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怒るということ-『SERVAMP』C3編所感-

おはようこんにちはこんばんは。すずなです。
今日は私の大好きな漫画『SERVAMP』の話をしたいと思います。
※この記事は作品のネタバレを含みます。ご留意ください。
未読の方にもわかるように書きたいけど、さて、書けるだろうか……。

SERVAMPとはこんなお話。

平和ボケした引きこもりニート吸血鬼・クロと、主夫高校生・城田真昼の、
主従×吸血鬼バトルファンタジー!!

高校1年生の城田真昼(しろた まひる)は、
道端で一匹の黒猫を拾いクロと名付ける。
が、その猫はサーヴァンプという、契約した人間の言うことを聞くSERVANT(下僕)のVAMPIRE(吸血鬼)だった!
クロは「めんどくせー」「向き合えねー」が口癖の超ひきこもりニート系吸血鬼。
契約によってクロの主人となってしまった真昼は、吸血鬼同士の争いに巻き込まれ戦うことになるのだが…?
吸血鬼×主従契約・現代バトルファンタジー!
(コミックスあらすじより)

SERVANT+VAMPIREでSERVAMP(サーヴァンプ)。サーヴァンプは7人+1人いて、それぞれが七つの大罪(+憂鬱)の名を持っています。
クロはお分かりの通り「怠惰」。

1〜2巻がイントロダクション。
3〜4巻が色欲編。
5〜7巻が強欲編。
8〜13巻がC3編。
14巻〜連載中(既刊16巻)。
という感じですが、今回はC3編の話がしたいです。(未読の方にもわかるようにとはいったい)

C3編の主題のひとつに「怒る」があります。
色んな人が怒ったり怒らなかったりしていますが、3人の例を挙げて考えてみようとおもいます。
まず吊戯、そして御国、最後にイズナ。
※読みやすさを考慮して敬称は省略させていただきます。

狼谷吊戯

吊戯は「怒るべきときに怒れねえ奴」です。
嫌なことをされても笑って誤魔化してしまうし、波風を立てない。怒っている描写はずっとありません。
C3編は「誰が憤怒のサーヴァンプと契約するのか」がひとつのカギとなっていますが、吊戯さんが結局契約しなかった(できなかった)のは「何も持っていないから」だけではなく、「怒れないから」というのもあるでしょう。
しかしそんな吊戯も最後には「オレ、怒ってるんだよ」と言う。

有栖院御国

C3編の御国は、一貫して吊戯と対照的な人間として描かれています。
吊戯同様、御国もニコニコしている人ですが、吊戯に対して御国はいつも不機嫌です。この二人についてはnote10本ぐらい書けそうなので今回はこれでやめておきます。

御国の「怒り」に関して、色欲編に印象的な話があります。
父親に不倫相手との子どもがいることを告げられたシーンです。御国は「軽蔑する」と言っていますが、年相応の「怒り」は露わにしておらず、父親はそれを我が子ながらぞっとしたと言っている。

関係ないですが、私は御国が心から笑える日がくるのかが心配でなりません。

イズナ・ノーベル

「誰が憤怒のサーヴァンプと契約するのか」の主要人物です。「憤怒」の最適解を導いたのが彼女なのでしょう。

イズナは「誰かに本気で怒ったことも怒られたこともなかった気がする」と言っていますが、幼馴染みの修平を結果的に戦場に導いてしまっていたことを自省し、憎しみに駆られて父親の仇を討とうとしている彼を「叱る」という役割を果たしています。

怒りとは『価値観』だ。
何が大事か?何がどうでもいいものか?
“何に怒るか”がその人間そのままだ。
-『SERVAMP』11巻-

蛇足かもしれませんが、“吊戯の対照”となると御国さんにばかり目が行きがちですが、イズナもその1人な気がする。「ティンカー」なので。
吊戯のモチーフの1つにジェームス・マシュー・バリーの『ピーターパン』シリーズがあると思います。

怒るということ

C3編は3バカの分を一手に背負って真昼が怒ってくれています。ちなみに、御園もリヒトも結構怒っている描写が多い。
塔間との戦いで「大人と子供」という比較をされていますが、これも大人と子供の違いの一つかもしれない。

「歳をとると怒ってくれる人がいなくなる」と言う人をたまに見かけます。
怒るという行為も体力や精神力を使うから、他人のために怒ってくれる人というのは貴重だし、大切にすべきです。

能動的に考えても、子どもの頃は表していた怒りを大人になると抑えることが美徳とされることが多いです。怒る機会も怒られる機会も減っている気がする。
他人のために怒るというのはなかなか難しいです。こちらの意図を汲んでくれるとは限らないし、相手に嫌われてしまうかもしれない。
それでも本当に相手を想っているのなら勇気を出して怒るというのも時には必要なのかもしれません。

「七つの大罪」が題材になっている作品はかなり多くあります。
SERVAMPは欲を肯定するところが特徴的で、好きなところのひとつです。
ここまで読んでくださった方がいらっしゃる気がしませんが、もし『SERVAMP』読んだことなければ読んでみてくださいね。

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