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ポトフを作った理由

前の職場で働いていた時
担当利用者から毎日のように朝ご飯や夕飯は何を食べたか、何を食べる予定かを聞かれた。

それによると、某利用者はよく夕飯にポトフを食べるらしかった。

 
 
「へぇ~ポトフ。うちは作らないなー。」

『ポトフ、おいしいよー。ともかちゃんも食べな~?』

 
こんな会話を何回も何年も繰り返した。
それでも私はポトフを作らなかった。
当時私はバリバリ仕事をしていて帰りも遅かったし
料理はほとんどしなかったからだ。

だけど、私にとってポトフとはこの利用者とイコールだったし、ずっと憧れがあった。

 
 
今まではお母さんが料理を担当していたが
お母さんの入院を機に今年は私も料理を作るようになり
ジャガイモが畑でたくさんとれたので

あぁそうだ、ポトフを作ろう

そう思った。

 
今年の夏は暑く、秋もしばらく暑かったが
ようやく12月になり、気温が下がってきた。
ポトフ日和だ。

 
 
人生初めて作ったポトフは上手にできた。
優しい味わいだった。

あの利用者の顔が浮かぶ。

 
「ともかちゃんもポトフ食べたよー。○○さんは今でもポトフ食べてるのー?」

尋ねてみたいけど、今はもう隣にいない。
あの笑顔に気軽に会うことはできない。

 
 
それでもポトフを食べれば
あの利用者が浮かび、あの利用者との会話が蘇る。
ポトフのようにあたたかく、優しい思い出。

元気かな?
笑ってるかな?

また会いたいよ。


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