勉強が超苦手な人のための勉強法入門一歩前 ①幻想を捨てよう!
今回の記事では、今までの記事では触れてこなかったような勉強の初歩の初歩の話をしようと思います。
勉強法を調べるとか教材を調べるとか以前の大事なことを書いていきます。
そういったことの前に、正しい心構え、正しい意識のようなものを持てることが大事だと僕は思っています。
記事の本題に入る前に僕のプロフィールを少しだけ紹介すると、僕は東大卒でオンラインの家庭教師をしています。模試では全国一位を取ったこともあります。勉強のプロです。
また、趣味でソフトテニスをずっと続けています。運動神経は悪いんですけど、年々上達しています。それは僕が、勉強のプロであるというより「上達」のプロだからです。どういう考え方をして、どういう努力をすれば伸びるかということは、人よりは分かっていると思います。
また、運動神経が悪いので、苦手な人の気持ちもよく分かります。家庭教師として教えているときも、勉強が苦手な人が考えていることが手に取るように分かります。
では、こういう経歴の人間だからこそ書ける記事をお届けしようと思います。
今回の記事は、勉強法入門ということで、大学受験生だけでなく社会人も念頭に置きつつ書きます。大学受験生であれば、偏差値50以下の人にはグサグサと刺さるでしょう。それ以上でも偏差値70以下であればチクチク痛むでしょう。70より上の人は「ふーん、勉強が苦手な人ってそんなこと考えてるんだ。そりゃあ成績伸びないよね。」という嫌味な感想を持つかもしれません。
学生時代は勉強が苦手だったけど、資格試験のために勉強しなきゃいけなくなったとか、今になって勉強したくなってきたけど苦手意識が強くて何をしていいか分からないとか、自己流でやっているけど成果が出ないとか、そういった社会人の人にも読んでほしいです。
幻想を捨てよう
まず最初に「勉強」というものに対するイメージを変えていきましょう。意識改革です。
勉強が苦手な人は、勉強が得意な人に対して幻想を抱きがちです。それの何がいけないかというと、「勉強が得意」に対するイメージがズレていると勉強の仕方までズレてきてしまうからです。
記憶力について
東大出てる人って何でもすぐに理解して全部覚えちゃうんでしょ?って勘違いされがちです。そんなことはありません。確かに、人よりは記憶力はいいですが、1回で覚えられるとか全部覚えられるということはありません。
まず、人間の記憶ってけっこう曖昧なものです。コンピューターや写真のように、そっくりそのまま覚えられるということはありません。もっとふわっと覚えています。覚えている・覚えていないの2択ではなくて、その中間のグレーなところがたくさんあります。
だから、全部覚えているか?と言われたら答えようがないですね。中学レベルくらいなら教科書の内容を全て理解できて、頭に入っていると言えますが、それは内容を理解しているっていう意味です。一字一句覚えているかと言われたら全くそんなことはありません。(実のところ、そういう覚え方しても多分役に立ちません。)
頭がいい人はそっくりそのまま覚えられるというのは幻想なので、その幻想は捨てましょう。
全て計算できるか
漫画のインテリキャラにありがちなのが、先のことは全てお見通しで手に取るように予測できるってやつです。頭の中に数式が浮かんでて、全部計算して導き出すみたいな演出もセットになりがちです。これらもありえません。
たしかにいろんな可能性は考えますけど、これもふわっとしています。状況は常に変化するから全部計算しきるなんてできません。ふわっとしています。
「分かった」の基準が違う
頭がいい人は説明を聞いてすぐに理解できるんでしょ?と思われがちです。でも、場合によっては、頭のいい人の方がもの分かりが悪い場合があります。どういうことかというと、理屈を深く考えるから、簡単に納得できないことがあるのです。一方で、勉強が苦手な人は、字面通りの内容を一応頭に入れたら、それで「分かった」としてしまって、それ以上考えないことが多いです。これは「ちゃんと分かった」という状態がどういうものかそもそも分かっていないからかもしれません。説明を聞いて、説明不足のところに気付けるようになる「物分かりの悪さ」があった方がいい場面も多々あるのです。
逆にできることは?
一方で、勉強が苦手な人が思っているよりも、論理的思考力がずっとしっかりしています。例えば、「AならばB」と「BならばA」は違います。「犬ならば足が4本ある」は正しくても「足が4本あれば犬である」は正しくないですよね?「全てのAは〇〇である」と「〇〇であるAがいる」も違います。「盆栽が趣味の高校生がいる」は正しくても「全ての高校生は盆栽を趣味にしている」は違いますよね?
