ブラック・ジャック展(六本木ヒルズ 森タワー52階)
私が通っていた大学の図書館には
手塚治虫の「ブラック・ジャック」が置いてあった。
私は空き時間やレポート作成の休憩にそれを読んだ。
夢中になるまでに時間はかからなかった。
私のブラック・ジャックとの出会いであり、好きになったきっかけでもある。
やがて私は医大生(後に医者となる)と付き合うようになり
デートで手塚治虫展に行った。両国国技館の隣の江戸東京博物館で開催していたのだ。
手塚治虫が好きだからというわけではなく、私はブラック・ジャックが目当てだった。
今年の秋、六本木でブラック・ジャック展が開催されると知った私は食いついた。これは行くしかない。
どうやら漫画掲載開始から50年を迎えた記念に開催となったようだ。
すぐに行きたかったが、10月はなかなかに仕事が忙しかった。
既に行った人の反応を見ると、「4時間かかる」と書いている人が何人もいて私は愕然とした。
そんなにかかるのか…。
そこで私は土日に行こうとしていたのを取り止め、平日朝一に行くことにした。
ちょうど10月は平日に振替休日があるから、その日にチケットを買えばいいと思った。チケットは事前に買え、後は当日を待つだけとなった。
私がブラック・ジャック展に行く日は秋晴れで最高気温も23度と過ごしやすかった。
ブラック・ジャックと言えば黒のコートか白衣だから、黒か白のコーデで行こうと考えた。
本当は革ジャンで行きたかったが、最高気温23度では脱ぐことになるだろうからやめておいた。
ブラック・ジャック展は10時開始で私は10時~のチケットを購入した。
場所は六本木ヒルズの森タワー52階。
六本木ヒルズに行くのは久々だ。
六本木は都会なので行くのは少し腰が引ける。
まして52階とは。大都会の象徴のような数字だ。
六本木駅やその付近ではブラック・ジャック展の告知が至るところでされていてテンションが上がった。
係の人に聞きながら六本木ヒルズの森タワーになんとな到着した。
ガラス張りの建物だ。
既にたくさんの人がいた。
森タワー52階では北斗の拳大原画展もやっていたが
私が行った時はほとんどの方がブラック・ジャック展目当てだった。
私と同じように黒や白のコーデの方やグッズを身につけた方の姿を見掛けた。
余談だが、私が「北斗の拳」を初めて読んだのはやはり大学生の時で、一番仲がよかった友達から布教される形で借りた。
確か原作だけでなく、アニメも借りて見た。
私の大学生時代の思い出の二作品が隣り合わせで展示会をしているのに縁を感じる。
受付でローソンチケットとチケットを取り替えた後は、QRコードをかざしてゲートを通り、エレベーターで52階を目指す。
なお、この後も2回QRコードをかざして進む箇所があるので、チケットは取り出しやすい位置にしまうとよい。
エレベーターが苦手な私はうぅぅ…と少しうなだれながら52階に到着した。
ブラック・ジャック展の入口手前には北斗の拳コラボカフェが見えた。
北斗の拳のチケットがなくても入れるのだろうか。謎だ。
入口では係の人からペットボトルをカバンにしまうように言われ、リュックの方は背負うのではなく、前で持つよう言われていた。
トイレは受付から入場してしまうと途中にはないので、受付から入る前に南側にあるトイレを利用した方がいい。なんせ長丁場になる(私は六本木駅にて済ませた)。
イベント告知のデカデカとしたポスターを抜けると、そこには52階ならではの見晴らしのいい景色が広がっていた。ガラス張りからその世界が覗けた。
東京タワーが見える。
青空や高層ビルをバックにブラック・ジャックの名シーンや名場面が引き延ばされたパネルになり、飾られていた。
受付付近は撮影可なので撮るが、天気が良すぎて逆光になってしまったのが残念だ。
更に、日当たりが良すぎてこのエリアは気持ち暑かった(逆に、原稿エリアはクーラーきいていて涼しい)。
ここには手術台やブラック・ジャック先生のフォトスポットがある。
X(旧Twitter)情報だと、撮影係はいないし、ぼっち参戦だと自分を入れての撮影はできなくて残念だと聞いていたが
平日朝一だからか、私が行った時はお互いに撮り合いましょうという流れになり、撮ったり、撮ってもらったりした。ラッキーだ。
