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天然石やパワーストーンに魅せられて

天然石やパワーストーンが好きである。
おそらく、そういった女性は多いと思う。

 
私が石に興味を持ったのは、小学校三年生の時である。

親戚から、木箱をプレゼントでもらった。
その木箱は蓋を開けると木の枠組みで仕切られていて
枠の中には様々な石が入っていた。
石には白い小さなシールで番号が貼られ
木箱の中に入った解説書には、何番の石が何という名称かが書かれていた。
確か20個くらい石が入っていたと思う。

花崗岩とか玄武岩とか
それはその辺の空き地や通学路では見たことがない特別な石で
まだ理科で習っていない石だった。

 
まず、木箱枠組みという時点でもう興奮してしまう。
木箱だって、今まで持っていなかった。
そこの枠組みに入っている石なんて、非常にそそる。

「うわぁ…うわぁ……!」

私は一つ一つ石を手にとっては
その見たこともない石の美しさに見とれた。
なんて美しいのだろうと思った。
親戚のセンスに拍手したい。

 
理科の資料集で石の勉強をした時はニヤニヤした。
ミニチュア版を木箱で持っていると思うと
秘かにどや顔をした。

  
余談だが、石の特徴を覚える時に塾で教わったやり方が 
【安産!流産!元気な子!囲んで閃光、半殺し!】だった。
なかなかインパクトがある。
お陰で石の分野は得意だったし、未だにその覚え方を覚えている。

塾の先生、ありがとう。

 
 
私が石に興味を持っていると知らない母方の祖母は
祖母のチョイスでアメジストの石をくれた。
ナイスチョイスである。
手のひらに乗るくらいのサイズで
外側は石感があるが、中側が紫の水晶型をしている
よく売っているタイプのあれだ。

だが、そのアメジストの上には石でできた羽ばたく鳥が乗っていた。
この鳥がついているタイプは、なかなかレアだった。

 
私はこちらを部屋に飾ってニヤニヤしながら見た。
アメジストの色合いや水晶型が素晴らしい。

木箱は机の引き出しに入れ、時々眺めてはニヤニヤした。
宝物が引き出しの中にもあることがまたときめく。

 
 
そんな中、アニメや漫画でセーラームーンを知り
私は更に石に興味を深めていく。

セーラームーンの敵は鉱物から名前がつけられていた。
ネフライトやクンツァイト等四天王キャラクターが石に姿を変えて
千葉衛の手の中におさまるシーンはハァハァした(原作)。

私も将来的には四天王の石がほしい。

 
ネフライトが使う黒水晶にもハァハァした(アニ
メ)。
私もターゲットに向かって黒水晶を差し向けたい(オタク)。

 
 
私が高校生や大学生の頃、学校最寄り駅の駅ビルにパワーストーン専門店があった。
学校の近くにも他のパワーストーン専門店があり
私はその世界にハマッていく。

姉や仲の良かった友達も好きだったから
よく一緒に買いに行った。

 
私はパワーストーン単体で購入し、御守り入れに入れて持ち歩いた。
身につけたいより、コレクション派なのだ。

パワーストーン専門店では石も単体で売っていたが
10~20代の女性はブレスレットを好んで購入したし
自分好みにカスタムする人も多かった。

  
パワーストーンの店はどんどん増え
時代はそういった流れになっていた。

 
私は友達から水晶のネックレスやガーネットのネックレス、天然石ブレスレットを誕生日プレゼントにもらったので
それを機に、アクセサリー派に移行した。

自分でブルームーンストーンの指輪やマザーオブパールのブレスレットを買い
私は身につけていた。
私は特にムーンストーンが大好きで
地元だけでなく、仙台旅行に行った際も買った。
たまたま仙台のお店に、いいムーンストーンがあったのだ。

ずんだ餅や牛タンデビューもしたし
松島で「松島や あぁ松島や」も言ったりしたし
二泊三日の初仙台旅行は充実もしていたが
わざわざムーンストーンの指輪を買ったエピソードも印象に残った。

 
 
やがてアラサーになり、友達がルビーの指輪を買った。ルビーである。

天然石やパワーストーンが好きな私は
もちろん宝石も好きだが
宝石はさすがに手が出なかった。
彼氏からもらった指輪には小さなダイヤはついていたが
友達の指輪のルビーはまぁまぁなサイズだ。

「運気を上げるため。」と友達は言った。
確かに宝石のパワーはすごいと
本には書いてあった。

  
パライバトルマリンやタンザナイト、ガーネット、ダイヤ、パール、ロイヤルレインボーブルームーンストーン、オパール………等々
欲しい宝石はたくさんある。

 
だが、やはり二の足を踏む。
私は宝石が似合う大人女性になれているのだろうか。
私は自信がなかった。
ブランドの財布は二十歳を過ぎてから使い出したし
高い時計もアラサーになってから使い出したが
どちらもプレゼントだった。
ブランドのバッグは使っていなかったし
そんな状態で宝石だけ立派過ぎてもなぁ…と思った。

自分で買うのもなんだかなぁだし
彼氏にねだるのはなんだかいやらしい。

 
だから私は友達のルビーの指輪に憧れつつも
結局憧れのまま、手は出せなかった。
私はムーンストーンの指輪と彼氏からの指輪で十分だった。
ネックレスやブレスレットは日替わりだが
指輪は一途派だったのだ。

 
 
宝石に手を出せないまま
私は旅行先で天然石発掘プランに何回か申し込んだ。
土の中に埋まっている天然石を発掘するというもので
童心にかえり、ひたすらに土をかき分けた。
数百円でナイス企画だ。

 
 
友達が一人、また一人と結婚していき
彼女らは旦那さんから高い指輪や宝石のアクセサリーをもらっていた。

絵に描いたようなベタな幸せに憧れを抱きつつも
「いつか私も……。」とは思えなかった。

 
 
それほどに私にとって
アラサー時代の婚約破棄やその後の恋愛の諸々は
私から夢や希望を奪った。

 
 
 
 
  
私が学生時代ブームだった天然石のお店は
静かに閉店していった。

今でもブームなのだろうが
お店の乱立やコロナの影響により
以前よりお店はない。

 
この前立ち寄ったら、大安売りセールをしていた。
次に行ったら閉店していそうで本気で怖い。

 
 
 
小さい頃眺めた石やパワーストーンの一部は部屋に飾られ
一部は箱の中に入れてしまっており
時折箱から取り出しては眺めている。

 
学生時代からアラサーまでは
あれほどに石に頼って持ち歩いたのに
今はまたコレクションの役割が強くなっている。

 
 
 
今年は部屋で過ごす時間が長い。

掃除をしたり、断捨離をしたり、こうしてキレイな石を眺めて
色々な場所をキレイにしたい。
心も浄化したい。

 
 
今日は朝から出掛ける予定だ。
久々にムーンストーンの指輪をつけて出掛けようかな。

陽射しをいっぱい浴びて、石の力を借りて、パワーを心身にみなぎらせたい。

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