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ジョン・レノン, God 〜 神とは, 我々の苦痛を測るための概念である (歌詞和訳)

歌詞の冒頭の一節には, ハインリッヒ・ハイネ(Christian Johann Heinrich Heine, 1797年12月13日 – 1856年2月17日)の次の言葉に共通したものを感じる。

宗教は救いのない、苦しむ人々のための、精神的な阿片である。


God 〜 歌詞和訳

God 〜 written by John Lennon (October 9, 1940 – December 8, 1980), included on the album "John Lennon/Plastic Ono Band" released on December 11, 1970; John Lennon's first album after the break-up of the Beatles 🎶

英語原詞 https://genius.com/John-lennon-god-lyrics

[ 和訳 ]
神とは, 我々の苦痛を測るための概念である (*1)
もう一度 言おう
神とは, 我々の苦痛を測るための概念なのだ
そう, 苦痛をね

私は 魔法を信じない
私は 易経を信じない (*2)
私は 聖書を信じない
私は タロットを信じない (*3)
私は ヒトラーを信じない
私は キリストを信じない
私は ケネディを信じない
私は 仏陀を信じない
私は マントラを信じない (*4)
私は ギータを信じない (*5)
私は ヨーガを信じない (*6)
私は 王様連中を信じない (*7)
私は エルヴィスを信じない (*8)
私は ディランを信じない (*9)
私は ビートルズを信じない

私はただ 自分を信じる
ヨーコと自分を信じる (*10)
それが リアリティだ

夢は 終わった
私に何が言える?
夢は 終わったのだ
昨日, かつて (*11)
私は夢織り人だった, だけど 生まれ変わったのさ
かつては セイウチだったけれど, 今は ジョンさ (*12)
だから 親愛なる友人たちよ, 君たちはただ生き続けるしかないんだ (*13)
夢は 終わったんだ (*14)

God 〜 歌詞和訳(もう一つのヴァージョンで)

ただし, 歌詞は同じ。

God 〜 written by John Lennon (October 9, 1940 – December 8, 1980), from "Acoustic", a compilation album (released on November 1, 2004) of his songs: demos, studio and live performances that feature his acoustic guitar work 🎶

英語原詞 https://genius.com/John-lennon-god-lyrics

[ 和訳 ]
神とは, 我々の苦痛を測るための概念である (*1)
もう一度 言おう
神とは, 我々の苦痛を測るための概念なのだ
そう, 苦痛をね

私は 魔法を信じない
私は 易経を信じない (*2)
私は 聖書を信じない
私は タロットを信じない (*3)
私は ヒトラーを信じない
私は キリストを信じない
私は ケネディを信じない
私は 仏陀を信じない
私は マントラを信じない (*4)
私は ギータを信じない (*5)
私は ヨーガを信じない (*6)
私は 王様連中を信じない (*7)
私は エルヴィスを信じない (*8)
私は ディランを信じない (*9)
私は ビートルズを信じない

私はただ 自分を信じる
ヨーコと自分を信じる (*10)
それが リアリティだ

夢は 終わった
私に何が言える?
夢は 終わったのだ
昨日, かつて (*11)
私は夢織り人だった, だけど 生まれ変わったのさ
かつては セイウチだったけれど, 今は ジョンさ (*12)
だから 親愛なる友人たちよ, 君たちはただ生き続けるしかないんだ (*13)
夢は 終わったんだ (*14)

訳注「の・ようなもの」

「の・ようなもの」ってのは映画のタイトルです。単なる身嗜み, 見出し並, いや見出しの言葉遊び。

以下, 真面目に「訳注のようなもの」をやります。訳注とは, もちろんヤク中とか薬中とかではありません。良薬(口に苦し)に関する注釈ならぬ「良訳」に関する注釈, それはすなわちここでは「拙者による訳」に関する注釈, つまり「拙訳」に関する注釈であります。だから, この下は, そんな「注釈のようなもの」。

*1 本 note 冒頭で書いたように, 歌詞の冒頭の一節「神とは, 我々の苦痛を測るための概念である」には, ハインリッヒ・ハイネ(Christian Johann Heinrich Heine, 1797年12月13日 – 1856年2月17日)の次の言葉に共通したものを感じる。