平日朝一も想像以上に混んでいたので、土日祝日で来ていたら多分撮影は頼みにくかっただろう。
どこぞの幼稚園や小学校の団体も来ていたのだ。
私は入口のフォトスポットだけで私は20分もいた。フォトスポットは列ができていた。
フォトスポットを抜けると、ブラック・ジャックのメインキャラクター紹介エリアがあり
更にそこを抜けると、白い壁にブラック・ジャックのキャラクターが描かれている。
その向かい側には手塚治虫先生の机を再現したものがあった。
その先からは撮影不可エリアである。
まずはブラック・ジャック以外の作品資料や虫プロ倒産の記事、手塚治虫の医師免許証、博士論文等(字が上手い)が飾られている。
また、モニターでは手塚治虫の家族や関係者のコメントを見たり、聞くことができる。
人だかりが凄かったし、序盤から止まるわけにはいかなかったので、私はモニターに関しては最初から最後までは見ていない。
その先はひたすらに生原稿である。
噂には聞いていたが、ひたすらに生原稿、生原稿、生原稿、生原稿である。
全話分は展示されていないが、主要なテーマごとにピックアップされた話の数ページ、数コマずつが飾られている。
ブラック・ジャックは1話完結の作品だし、1話から順に載っているわけでもない。
だからこのエリアは空いている場所からどんどんいかないと、読むまでに時間がかかる。
平日だからまだ人はいない方なのだろうが、それでも人の数はかなり多く、館内では係の人が「○○エリアは空いています。」とかなんとかしょっちゅう言っていた。
私はぼっち参戦だったので混んでいたとはいえ、ほぼ自分のペースで順路ごとに読み進めることができた。
頭上では巨大なモニターがアニメ版ブラック・ジャックの1シーンを繰り返し流していた。
生原稿の修正ペンや手描きの台詞、ベタ塗りを見ながら、リアルだなぁと感じつつ
あぁこの話あった、この話もあったなぁと懐かしい気持ちになった。
忘れている話は一つもなかった。どの話も見覚えがあったのだ。
生原稿エリアを抜けると、いくつかのモニターが昭和の事件を流したりもしていた。
また、それまでは各話数ページずつだったが、出口付近ではとある話の全ページ分が展示されていた。
私の好きな、お寿司を握るのが上手い人が事故で両腕をなくし、事故加害者の人と二人三脚で寿司握りの特訓をする話だ。
解説を読むまで、リボンの騎士のキャラクターとは知らなかった。
出口最後には手塚治虫先生と娘のプライベートツーショット写真が大きく飾られている。
娘さんはピノコに似ているとか。
出口を抜けると、付箋が壁にたくさん貼ってある。
感想を書いて貼るらしい。
さらにそこを抜けるとグッズ売り場「崖の上の一軒家」がある。
輸血に見立てた赤いゼリーやTシャツ、ブラック・ジャック関連のグッズはかなり売り切れていた(ピノコグッズは割とあった)。
私はプリントクッキーとキーホルダーを購入した。
その先はコラボアフタヌーンティーを頼める(予約者のみ)。
アフタヌーンティーは二人前。一人だと多いし高いし頼めないのが残念だ。
ブラック・ジャック展に行き、私は原作を読み返したくなった。
Amazonでポチッと大人買い。届くのが楽しみ。
グッズ売り場付近も外の眺めが見事だった。
前に一緒に手塚治虫展に行った元彼は高層ビルが大好きで、付き合っていた当時はよくこんな風な眺めを一緒に見たことを思い出した。
元気だろうか。
今もまだ医師をしているのだろうか。
思い出すのは元彼の笑顔や別れた数年後に言われた復縁の話だ。
首を振る。
全てはもう思い出なのだ。
一人でブラック・ジャック展を見て、元彼を思い出すことはしても泣くことはない。
ブラック・ジャック展を私は見終わるまでに2時間30分くらいかかった。
平日朝一でこれなら、確かにじっくり見る方や土日祝日に来る方は3~4時間は覚悟した方がいいのかもしれない。
森タワーから出ると、巨大な蜘蛛が見えた。
ママンと言うらしい。
記念にパチリ。
明日からまた仕事だ。
今週もハードそうだが、ブラック・ジャックの漫画が届くのを楽しみに仕事を頑張ろう。
コロナ禍の間、東京でやっていた美術展や漫画展をいくつもいくつも諦めた。
5類になってよかった。
今日ブラック・ジャック展に行けて本当によかった。大満足。