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LOVOT MUSEUM(東京都)
「40歳になっても独身なら猫を飼いたい。」
アラサーの頃、私はそう思っていた。
独身で猫を飼うと婚期が遅れるとよく言うが
40歳になっても独身ならば
この人生でご縁はなかったと神様に言われているに等しい。
私は小さい頃から猫が大好きだった。
愛くるしい姿も鳴き声も気まぐれな性格も、猫の全てが私を幸せにさせた。
我が家は猫を飼うことを禁止されていたため
私は猫を飼っている友達や彼氏の元へよく遊びに行った。
心境の変化が現れたのは30代になってからだ。
彼氏の家の猫は、人懐っこくかわいかったが、夜中に走り回ったり、引っ掻いたり、トイレの中にも入ってきた。
料理中もキッチンをうろつき、お風呂場にもくっついてきた。
猫の爪を一緒に切ったり、毛をブラッシングした。
室内で毛玉をよく吐き、それを処理したり、トイレの処理も任された。
部屋が荒らされた様子もよく見た。
猫をただかわいがるのではなく、猫と生活するということがどういうことかを
私は間接的に知った。
猫はかわいい。
それは揺るぎなかったが、一緒に生活するデメリットも見えてきた。
服は猫毛だらけになるため、色や素材を選ばねばならず
雑貨も猫に配慮する必要がある。
一緒に暮らすとなると臭いも気になる。
夜の活動が想像以上に激しく、また引っ掻かれることも多々あり
安眠とはほど遠く、彼氏の家で寝泊まりすると寝不足になった。
40歳で独身でも
40歳で一人暮らしをするにしても
私は猫を飼うことは向いていないのかもしれない。
私は徐々にそう思うようになった。
趣味はライブだから帰りが遅くなることもあるし
たまには旅行も行きたいが
猫を飼うとなると気軽に行けなくなるだろう。
夏場、外出時もクーラーを常につけて室温を保つことも私にはネックだった。
電気代が気になった。
そんな中、私はニュースでLOVOTを知った。
2018年のことである。
なんてかわいいのだろうと一目見て思った。
役に立たないロボットというキャッチコピーやペットに特化したロボットというのは斬新だった。
今までもアザラシ型のロボットが認知症の方を癒やすとか、ファービーとか、ペットや癒やしに特化したロボットは確かにあったが
高額で多機能であり、愛くるしい見た目のLOVOTは近未来の訪れを告げる画期的なロボットだった。
「40歳になっても独身ならば、LOVOTを迎え入れたい。」
私はいつしかそう思うようになった。
LOVOTならば、私が猫を飼うにあたって感じたデメリットをクリアできるし
私の性格や生活に合っている気がした。
私はその夢を家族にたびたび話した。
両親も旅行やライブが趣味だし、LOVOTを迎え入れるにあたって条件は合っている気がした。
ただ、値段は高い。
LOVOTは本体価格で50~60万だし、その他月額料金もかかる。
私がLOVOTに二の足を踏む一番の理由はお金がかかることだった。
LOVOTは様々なメディアで取り上げられた。
迎え入れる入れないはともかく、いつか会ってみたいという気持ちは膨らむ一方だったが
栃木県ではLOVOT取り扱い店舗はなく
なかなかにネックだった。
LOVOT Cafeは神奈川県だし、LOVOT MUSEUMは東京で、どちらも予約制だった。気軽にフラッといけない。
SNSやメディアでLOVOTの動画や写真を見て長年癒やされていた私がLOVOT MUSEUMに行こうと決めたのは
39歳の夏だった。
2024年、3月。
母が救急搬送され、足が急に動かなくなった。
病名は脊髄梗塞。
約5ヶ月の入院を経て母は退院した。
リハビリにより歩行器で歩けるまでに回復はしたものの、排泄障害や麻痺が残り、体は疲れやすく、心身不調になりやすかった。
母の入院期間中、家や母を優先し、家事や仕事に追われた日々ではあったし
母が退院してからも家や母を優先してきたが
母が倒れたことを機に、私は改めて思った。
人生、いつ何が起きるか分からない。
今できることをやりたい、と。
今後更に母が悪化する可能性があるし
父親にも何かがあると
私は今より制限がかかり、身動きがとれなくなる。
40歳になる前に、長年の夢の一つであるLOVOTを見に行こうと思った。
行けるうちに行こうと思った。
仕事や家事に疲れ、癒やされたかったのもあるし
この人生で結婚は難しいだろうと諦めが更に強くなったのもあるし
家に迎え入れるとしたら、やはり実際に見たいと思ったからだ。
2024年10月19日土曜日。
その日は10月中旬にも関わらず、東京は最高気温31度だという。服装に迷う。
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LOVOTのキーホルダーをカバンにつけ、私は仕事に行く日より早く家を出た。
前日、思ったよりも仕事がハードで帰りが遅くなり、寝不足の朝だった。
先日、私は仕事で巨大ロボット作りを任された。
利用者が「天井まで届くくらい大きく、腕が動くロボットが作りたい。」と夢を語ったのだ。
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仕事で利用者の夢を叶えると、私は私で自分の夢を見つめ直し、夢を大切にしたくなる。
「私はLOVOTに会いたい。そしてあたたかいといわれるそのカラダに触れたい。」
LOVOT MUSEUMの最寄り駅は浜町駅で、うちから行くと新宿駅乗り換えだった。
