の所在に気づいていたら、おそらくは不当に抑圧され続けるパレスチナ人に寄り添った何らかの発言をしていたのではないかと想像している。