下鴨古本まつりの前夜祭イベントということで京都新聞社7階サロンルームにおいて林大地氏とトークショーを行うことになった。司会は樺山記者。多数の古書店記事をこれまで紙面で執筆している古本者である。
下鴨古本まつり+THE KYOTOコラボ企画トークイベント
「“古本病”のかかり方」
8月10日(土)午後5時
京都新聞社7階サロンルーム
https://thekyoto.arena.town/ticket_detail/10020
佐野繁次郎『裸のデッサン』進呈!(ただし数に限りありです、林)
林大地氏には『古本スタイル』04号に寄稿してもらっている。「かなりハマっているぞわたしは」と題してそのすさまじい古本買いの記録を披露してくれた。まさに「古本病のかかり方」(岡崎武志古本大明神の著書のタイトルです)を地で行くモーレツな買っぷりに驚くほかなかった。
小生はこの雑誌のレイアウトを担当しているため、校正を大地氏とメールのやりとりで行ったが、さすがに優秀な執筆者だと感服した。直接お会いしたこともあるが、そのときは挨拶したくらい。いい機会なので、じっくり古本病根を聞き出したいものである。
『古本スタイル』04号
https://sumus2018.exblog.jp/30796649/
そんなことで、林大地『世界への信頼と希望、そして愛 アーレント『活動的生』から考える』(みすず書房、2024年4月25日2刷、増刷とは素晴しい)を新刊で(!)買って読んでいる。まだ半分にも達していないが、いろいろ考えさせてくれる。例えば「物」についてのアーレントの考察を紹介するくだりはちょっと面白い。
「物」はパン、テーブル、絵画に分けられる。う〜む。そして、これらを「物」としてひとまとめにしている尺度は「持続性 Dauerhaftigkeit」なのだそうだ。長持ちするものが善である。
おおお、シンプルな考えだ。しかしこれはさすがにシンプル過ぎるんじゃないか。
美術館にあるものだけが芸術品なのか? テーブルは美術品たりえないのか? 疑問の連続。ただ、次のくだりは傾聴に値する。『暗い時代の人々』所収の「ヴァルター・ベンヤミン」で語られる「収集」をめぐる逸話である。以下本書の引用の引用。
収集が使用対象物を芸術作品にするという主張であって、これにはある程度、納得できる。何でも数が集まれば別物になる(違った価値が出てくる)。ただし、役に立つ、立たないということ自体については、もっと深く考えてもいいだろう。
本の美はどこ? まあ、とにかく、永続性だけで物を分別しようというのは、ごみ収集の分別よりもシンプルかも。燃えないゴミの方が偉いわけだ。
小生は常々本のもっとも顕著な特長は物として存在することだと思っているから、同感するところもあるが、永続ということだけ考えれば、電子の状態になった方が不滅に近いのではないかと思えてきたりして正直ゾッとすることもある。
最後まで読んだら、また感想を書いてみたい。