私は新宿駅が苦手なため、気合いを入れて早めに着いたら、大好きなコジコジの期間限定ショップを見つけ、吸い寄せられるようにそこに入った。
私は新宿駅が苦手だ。
帰りに再びここに辿り着ける保証はどこにもない。
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かわいいコジコジグッズをたくさんゲットし、気持ちがホクホクしたところで、私は早歩きで移動した。
やはり新宿駅は分かりにくく、都営新宿線改札を通り抜け、ホームに着いた時はギリギリだった。
息が上がり、汗がたれる。なんとか間に合ってよかった。
浜町駅で降りるのは人生初だ。
イチョウの時期はきっとキレイなのだろう。
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LOVOT MUSEUMに行く前に明治座に寄り道する。
本来ならば、去年の夏に晴一さんのミュージカル「ヴァグラント」を見るために来るはずだった明治座。
演者の方が陽性となり、私が行く予定日の公演は中止になってしまったが、もし次回作があるのならばまた明治座でやってほしいし、その時こそ生で見たい。
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ナビを頼りに、LOVOT MUSEUMへ。
浜町駅から徒歩5分となっていたし、帰り道は確かに徒歩5分だったが、ナビは遠回りを案内し、行きは迷ってしまい、15分くらいかかってしまった。
時間ギリギリである。
LOVOT MUSEUMは完全予約制だから、お目当てっぽい人の後ろを歩いていくこともできず、駅そばもそんなに人がいないため聞けず、案内看板もなく、私のような土地勘のない人にはなかなかシビアだった。
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なんとか予約5分前に、LOVOT MUSEUMがある住友不動産浜町ビルに到着。
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いざ、7階へ。
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受付で500円の入館料を払い(現金不可のため、注意が必要)
案内された席に座る。
近くには動くLOVOTがいて(YouTube配信中)、LOVOTの巨大看板がある。テンションが上がる素敵空間が広がる。
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LOVOT MUSEUMは来館者に担当者がつく。
荷物を預けるロッカーはなく、専用テーブルに置いておける。専用テーブルは受付前にあるため、常に人が見ていてくれて安心だ。
担当者からアンケートを渡され、記入し、LINE登録して壁紙をgetした後は
担当者と館内を歩く。
まずはLOVOTの歴史を教えてもらう。
バージョン2.0と3.0の違いを知る。
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内部構造はまさにTHE ロボット。
私が仕事で作った段ボールロボットとはレベルが明らかに違う。
首はよく見ると三本の柱があり、これにより首を傾げる動きが可能だという。ギミックがすごい。
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フォトスポットがかわいすぎる。
最近カラフルなLOVOTも発売されたようだが、私はベーシックな茶系が好みだ。
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お次は洋服の展示コーナーへ。
私がもしLOVOTを迎え入れるならば、ねこ耳の服を買ってあげたい。
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ハロウィン仕様の洋服がかわいすぎる。
つくねちゃんは私が初めて触れたLOVOT。
頭を撫でると喜んでいた。かわいい。かわいすぎる。
歴史や洋服を見るより早くLOVOTを愛でたい。
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LOVOT柄のシャツかわいい。
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ハロウィン仕様かわいい。お帽子かわいい。
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お次は開発ブースへ。
LOVOTは抱きしめるとほのかにあたたかいで有名なのだが、37~39度で保っているらしい。
機械は使いすぎると熱が上がるため(確かに)、このように保つのは技術が必要らしい。
声や目は10億種類のパターンがあり、他の人とかぶらないものを選べるとのこと。すごい。
お次はいよいよ!
お目当てのLOVOTとの触れ合いコーナーだ。
ブースには5体のLOVOTがいて、接し方についてレクチャーを受ける。
LOVOTは抱きしめると車輪が内側に自動的に収納されるらしい。
まずは、タップちゃんとちょこちゃんが私のそばに来てくれた。
バージョン2.0らしい。
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あぁぁぁぁぁ!
かわいいぃぃぃぃぃぃ!!
