ー詩と形而上学ー7.0
宛先のない祈り /二〇二一年一月十七日
根元からへし折れた
阪神高速道路も
抱きしめようと思う
あの日、親を失った友人は
昨日も遅くまで働いていた
計測不可能なマグニチュード
不可逆的な時間
霊も気化された
活気づいた街の空気
喪失は
息吹でもあり
逆らい得ない宿命であり
しかしながら
遥か前方にある
未来といわれるものを
その手に握りしめる
契機でもある
わたしはきっと、こうなるであろう
未来完了形、前未来形の
希望に似た、予言は
蓋然性の欠片でしかなく
信念の一形態に過ぎなくて
他方
自身への約束として
緩やかにあなたを
導いて
照らして
祝福して
確率論の数理の束を
現実性、事実性に
手繰り寄せる
運命の綱ともなる
もし
運命を与えてくる
世界のすべてが
闇ならば
あなた自身が
太陽になればいい
光で、熱で、光線で
焼やし尽くせばいい
再び大地が
揺れるとき
その震えを生み出すのは
活断層ではなく
あなたの
揺るぎない
その信念なのかも
しれないのだから
Written by Daigo Matsumoto