宗教は救いのない、苦しむ人々のための、精神的な阿片である。

「ルートヴィヒ・ベルネ覚書」(1840年)

ハイネ って, でもフルネームの頭が Christian なんだよね(笑)。ハイネは中学の時に カッコつけて 彼の詩集を買って読んだけど, 「ルートヴィヒ・ベルネ覚書」は読んでません。

そう, 中学の時に彼の詩集を買って読んだんですよ, ゲーテの詩集とかと一緒に。カッコつけて ♫

真面目にやろう, 訳注。

*2 英語原詞では "I don't believe in I-Ching", I-Ching は日本語の世界ではあまり馴染みがないけれど,

英語では Yi Jing とも書いて, 日本語で言うと「易経」。

*3 タロット について 拙者(本 note の筆者)は詳しくないけれど, タロットは 西洋占星術 とリンクするところがあるらしい。西洋占星術となるとちょっとこのジョン・レノンの歌 "God" やこの曲が収録された 1970年リリースのアルバム "John Lennon/Plastic Ono Band" とか 同じアルバムの中の "Working Class Hero" などと関わってくるところがあって, というわけで, 何となく関心が向かいそうな人は 前回 note の中の Working Class Hero 歌詞和訳の章の第2節あたりを(気が向いたら!)覗いてみていただけると嬉しいです。長いな, 前回 note の宣伝 兼ねて。

*4 マントラ とは,

*5 ギータ は ヒンドゥー教の「聖典」のひとつ「バガヴァッド・ギーター」の略称。日本語では「ギータ」もしくは「ギーター」。

*6 ヨーガ について, *3 に書いたことと似たような背景を些か無理矢理にも感じてしまって, そんなことを言い出すとやはり 前回 note の中の Working Class Hero 歌詞和訳の章の第2節あたりを覗いてみていただければ, とまた前回 note の宣伝!

*7 英語原詞では "I don't believe in kings" と king が 複数形になっていて, ちょっと歌詞全体のトーンから外れる感もあるけれど, kings は「王様連中」という日本語に置き換えました。

ところで, 日本の天皇もまぁ広い意味では西洋の「王様」のようなもの, 要するに「王様のようなもの」ですね。

*8 エルヴィス はもちろん,

*9 英語原詞では "I don't believe in Zimmerman", Zimmerman とは ボブ・ディラン のこと。

Bob Dylan (legally Robert Dylan, born Robert Allen Zimmerman, May 24, 1941) is an American singer-songwriter.

https://en.wikipedia.org/wiki/Bob_Dylan

ジョン・レノン の "God" は 1970年にリリースされた曲だし, 彼自身は 1980年12月8日に亡くなっている(殺されている)。だから, ディラン が 1983年にリリースした恥知らずのイスラエル支持ソング "Neighborhood Bully" のことなど, ジョン・レノンは知る由もない。

しかし, これだけは書いておきたい。当然ながら一般論としてはアートの作品の評価はその作者の政治思想や政治的な行為・言動などに基づいて行なわれるようなことではないが(筆者ももちろん普段は完全にその立場), しかしものには限度というものがある。超えてはならない一線がある。

仮説を措いて考えてみればよい。「ゲルニカ」を描いたピカソが もしも一方で ナチスを礼賛するような絵を描いた過去があって生涯それに関し反省の弁を述べなかったとしたら(もちろんピカソにはそんな過去などない), あるいは "Imagine" や "Give Peace a Chance" などをリリースしたジョン・レノンが もしも一方でヴィエトナム戦争時におけるソンミ村虐殺事件の直後に アメリカ支持ソングなるものをリリースした過去があって生涯その曲を撤回・回収もせず反省の弁も述べなかったとしたら(もちろんジョン・レノンにはそんな過去などない), 後年のピカソやジョン・レノンに対する世評や歴史の評価は, 現実のそれとは大きく異なるものになっていただろう。

なぜ, ボブ・ディランだけは許される? ディランは無謬の「神」のように崇めなくてはいけない存在かい?

