タイムラインワークを効果的にするポイント
実は私たちの脳内には自分の「人生の年表」とでもいうべきものが無意識によって作られています。私たちはその年表に基づいて人生を送っているのです。※詳しく知りたい方は前回の投稿を読んでください
タイムラインのワークは、うまく行えると、この脳内年表を書き換えることができるのです。(ということは、うまく行えないと脳内年表には影響できません)
今回の記事は、脳内年表の書き換えにつながるようなタイムラインワークをやっていくためのコツをご紹介しましょう。
タイムラインワークのイメージを持つ
床に書かれている線の上をタイムマシーンにのって移動する。まずはタイムラインワークに対して、そんなイメージを持ってもらうと良いと思います。
床には実際に線を引いて行うこともありますし、線が引かれているつもりで一緒に歩くコーチもいます。 紙などを過去、現在、未来のマーカー(目印)にする場合もあります。
僕は、椅子で過去現在未来の自分を表現して、それらをつないだ線をタイムラインとして利用することが多いです。
では、この人生の流れを表す線の上で、タイムマシーンにのって移動しながら何をやるのでしょうか?
他にも色々ありますが、まずは上記の4つをイメージしてみると良いでしょう。
①過去の体験から「楽しかったこと」「幸せだったこと」「うまくやれたこと」などを探し出して、その体験から「自分が何が好きで、何が得意な人間なのか」のヒントをさがしていくのです
②過去の体験から「成功体験」「頑張れた体験」「成長を実感した体験」「自分の強さに触れた体験」「役に立てた体験」を探して、再体験するつもりでその思い出に浸ることができると「私はできる」という自己効力感が向上します。また「他人と深く繋がれた体験」「分かり合えた体験」「助け合えた/協力できた体験」「応援してもらった体験」を思い出して、それに浸ると「人々は仲間である」という他者信頼感が向上します。この2点が未来を切り開いていく勇気を生むのです
③未来では、今の自分の延長線上ではない、魅力的な世界を自由に描いてみましょう。そしてそんな未来にタイムマシーンで降り立ったつもりで、その世界をリアルに体験しようとするのです。
④そして、そのビジョンが5年後であれば、5年間どのように過ごしていくと、5年後のビジョンに到達できるのか、そのプロセスを明らかにします。1年後はこうなっている。などのサブゴールを作るのも良いですね。未来に進む道筋ができると、確信をもって進んでいけるようになります。点としてビジョンが遠くに浮かんでいる状態ではなく、線としてビジョンと繋がっている状態をつくるわけですね。
こんな風にタイムマシーンに乗ったつもりで、過去や未来を体験しながら、タイムライン場に価値あるイメージをしっかりと載せていきたいのです。
それがクライアントの脳内に定着すると、人生が自然と変わってくるのです。
ディズニーのキャストになろう
さて、タイムラインワークを機能させるポイントはディズニーランドのアトラクションのキャスト(係員)のように、コーチが相手をイメージのに引きづり込もうとすることです。
キャストが躊躇してたり、すかした態度をとっていたら、ディズニーの世界観に入り込めませんよね。タイムラインワークも同じで、脳内のタイムラインに修正をかけようとするなら、過去も未来も感情を伴ってしっかりと体験することが重要なのです。ある程度の感情を伴わないと、新しく記憶されないのが脳の性質なのです。
だから、タイムマシーンにのって、過去に戻ったように、その気になってありあり体験してもらいたい。そのためにコーチも、その世界に入り切ると決めるのです。コーチが冷めていてはダメです。未来に行くときも一緒です。本当に5年後、10年後にきて、クライアントの理想の世界にいると信じて、その気持ちでやり切るのです。
クライアントよりも先にその世界に入り、クライアントよりも強く感情を感じて、クライアントをリードするということです。
やりすぎでクライアントに引かれることもありますが、9割以上のコーチは、やらなすぎのため、クライアントに大きな変化が起こらないのです。ぜひディズニーのキャストように自分に振る舞わせてあげてください。
な 「楽しい過去を思い出す」「過去を良い方向に書き換える」「魅力的な未来を思い描く」などいずれをするためにも、クライアントは良い心の状態でいることが重要なのです。
クライアントによい心の状態でいてもらうためには、常にコーチがクライアントより良い心の状態でいることです。
ぜひ一緒にタイムマシーンを楽しむパートナーとして、あなた自身も感情豊かにいてください
