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2022/08/31 【アメリカ】米民主党の支持率が上昇中!その理由を解説!【世界情勢】#87

今回は、いよいよ11月に迫ったアメリカ中間選挙で、ここへ来て以前は大敗も予想されていた民主党の支持率がじわりと上がってきています。この背景が何か、そして、今アメリカ国民の政治への一番の関心は何か、この辺りについてお話をしたいと思います。

バイデン大統領の支持率

まず、久々にバイデン大統領の支持率を見ておきたいと思いますが、リアルクリアポリティクスの調査によると、支持率が最低だった7月21日前後の36.8%から、先週末、約1か月で41.9%まで、約5%も上昇しています。後述しますがバイデン政権肝いりの法案可決などもありますがそれは本質ではなくて、今バイデン政権の支持率が上がっている大きな要因は2つです。一つは、何度かお話してきた通り最大のアメリカ国民の関心はインフレ問題です。これが目下落ち着きつつあって、それによって与党民主党やバイデン政権に集中していた不満が緩和されていること、そして2つ目は、アメリカ国民の分断を生む本質的な問題である、人工中絶問題や銃規制の問題などで、民主党を支援しなおす動きがあることです。

バイデン大統領の支持率が上がっている2つの理由


まず一つ目のインフレですが、国民生活を直撃しているガソリン価格でいうと、2カ月前のピーク時は1ガロン5.02ドルまで行った価格が先週には3.9ドル台まで下落しています。そして7月のCPI、消費者物価指数は、前年同月比で8.5%上昇と高い水準ながら、前月の9.1%からは縮小しています。この流れが続けば、有権者は現民主党政権に対するインフレによる生活苦の怒りを収めていく可能性を見せています。
そして2つ目の人工中絶問題や銃規制問題、まず人工中絶問題については、共和党はそもそもの伝統的な思想が中絶反対の立場で、一方でリベラル派の民主党は中絶賛成との立場で、これはアメリカの保守とリベラルの根本的な思想対立テーマです。これが、6月末の連邦最高裁の、人工中絶の権利が合憲ではない、との判決によって、中絶反対派と中絶賛成派との対立が浮き彫りとなる中で、今、暴力や母体の命が危険な場合の中絶の権利を支持するアメリカ人は85%、そして、全面的中絶禁止を支持するアメリカ人は10%を切っています。
一方でもう一つの代表的な思想対立である銃規制も、共和党は銃の保持こそが個人の安全を守るとの立場ですが、民主党は安全な社会実現の為に銃を規制すべきとの立場で、今年はここまで銃乱射事件が史上最多のペースで発生していますので、こういった人工中絶の問題や銃規制の問題が、今すべて民主党支持に有利に働いていると言えます。
他の要因で言うと、共和党内の予備選では圧倒的に強かったトランプ派の候補達が、民主党候補との決戦でどれだけ勝てるかどうかが不透明であること、そしてもう一つの要因は、過去最大規模の気候変動対策を織り込んだインフレ抑制法案と呼ばれる法案、これ実際の目下のインフレ抑制にはほぼ関係が無い、再エネルギーや脱炭素へのグリーン投資法案ですが、これが8月12日に下院を通過して16日に漸く成立したことで、今までほぼ公約を実現出来ていなかったバイデン大統領がようやく一つ公約実現に向かった、ということ、などなど、この辺りも多少は要因と言えるとは思います。

インフレ問題


いずれにせよ、最大の問題はインフレです。レイバーデイを過ぎてからが本当の勝負と言われていますが、今年は9月5日ですがいよいよ勝負のタイミングです。少なくとも下院は共和党が勝つのではと言われていますが、24年までは現政権で行かねばならないなか、ここまで弱体化したアメリカを少しでも纏めるためには民主党がどこまで善戦できるかどうか、そしてそれには11月までの継続したインフレ軽減の流れが大きなカギとなります。行方を見守りたいと思います。

今回の内容を動画で見たい方はこちら↓


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