ー詩と形而上学ー22.0
白
息継ぎをせずに白の中に潜る
雪、テーブルクロス
グラスの中のミルク
そのどれでもよくて
白のプールでバタフライをする
白い机の角で、ターンを決める
世界の明度が、最大になり
オフホワイトに感光する
脱色して乳白色になった
乾燥した瞳孔で
地上から1000mにある
白兎のような、白い雲を眺める
白い牛乳風呂で鼻をつまんで
3億年、息を止めて
白亜紀の、白い恐竜の
白い骨の柔らかさを確かめる
白に染まる。白、白、白
白を超えた白に、染まる
白い空、白い海、白い宇宙
白い惑星、銀河、それも白
白白白。まばたきをすると、白は消えて
三千大千世界の凡ての色彩が
流体化した絵画の洪水のように
瞬く間に、原色にわたしを染めた
白。それは、つねに、なつかしい
それが、白、ということ
Written by Daigo Matsumoto