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2022/09/14【アメリカ】51年ぶりの低水準、1ドル150円に向かう円安【世界情勢】#89

今回は、円安、特にアメリカで起こっている円安の背景と、いったいこの円安がどこまで行くのか、という話題についてお話をしたいと思います。

51年ぶりの記録的円安

9月8日に、ドル円相場は1ドル144円の半ばまで下落しました。対ドル相場では24年ぶりの円安と言われていますが、実質実効為替レートでいいますと、これは2国間だけでなく、世界の主要な複数の外貨、多数の通貨に対して高いか低いかを示す合成値指数ですが、その水準はなんと51年ぶり、1971年8月以来の低水準で、如何にこの円安が記録的な水準かがよくわかると思います。

記録的円安の理由


この理由は、言われている通り、世界との金利差です。
欧州では、ECBが7月に11年ぶりに0.5%の利上げを実施し、9月8日には更に0.75%の利上げを決定しました。これに先んじて6日はオーストラリアが0.5%、7日にカナダが0.75%、と、先進国で軒並み大幅な利上げと言うことで、そしてブラジルやインドの新興国も利上げを行っていますので、ひたすら金融緩和を続ける日本だけが大きく例外となってきており、こういった流れを受けて、円安は更に進むことは間違いないと思います。
そしてアメリカを見ますと、FRBのパウエル議長が、ジャクソンホール会議で、インフレ抑制をやり遂げるまで金融引き締めをやる、との趣旨の発言をしたことで、9月20日と21日に開かれるFOMCで、9月は更に3回連続となる0.75%の利上げを行うとの見方が強まっています。これ、決めれば今後の流れを決定づける非常に大きな意味のある決定で、それぞれの連邦準備銀行の総裁達、つまりFOMCのメンバーですが、彼ら、例えばニューヨーク連銀のウイリアム総裁、セントルイス地区連銀のブラード総裁など、皆口を揃えて、「早めの利上げが重要」とか、「たとえ経済に悪影響を与えてもインフレを高水準で留める方がよほど良くない」、といった発言が相次ぎ、クリーブランドのメスター総裁などは、政策金利を来年初めまでに4%以上に引き上げその水準で維持する必要がある、と言った発言も出ています。こういった発言によって、天井の金利は4%から4.25%との予想が出ていますがこれは今だマイナス金利政策を維持している日本の政策金利との差は4%を超える、非常に大きなものとなります。更に裏では、物価のインフレだけではなく、賃金インフレも今アメリカは酷いので、これも抑制すべき、つまり失業率が多少上がるまでは強硬に、景気後退を恐れずに利上げをする流れが出来つつあると思います。

岸田内閣と日本国民の生活

恐らく今月のFOMC後に更に数円、ここで1998年の147円を下回る可能性あります、そして多少は揺り戻しが有ると思いますが、11月のFRB利上げでは、147円どころか、年内に1ドル150円もあり得る展開だと思います。
既に日本は完全に内需依存国ですので、一部の大企業の内部留保を潤す以外は、円安はますます日本国民の生活を直撃します。日銀は金融緩和をやめる気配は現状有りません。1000兆円を超すであろう国債残高が有る中で利払いコストを考えれば黒田総裁体制の中では金融緩和を止められないと思います。ということで、まだまだ円安加速は続くことになりますが、一方でそろそろ物価高の限界を感じている国民も増えているのではと思います。ここまでアベノミクス路線を世襲してきた岸田内閣がどのように円安に向き合うのか、容認するならばどういった理由で容認するのか、我々国民はその動向を冷静に見極めていく必要があると思います。

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