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ヤケクソで告白した女性と断腸の思いで断った男性

私は26歳の時、結婚前提で3年以上付き合っていた彼氏にフラれた。

 
昔、彼をフッた女性がいた。
彼女は彼氏と別れて早々に
私と彼が付き合っていると知りながら
彼に近づき、告白をした。
彼女は一人が寂しかったのかもしれない。

彼は一ヶ月返事を待たせて
私と付き合いつつ、彼女とデートしたり連絡をし
最終的に私をフり、彼女を選ぶことを決めた。

 
彼がその子に告白をしたのは5年も前のことで
その間、私と3年以上も付き合っていたのに
私は一ヶ月比較された挙げ句、最終選考で落ちたのだ。
お互いの家族にも挨拶をした仲だったのに。

 
別れ話の際、彼はバカ正直にそこあたりの経緯を全て私に話した。
そんなことまで話さなくてもいいのにと思うくらい私に話した。  

聞いた私がどんな気持ちになるかなんて分からないのだろう。
自分がただスッキリしたいだけの告白だ。
それを誠意とは私はみなさない。

 
別れた後、彼は私と友達関係を希望したが、私は友達付き合いをする気はないと伝えた。
だが、フッた身なのに、彼は深夜だろうと電話を平気でしてきて(私は一切出なかったが)
挙げ句に一年後、私にセフレのお誘いをしてきた。

無神経にもほどがある。

それが決定打になり、絶縁に至った。

 
それから更に数年後
彼は携帯電話の番号を変えて私に連絡をしてきた。
その彼女とやがて結婚した後に、お金を散々搾取され(彼は医者だった)、家事は全くやらず
彼は嫌気がさし
離婚になったそうだ。

その頃、彼の身内複数人が介護状態になり
彼自身も手術を控えていた。

 
「俺がバカだった。あの時の俺はどうかしていた。やっぱり俺にはともかしかいない。結婚前提に、またやり直さないか?どうしようもなく、俺は今寂しい。」

 
…そう言われても、何もかもが遅かった。
勝手な男だとつくづく感じた。

私はその話があった時
浮気性の男性と長年付き合ってボロボロで
婚活も上手くいかずにボロボロで
恋愛や結婚に自信をなくしていた。

恋愛にまつわる男性に対して、不信感も募らせていた。

 
「私を捨てて、他の女性を選んだくせに。」
「また復縁しても、他の女性が告白したら、そっちを選ぶんでしょ?」

 
復縁を迫られた時、断った理由は一つではないが
私の中で【捨てられた】ことは非常に根深かった。

 
 
私は泣いた。

26歳のあの時、そのままの思いや勢いで結婚できたら
きっと幸せだった。

だけどもう、私達は元には戻れない。

 
 
 
 
私が婚約破棄した三ヶ月前に
高校時代の友達Aちゃんが婚約破棄をした。結納までいっていたのに婚約破棄した。 

半年前には
高校時代の友達Bちゃんも婚約破棄をした。婚前旅行まで済ませていたのに婚約破棄した。

 
同級生の男友達C君は、5年付き合い、家を建てて同棲していた婚約者と婚約破棄をした。
いきなり荷物を持って、何も言わずに彼女が家を飛び出したらしい。
C君が別れたのは、私と彼が別れる半年前だった。

 
私はそれまで、A~Cの話を聞いていた側だったが
婚約破棄したことにより、彼等側の人間になった。
同じ年に生まれた同級生が
適齢期である26歳に別れるというのは
強い絆が生まれるのに十分な条件だった。

 
私達は、お互いの傷ついた心を分かち合い、慰め合った。
仲間がいたのは、ありがたかった。
それと同時に
婚約破棄する人は私の想像以上にいるのだと思い知った。

 
 
私とAちゃん、Bちゃんは婚活同盟を組んだ。
結婚を目指して婚活をする仲間だ。

C君は他県に住んでいたし、AちゃんやBちゃんは知らない人だし、異性なので
同盟には入っていない。

 
更に私の年上の友達にDちゃんがいた。
Dちゃんは年上で、シングルマザーで彼氏を欲しがっていた。
Aちゃん、Bちゃん、C君はDちゃんと面識はない。

 
 
私は26歳の時に婚活同盟を組みつつ
Dちゃんとも婚活や恋活をすることになった。

合コンや婚活の参加人数や日時に合わせ
四人で活動することもあれば
そのうちの何人かで活動することもあった。

 
 