note: ボブ・ディランのイスラエル支持ソングは, 1982年のイスラエルのレバノン侵攻と同年9月のベイルートにおけるパレスチナ難民虐殺事件の直後に書かれた

*10 ヨーコと自分

そして,

*11 英語原詞では "Yesterday",

Yesterday は言わずと知れた ビートルズ時代の ポール・マッカートニー の曲。

*12 英語原詞では "I was the Walrus, but now I'm John", 

I Am the Walrus は, ビートルズ時代の ジョン・レノン の曲。


*13 英語原詞では "And so dear friends, you'll just have to carry on",

CSNY のこれは,

ほぼ(笑)関係ありません。

*14 ジョン・レノンの "God" の最後は "The dream is over", この「訳注のようなもの」の最後は,

さてさて 🎶

余談 .. でもないけれど, 要するに ちょっと脱線して 〜 「宗教」ネタ

*以下, リチャード・ドーキンス について 取り上げているが, その後, ドーキンスはクソ野郎だと改めて(文字通り「改めて」)認識するようになったので, その下に参照 note リンクを付けておく(2024. 3.12 加筆)。

以下は, イギリスの生物学者 リチャード・ドーキンス の話 2点(ツイートと YouTube 動画)と, 無名の日本人(いや親からもらった大事な名前ならありますぞ, 笑)の note 4点 と note マガジン。 

「宗教」に関しては, もちろん ユダヤ教, キリスト教, イスラム教 といった アブラハムの「宗教」を含めて, こうなってほしい。大賛成。

911 はあなたをどう変えたか?「(「宗教」に対して)ばかばかしい敬意を払うのは, 皆さん, もうやめにしましょう」(リチャード・ドーキンス)

28:56~ People are always going on about, "How did September the 11th change you?" .. Well, here's how it changed me. Let's all stop being so damned respectful.

*その後, リチャード・ドーキンス については, 奴は 実は 正真正銘 クソ野郎だと改めて認識するようになったので, 参照 note リンクを付けておく。以下の note の「前説」の次の次の章に, ドーキンス と訣別する為の「さらば, リチャード・ドーキンス」の項あり(以下、2024. 3.12 編集・加筆 及び note リンク 追加)。

note 「西洋」の 欺瞞 と 偽善 〜 さらば バーニー・サンダース, さらば リチャード・ドーキンス, くたばれ ユヴァル・ノア・ハラリ, くたばれ ボブ・ディラン, ついでに言うと, ぼのぼの は好きだが, U2 の ボノ は最低だ

さて, 

この下は, 

拙者の note リンク です。

note クリスマス 諸々 note 寄せ集め

note フィレンツェ, ヴァチカンで想起するガリレオ・ガリレイ, ヨハネ・パウロ2世 〜 シネイド・オコナー, 結局「宗教」

note 自然災害の犠牲者に対して 「彼らは神を信じてないからその報いだ」 と語る、(一部)宗教信者の愚劣さ

note 宗教と表現の自由に関するメモ 〜 フランス文化・宗教学者によるフランス「斬首事件」論考の読後感想と私見

note マガジン : 宗教批判、および宗教に少しでも関係があるもの 

文字通り, 「宗教」を正面から取り上げたものから「宗教」に少し触れたものまで。

さてさて。

ジョン・レノン のその他の歌 〜 歌詞和訳集

本 note で歌詞和訳した God と 前回 note で歌詞和訳した Working Class Hero 以外の曲に関しては, 歌詞和訳 note 等のリンク集を, 以下にあらためてリンクを貼る 前回 note の最終章に載せています。

なお, 前回 note ジョン・レノン, Working Class Hero 〜 風刺と痛烈な皮肉 (歌詞和訳)の目次は 次のとおりです。

1. 前説
2. Working Class Hero 〜 歌詞和訳
2-1) 労働者階級の英雄ってのは 大したものさ, なれたらいいけどね
2-2) Age of Aquarius 「水瓶座の時代」の終焉 〜 The 5th Dimension のあの歌を聴きながら 🎶
2-3) Working Class Hero 〜 歌詞和訳
3. 英語原詞 について
4. Strawberry Fields Forever の "someone" 〜 Working Class Hero の "something"
5. Something, Someone, Nobody 〜 Nowhere Man
6. "Working Class Hero", John Lennon/Plastic Ono Band (1970) 〜 同じアルバムに "God" 〜 「水瓶座の時代」, Age of Aquarius の終焉
7. ジョン・レノン のその他の歌 〜 歌詞和訳集


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