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最近の文庫本やコミックスを並べた何の変哲もない町の古本屋だったが、表の均一棚にはたまさか黒っぽい初版本の意外な掘り出し物があらわれる
西村賢太『苦役列車』(新潮文庫、令和5年7月20日13刷)読了。表題作「苦役列車」は2010年下半期芥川賞受賞。もう一篇「落ちぶれて袖に涙のふりかかる」も収録されている。「苦役列車」はよく書けている。しかしながら、古本数寄者としては後者がはるかに面白い。 2009年、作者が第35回川端文学賞候補になっている時期、ひどいギックリ腰からようやく歩けるようになって赤羽の病院へ行った帰り、ふと、近くに古本屋があったことを思い出す。そこの店には因縁、いやジンクスのようなものがあった。