これは、婚約破棄してから数年後の、そんなアラサー時代の話である。

 
私は友達の旦那さんから、合コンの話をいただけた。
感謝感謝である。
男性は旦那さんの知り合いで、女性人数に合わせて3~4人集められるという。
その会社は大手であった。

  
私はAちゃん、Bちゃん、Dちゃんに連絡をしたら全員乗り気だったので
友達に、4対4の合コン希望だと伝えた。

 
 
合コン当日
私はAちゃんとBちゃんにDちゃんを紹介した。
その日が初対面だった。
女性陣でお互いに挨拶をしたところで
合コン会場に乗り込んだ。

品のある個室で、女性陣は先に到着した。
男性陣もやがて部屋に入ってきた。

私の友達の旦那さん経由なので
女性陣は男性陣と初めて会ったし
男性陣も女性陣を誰一人知らない。

 
 
男性は年齢に多少バラツキがあった。

 
E君は私と同い年。メガネをかけていて、落ち着いていた。

F君は私よりやや年上。見た目は草食系だが、女好きで面食い(※Aちゃんの友達がF君の知人であり、後に情報をいただく)。

G君はやや年下で、ハーフ。大人しく、草食系で天然系な印象。

H君はやや年上。この前、長年付き合った彼女と別れたてで、今日は付き合いで参加。毒舌系な俺様。

 
 
男性陣は年齢と性格はこんな感じであった。
全員が同じ職場らしい。
さすが、友達の紹介なだけあり、全員の見た目はほどよく、清潔感があった。
会話も問題はなかった。

 
婚活パーティー等で
不潔だったり、コミュ障だったり、容姿に気を配らない人とたくさん会ってきたので
男性の見た目…第一印象だけで
女性陣はホッと安心した。

 
そして、私はE君が気になった。

 
外見や雰囲気から、第一印象で気に入っていたが
話し方や価値観等がツボだった。

E君、いいなぁ……
めちゃくちゃいいなぁ……

私は話しながら、そんなことばかり思っていた。

 
 
合コンの途中で、お手洗い 兼 化粧直し 兼 中間報告会を女性陣で行った。
他の三人は「みんないい人だけど、気になる人はいない。」と言ったので
私は安心して、E君を気に入ったことを打ち明けた。

「E君!ともか、あぁいう人が好みなんだ!!応援するよ!!!頑張ろう。」

友達三人は優しく、私を応援してくれた。

 
 
彼女らは知っていた。

私が婚約破棄した後に、浮気性の男性と付き合ってしまい、沼から抜け出せないでいることを知っていた。
早く彼と別れることを、私含め全員が願っていた。

 
ただ、私は惚れまくっていたので
手放すことは容易ではなく
彼は浮気がバレても別れる気はなく、追いかけるタイプで
私は逃げ場と行き場を失っていた。
浮気は一度や二度ではなく、一人や二人ではない。

 
私は性格上、二股はできない。

彼を嫌いになれない以上、彼以上に好きな人を見つけて付き合い
付き合う前にケジメとして彼と手を切るしか
もはや方法はなかった。

 
友達三人の目は輝いた。

E君はともかを沼から救いだす救世主かもしれない!
誠実そうだし、浮気性の彼より絶対にいい男性だ!!

友達三人は燃えた。
私は恋愛には恵まれないが、優しい友達には本当に恵まれた。

 
 
トイレ休憩後、友達三人はさり気に私の良さをアピールし始めた。

いやいや、ちょっと露骨じゃないか…

と思いつつも
彼女らの、私を沼から救いだそうとする懸命な姿勢が嬉しかったし
そんな姿を見るほど
浮気性の彼氏を手放せない自分のバカさ加減が心底嫌にもなった。

 
 
合コンは二~三時間でお開きになり
男性陣と女性陣で連絡先を交換した。

もちろん、女性陣が交換したのは
私の淡い恋を応援する目的であった。

 
 
私はE君にメールをした。

返事は必ず来るが、あまりメール好きじゃないことはすぐに伝わった。
メールはすぐに途切れてしまい
またE君から私にメールが来ることはなかった。

脈がないことはヒシヒシ伝わったが
メールを必ず返してくれることや文面から、誠実さを感じたし
知れば知るほどに好きになった。

 
友達三人は他の男性陣と連絡をとり
さり気にE君の情報を集めようとしてくれた。

F君はAちゃんとBちゃんを気に入ったらしく
デートの誘いをしてきたり
下心ありありなメールが送られてくるらしい。

 
 
