アドラー派コーチと呼ばれていますが、実はその中身は
僕自身アドラー心理学について話をすることも多いし、僕のスクール「アナザーヒストリー」も「アドラー心理学&コーチングが学べます」のような見せ方をしてきました。だから
僕をアドラー派コーチだと思っている人も多いし、うちのスクールの卒業生も「アドラー派コーチ」ということになっていると思います。
でもアドラー派コーチって何だろう?
アドラー派ときいて『嫌われる勇気』の「哲人」の関わりをイメージする人がいるとしたら、あれとは全く違います!!!違いすぎます!!
私たちはコーチです。だからあんなにいろいろと教えません。もっと相手の話をききます。そして相手に質問したり、さまざまなワークをしてみます。
僕たちはその時々の関わりの指針として、アドラー心理学の思想を使っているだけなのです。アドラー心理学の考え方こそ、現代社会を幸せに生きていくのに役にたつと考えているからです。
そしてコーチングで使っているスキルに関しては、僕たちは折衷派です。いろんな流派のスキルを使っています。アドラー心理学が生まれてから110年間の間に開発された諸流派のスキルの中から、使いやすく効果的なものをピックアップしているのです。
コーチングの背景
これは「コーチング心理学概論」から借用した図に書き込みをしたものです。
現代コーチングの背景となる思想や流派が載っていますね。
真ん中やや右下にGROW /行動主義とありますが狭義のコーチングはこのあたりが発祥です。ここからCoachU(日本ではコーチ21)やCTIが生まれ、ICF(国際コーチ連盟)が作られています。
これらのバックボーンになっているのはロジャーズやマズローの人間性心理学です。そしてそれをさらに遡るとアドラー心理学に至るわけですね。
アドラー心理学は、人間性心理学だけではなく、認知行動療法にも影響を与えていますし、家族療法にも影響を与えています。そして
認知行動療法からは認知行動コーチングがうまれ、家族療法からはシステムコーチング(組織や家族を対象にしたコーチング)が生まれています。
人間性心理学と家族療法とエリクソン催眠に影響をうけてNLP(神経言語プログラミング)が生まれました。これを応用したのがNLPコーチングです。
僕はGROWなど狭義のコーチングのスキル以外に、上記の全てのスキルを総動員して行うコーチングを教えているのです。
・人間性心理学→傾聴、フォーカシングなど
・認知行動療法→認知再構成法、行動活性化、エクスポージャーなど
・家族療法→システムズアプローチの介入法
・NLP→タイムライン、ポジションチェンジ、サブモダリティチェンジ、パーツワークなど
みたいなイメージですね。アドラー心理学をルーツにした現代の諸流派の「使えるスキル」をいいとこ取りして、使えるようにしているのです。
僕がどんな風に折衷しているかは、例えば以下のケースをどうぞ。とてもとても興味深いセッションです。
どうして諸流派の技法を綺麗に折衷することが出来るのか?それは、これら全ての流派の背景にあるアドラー心理学の思想をベースにしているからなのです。
アドラー心理学の思想とは
アドラーの思想についてはノートにこれまで色々書いているので、そちらも参考にしてもらったら嬉しいです。例えば以下のシリーズ
ここではコンパクトに僕たちコーチが大切にしているアドラー心理学の要素をお伝えします。
①自分らしく自己実現
自己実現とは社会で言われる「成功者」になることではありません。自分が生きたいと思う人生を生きること。自分のありたい姿で生きること。自分の持って生まれた可能性を開花させて生きることです。
僕たちは全人類がそう生きてくれたらいいと思います。自分だけの可能性を探求する。それが何であれ、その結果として生まれるものをこの地上に出現させる。それが生きる喜びであり、意味だとおものです。
そのためには皆が自分の人生に取り組むことが大切です。だから課題の分離(他人の課題に踏み込まないこと)が大切なのです。
②自己犠牲なき社会貢献
もう一つのフォーカスは貢献です。人間はコミュニティの中でしか生きられないものです。だからコミュニティにとって貢献できる自分でありたいのです。ただしその際「自己犠牲なき貢献」であることが大切なのです。自分が辛いこと、苦痛なことで貢献しても苦しいわけです。だからまずは自分らしさを大切にしながら、その自分らしさで貢献できることを探求したいのです。
③共同体感覚という指針
「共同体感覚」とは、共同体のメンバー全員が「居場所」と「出番」があると感じられている状態です。
赤ちゃんであっても、病気や怪我で苦しむ人でも、おじいちゃんおばあちゃんでも、そしてもちろん全ての人が、いつでも
「自分には居場所がある。出番(=役割)がある」と思える。それが共同体感覚がある状態なのです。
