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【独自取材】教育困難校の現状は?=教育困難校の生徒指導部から=

 

教育困難校とは?

 授業崩壊が進む「教育困難校」は学力、貧困、行政などの問題が重層的に絡む、現代日本の縮図だ。

用語解説:教育困難校(きょういくこんなんこう)・・・生徒の授業態度や学力の低さ、非行や校内暴力などの問題行動が原因で教育活動が困難な状態にある学校のことを指す。課題集中校(かだいしゅうちゅうこう)と呼ばれることもある。問題になるのは高等学校が多いが、小・中学校でも同様の問題が発生している。クラス・学年単位でこういう問題が発生する場合は「学級崩壊」と呼ばれる。

上記は一般的な言葉ではある。ちなみに、「教育困難校」を文科省のホームページで検索したところ【37件】がヒットした。ほとんどが議事録の言葉の切れ端から出てきたものである。文科省ですらこれしか情報を持たない・もしくは存在の認識を広めようとしていないのだから、多くの人にはなじまない言葉なのかもしれない。

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しかし、教育困難校を考える上で興味深いツイートがあった。なぜ興味深いかと言うと「生きた」意見に感じたからだ。


 このツイートは、学校での日常をプライバシーに配慮して、ツイッターでデフォルメをかけながらつぶやいている「教育困難校の生徒指導部(以下指導部)」さんによるものだ。

ごく一部ではあるが、ツイートを紹介させて頂く。

現場では何が起きている?

指導部さん自身の知る教育現場は「予備校、教育困難校、トップ校」とのこと。「経験から「現場はこうである」とはなかなか言えた立場ではありません」と話したが、体験から来る思うところを教えてくれた。

指導部「見てきたなかで感じるのは『トップ校出身の生徒は困難校に通う生徒の実情は知らないし、困難校に通う生徒はトップ校に通う生徒について知らない』という現実です。これは同じ世界で同じ空間にいても違う社会が共存しているという事を目の当たりにしています」

 教育現場は生徒と教師から成り立っている。指導部さんは教育困難校における現状を以下のように述べた。

指導部多くの高校教員は比較的学力層が高く、困難校に来ると自分の知っている社会と違う社会がある事に驚き戸惑います」「これは学力だけではなく、生活習慣にいたるまで全てに度肝を抜かれます。私は慣れましたが、数年経っても慣れない人は慣れません。そういう違う社会を目の当たりにする機会は多くの人にはおそらくないでしょう」

教育困難校で学び、育った教師が母校で教鞭を持つというのは、世代的に『ヤンキー母校に帰る』を想像してしまう。しかし、公立学校の教員採用試験や私立の採用試験もやはりハードルが高いので、ドラマ(あの作品はほぼドキュメンタリーだけど)のように母校に帰って教鞭を持つことは難しいのかもしれない。筆記の順番で教員を採用するならば、進学校出身者が教員になる割合が高くなることは想像に容易い。そうなると、配属された教育現場では違う文化を持った人間と共存しなければないこともあるわけで、そこに齟齬が生まれていくのかもしれない。

指導部「私が教育現場に思う事はありませんが、私が教育現場にもたらしたいものがあります。

それは私個人が今まで見てきて感じてきた「社会をみる」視点です。

貧富の格差や学力の格差から同じ地域や時代に生きていても、それぞれの人が見ている世界は大きく変わります。

個人レベルでも違いますがある程度の集団になっても見えている世界に違いがあります。

私はその違う世界の橋渡しが出来ればと思っています。

私の目を通して見てきた事、私の経験を通しの考えや感じた事を私の口で伝える事が、多くの人が見たことのない同じ空間にある別の世界(社会)を考え、思いを馳せる機会を作り出せればと思っています。」

エピローグ

どうやら感慨深げな体験をされたようだ。私は指導部さんのような方が教育現場にいれば、「常識がいい意味で」変わっていくと思う。

だが、現実は言い過ぎでなく勉強ができて、熱意を持った教師ですた卒倒するような現場であることも多いのかもしれない。

実は筆者の地元の学校も教育困難校と呼ばれるようになっているのだが、メンタル的な病で学校を跡にする教師もいる。さらに言うと、知り合いも教育困難校に配属されてから、諸事情で教師を辞めている。

採用や現場への考え方、子の育て方は現行のままで良いのかという意見もあると思うが、それ以上に実際にその現場を見ている人の意見を聞かなくては考察にすらならないと思い、指導部さんにオファーおよびツイートをまとめさせて頂いた次第だ。


指導部さんのツイッターは以下からどうぞ。

https://twitter.com/edu_diff

(文責 デイリーチャンネル編集部)

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