ー詩と形而上学ーNo.33
この夏のこと
駅前から堤防に向かって歩いたその先にある
カーブミラーに映った黄昏
その、ブルーモーメント
被写体として最適化された
青の導きに身を任せながら
嫋やかな名画を透かしたような
嘗ての時代の肖像画を眺めている
黄色のスケッチブックを一枚破いては
機械的に折り畳んでいる
飛行機として秋空に放したその紙は
螺旋としても楕円としても不十分なまま
何かを語りかけるようにして
東部戦線の戦場で散った兵士の
最後の優しさのような柔らかな着地をした
それは花の冠を探すような手