タイムラインに「つながる」ために
過去であれ、未来であれ、感情を伴ってしっかり体験できることが大切だと言いましたが、そのためには、タイムライン上のどこからワークを始めたらいいのでしょうか。
コーチのやりやすいやり方でスタートしてもいいです。やっぱり慣れていると上手にリードできますから。とは言え余裕ができてきたら、クライアントがイメージしやすい地点からスタートするのが良いと思います。
過去の話が思い出しやすそうなら、過去から。すぐにでも未来がイキイキと語れそうなら未来から始めればいいのです。
※どんな風に関わると、ありありと体験をしてもらえるかは、以下の記事などを参考にしてください。
未来から始めた場合。クライアントが語る未来が、まだまだ現状の延長線上で、もっと制約を外した自由な未来を描いてもらいたい場合は、最初の未来を聞いた上で、もっと先の世界へとタイムラインを進んでいけばいいのです。一方で、十分に自由で魅力的な未来が語られたと思えたなら、そのときは、その未来と現在の間を埋めていくように、サブゴールをつくったり、プロセスをイメージすればいいですね。
先に未来を描いてから、その未来と関連する過去を探すのも有効です。未来を描いた上で
「この未来と関連しそうな一番古い記憶はなんですか?」
「他にはこの未来と関連するどんな体験がありましたか?」
などとやるだけで、過去と未来が繋がって、自分の人生に納得感を持てるようになりますし、それらの過去にもタイムマシーンで行ってみて、そのときの出来事をありありと思い出すのも良いです。その上で、もう一度
「これらの体験も踏まえて、あの未来はもっとどうなると良いでしょうか?」
などと問いかれれば、さらに魅力的な未来になっていく可能性もありますね。
分けると分かる
一点注意なのですが、「現在と未来を混ぜないこと」「過去と未来を混ぜないこと」「現在と過去を混ぜないこと」は大切です。
クライアントが未来の場所に立っているのに、過去の話をしていることありますね。その場合は、「いまは未来にいる」ということを教えてあげて、未来の話をしてもらうか、思い切って、過去の場所に移動してから、過去の話をきいてください。
「分ける」と「分かる」は語源が一緒です。分けて考えるから「分かる=理解が進む」のです。
特に未来は現在や過去に引っ張られがちですが、しっかりと切り分けて「純粋に未来を語れる」ようにかかわることが大切です。実際にコーチングしている様子を見ると、頻繁に混ざっていますので、ぜひその点気をつけてみてください。
スコープと1対1の原則
コーチはあらかじめ、どの程度の長さのタイムラインを歩くか(スコープ)をイメージしておくと良いですね。生まれてから亡くなるまでの人生全体を歩くのか、ここ2〜3年のことを考えるのか、全然やることが違いますね。
その際に「1対1の原則」を押さえておくとよいです。過去と未来を1対1にするのです。
10年先を考えるなら、過去10年間も振り返ってみる。1年後の未来までイメージするなら、1年前の過去のことも思い出してみる。簡単ですね。
この原則をベースに、今日はどれくらい先まで思い描くと良さそうかな?だとしたら、過去はいつくらいから振り返ったらいいかな?と考えるのです。
現職史のタイムライン
誰かが作ったタイムラインのパターンを使ってみるのも良いです。使い続けられているパターンはよく出来ているものが多いからです。
先日ご紹介した現職史のフレームワークをつかったコーチングなどは、タイムラインの練習をするのに、もってこいの素材だと思います。
現職(現在の仕事)について考えていくタイムラインなので、マーカーを
・入社のきっかけになった出来事
・入社当初の記憶(良いもの/悪いもの)
・好きだった業務/嫌だった業務
・良かった人間関係/難しかった人間関係
・現在の良いところ/課題
・理想の未来
と6箇所をおいています。そして、きっかけから順に話をききながら、未来へと進んでいけば良いのです。コーチはそれぞれのエピソードから出てくる気づきを言語化していくのをサポートしていきます。
簡単で効果的なプロセスなので、解説記事も参考にして、ぜひ練習してください。
このプロセスになれると、さまざまに応用がききます。お子さん相手に「学校でしたいこと」を考えるのにも使えるし、アスリート相手に「現役時代にやりたいこと」を考えることにも使えます。「どんな家族でいたいか」「このボランティア活動で何を起こせたらいいか」などさまざまなテーマに応用できますね。
是非活用してください
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