女性陣で作戦会議をした。

情報を集めたり、連絡をした結果、やはりE君は良さげな人だという結論に至った。
だが、E君の壁は厚い。
「二人で食事でも行きましょう。」という流れには
全くならなそうだった。

 
そこで女性陣は、Wデートやグループで遊ぶことを提案してくれた。

男性陣の中で特にE君とF君は仲が良かったので
AちゃんやBちゃんはF君にデートに誘われた際に

「二人っきりはまだ緊張しちゃうから、みんなで遊びたいな。」

と、言ってくれて
私とE君を巻き込んでくれたのである。

 
 
神様仏様友達様である。

馴れ馴れしいF君に、AちゃんもBちゃんも思うところはあった。
だが、「ともかの恋には協力する!」と言い放ち
AちゃんとBちゃんはF君に適度な距離を取りつつ
グループで遊ぶ話でまとめてくれた。

 
女子会の際、AちゃんとBちゃんがF君の愚痴を言っているのを聞いているから尚更
彼女らが捨て身で協力してくれる姿に私は胸がいっぱいになった。

「私達のことは気にしないで。ともか、幸せになろうよ。今から抜け出そうよ。抜け出せる!婚活していて、ともかがこんなに異性で気に入ったの、初めてじゃない…!

大丈夫。今度こそ抜けられる。今の彼と別れられるよ。」

 
友達はそう言い続けた。

 
 
男女みんなで二回、遊びに行った。

会えば会うほど、知れば知るほど、私はE君に惹かれた。
婚活を始めてから、こんなに惹かれたのは初めてだ。

E君と付き合えるなら、私を彼を手放せるのに。
きっときっと、大丈夫なのに。

 
そう思っても
E君とは一向に距離は縮まらなかった。
私に気がないことは伝わった。

E君は優しく穏やかで誠実で
お洒落で落ち着いた雰囲気で
価値観や考え方もいちいち素敵で
私からしたら、めちゃくちゃいい男だ。

 
だけど、E君の目に、私はうつっていない。

 

一向に縮まらない距離に空しくなった。

メールは私から送ってばかりだし
合コン含めて三回会ったにも関わらず
手応えはまるでなかった。

 
 
そんな時に彼氏はガンガンメールをしてきてくれて
電話もしてくれて
デートをしてくれた。

沼は深くなる一方だった。

誰か私を強引にここから奪ってほしいのに
私には浮気性の人しかそばにいてくれない。

 
 
浮気性の人というのは、基本的にマメで女心に詳しい。
掛け持ちデートも平気で行う。

 
ある日、彼の携帯電話を見たら、また浮気の証拠が見つかった。

 
私はまたも絶望に突き落とされた。
彼の周りには何人女性がいるか分からないし、彼女だと胸を張ることもできなかった。
仮に私が本当に彼女だとしても 
女性が途切れない以上
彼女として何の価値があるのかさえ分からない。