勉強が苦手な人ほど、こういうところがいい加減で、めんどくさくなって投げ出します(上の例を見ただけでめんどくさくなってないですか?)。勉強が得意な人はこういうところがしっかりしていますね。新しい内容を覚えるときに、こういうところをきっちり整理してから覚えます。ふわっとしていません。IQテストで測れるような能力もこういうものに近いところがあると思います。
「頭がいい」と「熟練している」は違う
上で書いたのはいわゆる「地頭がいい」ってやつですね。でも、英語がめっちゃできる人が全員地頭がいいかというとそんなことはありません。なぜかというと、熟練するためには、継続的な努力が何よりも大切だからです。だから、上で書いたような頭の良さがなくても、何かの分野で高い能力を身につけている人はたくさんいます。でも、論理的な思考力があった方が、素早く能力を伸ばせるし、いろんな分野で能力を伸ばせます。
だから、全般的な地頭の良さと特定の分野での熟練は別のものです。
量をこなせ
勉強が苦手な人の中には「本気出せばできる」みたいに思っているタイプの人もいます。そういう人にありがちなのは、ちょっとやればできるようになるという勘違いです。一つ前に書いたように、能力が高い人は、熟練している人です。熟練するまでには相当な時間の訓練を積んでいます。例えば、進学校の生徒は高3から本気出して勉強して、難関大学に受かることが珍しくありません。でも、高2までに全く勉強してないわけじゃないんですよね。小学校から含めて、勉強している時間や量、学校の勉強に限らず頭を使っている時間や量(例えばゲームをするにしてもしっかり考えてゲームをしている)が違うんです。だから、その差は簡単にはひっくり返りません。何年・何十年の差をひっくり返すんだから、気を長く持ちましょう。
また、能力が高いと、量をこなすことが苦になりません。例えば、マラソンの選手が5キロ走るのと、引きこもりの人が5キロ走るのでは大変さが全然違いますよね?勉強が苦手な人はちょっとの努力を過大評価しがちなので、そこは勘違いしないようにしましょう。(もちろん最初の一歩を踏み出すのは超偉いことです!!!ただし、ここで言いたいのは、偉いけど、それだけでは結果は出ないよという話です。)
性格はいい?悪い?
おまけです。頭がいい人は性格がいい/悪いというイメージも持たれがちですが、僕はどっちでもないと思います。性格がいい人は性格がいいし、性格が悪い人は性格が悪いです。
当たり前のことを当たり前にやろう
勉強が苦手な人ほど、頭がいい人は何か高度なことをやっているのだろうと考えて、難しいことに手を出しがちです。でも、当たり前のことが当たり前にできるだけで、どの分野でも一流になれます。僕は高校基礎レベルの復習をして、全国一位になれました。みんな基礎があやしいんです。基礎を一つ一つ、しっかり身につければそれだけで勝てます(基礎というのはただ基礎知識を覚えるというよりも、基礎的な考え方・正しい考え方を身につけることを含みます)。基礎が身についていないという意味では、偏差値30も偏差値40も偏差値50も、正直言ってあまり違いはありません。この辺の差は、ちょっとしたセンスの差や、今までの勉強量の差でついているものなので、気にする必要はありません。成績の上下に一喜一憂せずに正しい努力の仕方を身につけることが先決です。
これはどの分野でも言えることなんですけど、ほとんど全ての人の努力はざるで水をすくっているようなものです。だから、センスの差がそのまま結果の差になります。成果が出る努力・正しい努力の仕方を知れば、どの分野でもそれなりの成果を出せるようになるし、努力が楽しくなるはずです。
効率の良さ・要領の良さ
勉強できる人は効率のいい勉強をしているんでしょ?というイメージも持たれがちです。この「効率の良さ」ってどういう意味なんでしょうかね?正直何を指しているかよく分かんないです。もし、何か楽なやり方があると思っているのだとしたらそれは大間違いですね。いい勉強はしんどいです。僕が思うに、頭をよりたくさん使うやり方が効率のいい勉強のやり方です。同じ1時間勉強するにしても、たいして頭を使わない人と、たくさんのことを考える人がいるわけです。たくさん頭を使った人の方が成績が伸びる。そういうシンプルなことだと思っています。
僕の感覚でいうと、要領よくやろうとは思っていないです。でも、勉強するからにはちゃんと理解してちゃんと身につけようと思ってやっています。ちゃんと理解するにはどうしたらいいかを考え詰めていけば、それが「効率の良いやり方」になっていることはあると思います。「楽をしよう」とは思っていません。「理解したい」気持ちの方が強いです。