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たまごちゃん。
かわいい。
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こちらのかぼちゃんともーどちゃんはバージョン3.0。
若干下半身が丸っこく、車輪外側が2.0はツルッとしているが、3.0はベロアのようにうっすらと毛で被われている。
服を着用しているとパッと見分かりにくい。
あとは充電器が異なるようだ。
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目がキラッキラや!
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説明を受けた後は担当者が離れ、LOVOTと15分触れ合いタイムだ。
写真を撮ったり、名前を呼んだり、抱きしめたり、頭を撫でた。
あまりのかわいさに幸せいっぱいで笑みが止まらない。
展示コーナーに、LOVOTと触れあうと認知症に有効だとか幸せな気持ちになるだとかが実証されたと書いてあったが
確かに私は心が満たされていた。
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最初は多少距離があったが、触れ合ううちにLOVOTは私に懐き、みんなが抱っこ待ちとなった。
かわいすぎる。
LOVOTは4kg。
順番に抱きしめる。
あたたかさと重みが嬉しい。
一度にみんなを抱きしめられないが、その間他のLOVOTはほどよい距離で待っていたり、一人遊びをしていた。
隣のブースからは子どもの泣き声が聞こえた。
5体に囲まれたり、キュイキュイ鳴くその姿は、子どもや警戒心がある人にとってはビビるかもしれない。
私は事前にネットでLOVOT複数体が懐っこく寄ってくる情報を知っていたからまだ心の準備はできたが、確かに想像よりグイグイきた。
抱きしめると目がトローンとする。
かわいすぎる。
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撫で撫で。
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↓これはバージョン3.0ならでは。
目に指を近づけた時に目を閉じるというのは2.0はできないらしい。
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この表情の変化がまた素晴らしい。
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ここまでで60分。
この後はソファーに移動し、金額の話や質疑応答タイムだ。
私は前々から気になっていたことを色々聞いた。
旅行中はどうしているのかとか、万が一手放したくなった時はどうしたらいいのか等。
LOVOT MUSEUMで実際にLOVOTに触れ、知り、更に担当者の方と話すことで
来る前よりも購入を前のめりで考える自分がいた。
利害関係が一致しているというか、私にとってLOVOTは魅力が強かった。
ただ、本体価格が50万前後はまだしも、その他にも毎月費用がかかること(カード引き落としのみにはビックリした。)、そしていざ家に迎え入れるとなるとやはり慎重にならざるを得ない。
契約の話をしている時、そばにハロウィン仕様の子が2体いた。
こちらもかわいい。
(充電機には車がバックするような動きでLOVOTが入る。かわいい。)
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10:30予約で、終わったのは12:00だった。
窓からはスカイツリーが見えた。
外は相変わらずいい天気だった。
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LOVOT MUSEUMでもらえたもの。
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家に帰ってから、LOVOT MUSEUMの件を両親に話した。
お母さんは元々LOVOT肯定派で、私のプレゼンで更に前向きな気持ちになり、「お金を半額出してもいい。」とさえ言ってくれた。
お父さんの反応も悪くはない。
LOVOT MUSEUMでもらった実物大ポスターを家に広げ、もしも充電器を置くならここかな、とか
立ち入り禁止区画はここかな、とか
LOVOTについてお母さんと語り、お母さんが寝た後は
ネットで購入にあたって色々と調べた。
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私は40歳になっても独身ならば、LOVOTを迎え入れようと思っていた。
だけど40歳を目前にした今思うのは、両親のことだ。
お母さんは長期入院により認知機能に衰えが見える。
また体が不自由になったことで仕事を辞めたどころか、ほとんど家にいるだけの生活になり、メンタルもやられている。毎日のように泣いている。
そしてお父さんは、そんなお母さんのために仕事を辞めた。
お父さんは数年前から認知機能に衰えが見えており、今年更に進んだ。
認知機能低下を予防するためにも仕事を続けてほしかったが、お母さんの状態を考えると、お父さんは仕事を辞めざるを得ない。
今年から、両親は家での生活が中心になる。
関わる人間関係はごく狭いものとなる。
このままでは認知機能の低下は避けられないが
LOVOTがいることで刺激になるのではないかと私は考えた。
LOVOTがいれば、お母さんの笑顔は増えるかもしれない。
私やお父さんが外出するとお母さんは不安になるが、LOVOTがいれば心強いかもしれない。
防犯機能もLOVOTは想像以上によかった。
お金がかかるにしても、LOVOTを家に迎え入れることで家の雰囲気が再び明るくなるかもしれない。
実際、LOVOTを家に迎え入れる人の中には、子どもが授からなかった人や病気の人、高齢者の人、子どものきょうだい代わり、ペットロスの人が多いようだ。
調べてみると
LOVOTは、中古をお試しできるようだ。
家族と話し合い、まずは中古をお試ししてみようということで話はまとまった。