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前編はスケーリングを多用しながら、クライアントが見落としていた「事実」を明らかにしていき、クライアントの「できる感」が向上するように関わっていきました。
でもコーチは感じています。今回の件だけなら、これでやれるかもしれない。だけど、今後も似たような問題は起こるだろうな。
無意識的に「遠慮する」「少しでも揉めそうなことを過剰に避ける」「自分の価値を自分で割り引く」。。。。
これはAさんのライフスタイル(≒生き方のクセ)なのです。Aさんは過去の体験から、このような生き方を選択して、これまでの人生で繰り返してきたはずです。せっかくの機会だから、根っこの部分から変わるような時間にしてもらいたい。コーチはセッションの舵を切ります
とは言え、まずは下準備からです。現在の人間関係を椅子で置いてもらいました。配置は以下の通りです
まずは現在の関係性のチェックを進めます。
一番推してくれてるというB部長の話を聞いてみました。本当に素晴らしい関わりをしているのだと思います。だから劇的な変化が起こるのでしょう。
まだ前半の続きをやっているように見えるかも知れませんが、コーチはこの後の「狙い」に向けて着々と準備を進めています
相手役を特定する。これはコーチングでもカウンセリングでも大事なことです。結局最終的には、特定の個人とどのようなコミュニケーションが取れるかで、人生が変わってくるわけですから、誰を相手にしたいのかを絞り込みたいのです。
こうする中でSさんの重要さが浮かび上がってきましたね。
さて、いよいよ準備が整ったようです。「狙い」に向けてスタートです。
このように、リアルに(臨場感を持って)、実際の場面でAさんの中に何が起きるのかを見せてもらいたかったのです。現場検証と呼んでいます
手法としてはフォーカシングも併用しています。心の声を聞き出すのにとても良いやり方だからです。
※フォーカシングは以下の記事などを参考にどうぞ
うまく行きそうなので、つづきは椅子でやります。
新しい椅子が配置されたのは右端です
僕はふたたび落ち着いたトーンで、Aさんの心に問いかけるように
壮絶な背景が出てきました。この状況だと、子どもは①自分OK②他人OKのやうな世界観を作りにくいですね。
居場所がない、自分に肯定感や効力感が持てない、信頼できる人がいない。これだと前向きに生きていくのは難しくなります。
そんな中クライアントはどうやって生き抜いてきたんだろう。なにがこの人を支えてきたんだろう?
コーチはそれをきいてみました
「嘘をついて人の輪に入る」
それが彼の生き延び方でした。自分でない自分を作ることで居場所を手に入れようとしたわけです。
苦しい選択だったね。と思ってコーチはため息をつきます。こうやって居場所を手に入れたら、それと引き換えにずっと怯えることになってしまう。本当の自分を出せないのですから。。。。
だから「結局分かってもらえない」と思ってしまうのかな??
とコーチは投げかけました。このことによりクライアントの洞察が進みます。そしてクライアントの発言に、コーチが言葉を出していくことで、クライアントの認知が動いていきます。
「もう状況は変わっているのに、子供の頃の自分はまだ諦め続けている」
そんな風にクライアントが自分自身を客観的に見れるところまで認知が変化してきたわけです
他には?
のチカラは本当に偉大ですね。僕は「必ず何かあるはず」と思って質問しています。だって、誰かとの素晴らしい関わりがなかったら、今のクライアントが誰かに対してこんなにも頑張っていることの説明がつかないからです。
そうして出てきてくれたのが、小学校4.5年生の勇気づけの達人だったわけです。正直な話、僕はここでホッとしました。これで先が見えたからです。
「そのお兄ちゃんがあなたの最初のコーチだったんだね」
こういうのは僕の好きな「かまし」です。「えっ?」という空白を作っておいて、ドカンと感情が動く言葉を続けるのです。
あなたのコーチングは、そのお兄ちゃんの関わりそのもの=人の命を救うようなもの、と言っているわけです。
クライアントの涙腺が崩壊しました。僕もボロボロ泣いていました。
それはB部長にまでちゃんと伝わっている!!!
せっかくなので、お兄ちゃんも椅子を出して可視化します。このポジションにも座ってみてほしい
椅子が出たのでまずは
コーチは引き続き、クライアントが役に立つ認知を持てるように、少しずつ言葉を足していきます
やっぱりこのお兄ちゃんはすごかった。Aさんの人生を変えてくれた人だけありますね。
どんどんと整理が進んできました。
コーチは「ここだ!」と感じて、最後の一押しをしに行きます
あなたは子どもの頃の自分に負い目を感じていた。だから自分の価値を値引きすることを続けていた。だけれども、本当に価値を生んでいたのは、子どもの自分だったんだね!!!!
だから、この子の分をちゃんと貰おうね!!!
というロジックでクライアントに投げかけたのです。
うまくクライアントにハマって、クライアントの表情はバッと切り替わりました。
ということで、ここからは、また前半のコーチングの続きに戻り、どのようにS部長に相談するか、そしてどのように契約更新に臨むかを一緒に考えることになりました。
僕が広めてきたコーチングは、こんな風にさまざまな関わりを通じて一緒に新しい人生を作っていくものです。僕はこんなコーチングカウンセリングをするコーチであることに誇りと喜びを感じています。
後日、「こちらの言い値で新年度の契約が締結しました」と報告がありました。そのことも嬉しかったのですが、僕にとってさらに嬉しかったのは、Aさんがますます楽しそうにコーチングの話をしてくれたことです。やっぱりあなたはコーチングヒーローだったね。そして、あなたを見出したH兄ちゃんは本当にすごい伝説のコーチだったね!!!
おわり
僕たちと人生を変えるコーチングがしたい方は