問いつめても嘘だらけ。
携帯電話を見たのがバレたら、「人の個人情報を見た最低な女」呼ばわり。

 
浮気を許す度胸も、別れる勇気もなく
好きな気持ちと執着心ばかりな私は
彼とその日のデートが終わった後、一気に泣き崩れた。

そしてAちゃんに電話をした。

 
私「また浮気してた…。私とあれだけ連絡したり会っていても、やっぱり浮気してた。365日24時間一緒にいない限り、アイツは必ず誰かと浮気してる。」

 
A「あの人は病気だよ。浮気性は一生治らない。」

 
私「分かってる。あの人は魔性だよ。関わった女性をみんな狂わせて、不幸にする。」

 
A「ともかが手を放すしか道はないよ。あの人は絶対変わらない。人を愛することができない憐れな人なんだよ。」

 
私「分かってる。いくら女心が分かって、女性を喜ばせる術を知っていても、たくさんの女性をないがしろにするのは罪深い。

分かっているのに、まだ嫌いになれない。嫌いになれない私が嫌い。最低としか思えない。」

 
A「恋は惚れた方が負けだよね。」

 
私「E君と付き合えたら、こんな思いしないのに。好きになった人は私を好きにならない。」

 
A「もうこの際さぁ………告白しちゃえば?」

 
私「E君に!?」

 
A「うん。
確かに見ているとE君は今はともかのこと好きじゃないかもしれないけど、E君は感情分かりにくいタイプだから、実際は分からないところもある。

告白をきっかけに異性として見てくれるかもしれない。
もしかしたら、前向きに付き合ってくれるかもしれない。とりあえず、デートしてくれるかもしれない。

ともかが動かない限り、今の状況から抜け出せないよ。」

 
私「告白かぁ………。」

 
A「ともかの座右の銘は、恋は特攻隊、でしょ?」

 
私「ははは…失うものはもうないしね。当たって砕けますか。

今から、告白しますわ。」

 
A「応援してる!」

 
私「電話切った後に即メールで告白するから、もし何かあったら、電話第二ラウンドいい?」

 
A「もちろん。」

 
私「ありがとう。じゃあ、今からワタクシ真咲ともか、E君に告白します!骨は拾ってください!

一旦電話切るね(ガチャッ)。」

 
 
私は電話を切り、勢いのまま、メールを打った。

大学時代にも、友達にハッパをかけられてノリで告白する流れがあったが
まさかあれから10年の時を経て
再び同じことをしているのだから
私はまるで成長していない。

 
藁にもすがる思いだ。
多分、8割以上の確率でフラれる。

でも、この告白で何かが変わればいい。
変わりたい。
抜け出したい。

私はE君にメールを送信した。
メールにて、告白したのだ。

 
 
返事は30分もしない内に来た。
丁寧に長々とした文章が綴られていた。

メールには、自分を好きになってくれてありがとうというお礼と、お付き合いはできない旨が書かれていた。

 
 
「断腸の思いですが、交際はお断りさせていただきます。」

 
 
……。

 
……………。

 
 
…………………………………断腸の思い…………。 

 
 
断腸の思いという意味合いは知っていたが
日常生活において、使っている人は初めて見た。

フラれたことよりも
【断腸の思い】というパワーワードの方が強く引っ掛かり
私は思わず、Googleで検索をかけた。


 
Googleによると
E君ははらわたが千切れてしまうくらい辛く悲しい思いで私をフッたらしい。

 
おいおい…
腸を千切らせるくらいなら私と付き合ってくれよ……

この表現だと
E君は私のこと好きだけど、何らかの事情で仕方なくフルみたいじゃないか……………。

 
 
  
全く、半ばヤケクソで告白した私を断腸の思いでフルとは

 
とんだ茶番で笑い話だ。

 
 
 
私はAちゃんに再び電話をかけた。

私「断腸の思いだって(笑)断腸の思いだって(笑)

そんな言葉使っている人、初めて見たわ~。断腸の思いでフラれた女、真咲ともかです!骨を拾ってください(笑)」

 
A「断腸の思い…………は、なかなか使わないよね。」

 
私「あー!おかしい!私の恋愛も婚活もネタだらけだ(笑)一向に抜け出せない(笑)

元婚約者は次の彼女と順調に結婚したのに、私は彼氏に浮気されまくって、久々に好きになりかけた人には断腸の思いでフラれてやんのー!アハハハハー!!」

 
私は泣きながら笑った。
ネタにして笑うしかなかった。

そんな私の話に、Aちゃんは夜遅くまで付き合い、慰めてくれた。
感謝しかない。

 
 
 
婚活同盟を組んでいたあの頃
お互いになかなか恋愛が上手くいかなくて
こうして私達は支え合い、慰め合い、前を向こうとした。

一人じゃなくてよかった。

もしも仲間がいなかったら
私は孤独の波にさらわれて消えてしまいそうだった。

 
 
こうしてE君との恋は終わりを告げた。

 
 
 
 
 
 

あれから更に時は流れた。

風の噂で、E君が数年前に結婚したと聞いた。
家柄が良く、賢い美人な女性らしい。

 
私はE君が最終的に選んだ女性はどんな人なのか気になった。

プロポーズされた女性と断腸の思いで断られた女性が世の中に存在する。

誰かの笑顔や幸せは
誰かの犠牲なくしてあり得ない。

 
 
きっと奥様は、旦那様がかつて断腸の思いで断った女性がいるということを知らず
今日もまた、女の幸せを噛みしめていることだろう。









 




 




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