僕たちは、その状態が世界中に広がることを目的としてコーチングをしています。それがアドラー心理学が掲げる理想だからです。
そのためには、まずは小さな共同体感覚でもいいのです。友達グループで、家族で、仕事仲間で、まずは小さな共同体で共同体感覚を感じる。そうすると勇気が湧いてきます。もっと何かしてみたくなります。そうしたらもう少し大きな共同体の範囲を広げて、そこでも共同体感覚を自分も含めて皆が持てるように行動していく。それが幸せな人生であり、幸せな社会を作っていく手段であると考えています。
共同体感覚は人類の希望であり、勇気(前向きなエネルギー)の源泉でもあるのです。
④コミュニケーションへのこだわり
僕たちは対人コミュニケーションにこだわっています。なぜならコミュニケーションによって、他人とわかりあい、協力し合えるからです。
けれども、まずは自分とのコミュニケーション。自分をいい状態にし、自分の気持ちを知ることです。
そして他人とのコミュニケーション。相手の立場に立ち、相手の視点から世界を見てみること。そうやって相手が考えていることを理解することです。
その上で、自分の思いを相手に伝え、これからどうして行ったら良さそうかを一緒に決めるコミュニケーションです。
これらが出来ると、人は幸せになるのです。
⑤ライフタスクに取り組む
アドラー心理学の対人支援のフォーカスは生活の悩みや課題です。具体的には以下の3つです。
・家族の課題
・仕事の課題
・交友関係の課題
自分らしく生きたい人生を生きるだけでなく、生きていく上では他者との協力が必要な課題があるのです。それが上記にあげた3つの課題です。それにクライアントが前向きに取り組み、望む結果を手に入れらるように支援したいのです。
⑥ライフスタイルに向き合う
ライフスタイルはアドラー心理学用語で「認知行動パターン」のことです。人は人生体験の中から、固有の考え方や行動の仕方を形作ります。そしていつでもそれを使って、人生の課題に取り組もうとするのです。
それでうまくいかない場合、人生は苦しいものとなります。だから自分の考えグセや行動パターンに向き合い、それを自ら変更していくことが必要になるのです。そしてそれは可能なのです。ライフスタイルは過去の自分が作ったものだからです。そして新しいライフスタイルで人生の課題(ライフタスク)に取り組み、幸せになっていくのです。
この辺りが僕たちがコーチングをしているときに指針にしているアドラー心理学の考えです(他にもありますが。。)僕たちは、これらの考え方を指針としながら、クライアントが幸せな人生を生きるために何ができるか仮説を作り検証しているのです
初心者の方におすすめ
そんな僕たちのコーチングですが、学びたい場合は、まずはこのあたりのスキル練習からはじめると良いです。
ちなみにもっと基本から行きたければ、おすすめの本は↓こちら。名著です!!
スクールの卒業生がしたセッション
アドラー心理学の考え方が身に染み込んで、スキルも自然に展開できると、こんな風になっていきます。
以下のスクール卒業生のセッションは、まさに僕たちがやりたいと思っているものです。
こんなコーチングできるといい。そう思ったら一緒にトレーニングしましょう。頭と心と身体をしっかり動かせばできるようになります。
僕のセッションもどうぞ
誰からコーチングカウンセリングを学ぶかを選択する際には、先生がどんなセッションをするかを知ることが大切です。ちなみに僕のセッションは以下のリンクのような感じです。どちらもディープカウンセリングでもありますけど、コーチの仕事であるとも言えます
これを見てもらったら分かる通り、別に僕はアドラー心理学の技法を使っているわけでもないし、いわゆるコーチングでもありません。だけど僕はアドラー心理学の理論や思想をガイドラインにしているコーチです。
最後に
アドラー心理学が掲げるゴールは「共同体感覚に溢れる世界」を実現することです。僕たちはそれにコミットしています。
だからクライアントだけが良ければいいと思っていない。クライアントの周りの人たちも共同体感覚を感じられるような未来につながるコーチングができるコーチでいたい。
そして、べつにクライアントだけが対象ではないのです。家族、仕事仲間、近所の人。ランチを出してくれた店員さん。コンビニの外国人バイト。すれちがった小学生。みんなが少しでも元気を出してくれたり、いい世の中だなと感じてくれるようなコミュニケーションをとれる自分でありたい。
その延長線上に「共同体感覚に溢れる世界」があるからです。
そのためにはセルフケアもして自分にもいい状態をつくってあげたい。
そんな風に生きるコーチ。それがアドラー派コーチなのです。
僕たちと世界を変えるコーチングを身に付けたい人は