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ー詩と形而上学ーNo.39

花束

   


百万通りの感傷が
癖になり
ワイシャツの皺
裸になった襞
唇を通り越して
半音階の♯となった
そのまなざしは
魂の真ん中の
脆弱性を攻撃した


ウォーターハウスの
絵画の濃紺
裸体 
飾ろうとして
極めて透明に
無邪気な無色になった
なにもいらない
革の手帖も
氷点下の陽炎も


たてがみをゆらした
燃える馬を見た
俄に透き通った
凡庸なわたしの血
たっぷりと、お飲み
一際、燃え盛った彼は
暫し、嘶き
蹄の跡を残して
薔薇のように散った


暁光の光束が
いろあせている
それを、丁度いいとも思う
世界に色があったのは
昨日までで
そこに
花束はない
十二度の気温を
絨毯にする


八重歯がのぞくまで
笑わせて
交差点で二人
少し真面目な話をした



Written by Daigo Matsumoto

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