好きを仕事に。
この言葉を誰しも1度は耳にしたことがあるだろう。もちろん僕も何度も聞いたことがあります。
長年サラリーマンで勤めているおじ様からすると「馬鹿野郎。世の中そんな甘くねえよ。」なんて言いそうな言葉です。
今コロナによって世界中にパンデミックが起こり、就職活動は売り手市場から一気に買い手市場に。もはや新人いるのか?なんて言っている企業さんだってあるぐらいです。そのことによって将来、キャリアへの不安を感じている大学生や若い人は少なくないでしょう。
誰かに相談すると「好きなことを仕事にしようぜ」「フリーランスで自由に」「自分だけのストロングポイントを活かそう」「安定が一番だ」「スキルアップできるところがいいよ」など多様多種なアドバイスが返ってきて、逆に混乱してしまう。
どの考え方も説得力があるけど、「何が正解なんだろう?」と考えれば考えるほど、頭の中がぐるぐるし始めて、思考停止してしまいます。
「好きを仕事に。」
これはAppleのスティーブ・ジョブズがスピーチで言ったことによって爆発的に広まった言葉ですが、似たような考え方はもっと昔の昔から存在していて、儒教の創始者である孔子が紀元前5年に
「自分が愛することを仕事にすれば、生涯で1日たりとも働かなくて済む」
という思想家らしい言葉を残しています。他にも多くの起業家や人気Youtuberなどがこの言葉を多用して、甘言かのように若者の頭の中に刷り込んできます。影響力がある人がいうんだから、このアドバイスに惹かれるというのは当たり前でしょう。
ただ実際のところは、アメリカのギャラップ社が世界の139カ国の企業に調査したところ「熱意を持って仕事に取り組んでいる」と答えた日本人が悲しいことに全体の6%でした。逆に「やる気がない」と70%以上の日本人が答え、世界でも132番目の数値です。
いかに日本人は”仕事”のモチベーションというところに問題点を置き、自分の問題から逃げているのかがわかるような数値だな、と。
仕事観で幸福度は変化する。
2015年ミシガン州立大学の調査で「好きなことを仕事にする者は本当に幸せか?」というものがありました。「仕事観」を”適合派”と”成長派”の2パターンに分けて、研究が始まりました。
・適合派:好きを仕事にしたら幸せだ、と考えるタイプ
・成長派:仕事は続けるうちに好きになるものだ、と考えるタイプ
あなたはどちらですか?
結果は、適合派の方が幸せになれそうなイメージがありましたが、それは最初だけで、1~5年の長期スパンで見た場合、幸福度・年収・キャリアなどの様々な分野で成長派の方が高いという結果が出たのです。
研究チームによると適合派は「自分が情熱を持っている職を探すのがうまいが、実際にはどんな仕事も好きになれない」と言います。
最初は好きでも、ちょっとした人間関係、トラブル、面倒なことが起きて、理想と現実のギャップを感じやすくなり、ぽきっと折れてしまうことが多いのでしょう。結果、幸福度は下がります。
その反対で、成長派は、仕事への思い入れが少ない分忍耐力が高い傾向にあります。トラブルが起きても「仕事とはこんなものだ」と割り切っています。結果、長く続けることができたり、他のところに軸があるため上に上がって、相乗効果的に幸福度は上がったんでしょう。
日本人は「好きを仕事に」の傾向が強いことから、幸福度が低かったり、忍耐力がなかったり、「もっと自分に合った仕事があるはずだ」と無意味な転職を繰り返しがちなのかもしれません。
パパッと辞めてしまったら、自分の中に安定したスキルも付かないですし、使えないままどっかにいく根無し草のような生活になります。若い時はいいかもしれませんが、歳を食っておじさんになったら誰も何も言ってくれません。あるのは大量に繰り返した転職履歴と世間の白い目線です。
天職は偶然の産物だ。
結局のところ、「好きを仕事に。」ではなく、自分が一生懸命仕事をしていたものが好きになることが多い。
僕もそうだが、今の仕事をするなんて考えたこともなかった。いつの間にかこんな感じになっていたと言った方がいい。目の前のことを一生懸命やっていたらたどり着いた境地に近い。今はもちろん情熱を持って、信念を持ってやっている。「仕事への情熱」なんて最初から自分の中に滾る熱い感情とかではなく、”目の前のことを頑張ったら楽しくなってきた”という感覚からくるものだと思っている。
努力量(自分のやってきたこと)= 仕事への情熱、なんだと思います。
その点でいうと、他の同世代よりも仕事はしたな、と自負がある。来る日も来る日も仕事をして、周りが休みでも1年365日仕事をしました。結果、情熱や好きに変わっているだけで、そんだけやってれば愛着ぐらい湧くよねって感じです。
そんだけ頑張れ、って話ではなく、もちろん損切りして次に行くボーダーはあるでしょうけど、もうちょい頑張ってみたら意外とその仕事が天職になる場合もあるよってことです。
仕事を好きに。
仕事というツールがあなたを幸せにしてくれるってよりは、あなた自身があなたを幸せにしないといけません。ツールはあくまでツールなので、それを生かすも殺すもあなた次第です。
ここまでしっかり読んだ人ならわかると思いますが、発信としては、「好きを仕事に。」って言った方が自分は変わらなくてもいいから即効性があって、人は寄ってきて人気が出るのかもしれないけど、
「仕事を好きに。」と発信した方が日本はもっと上を向いて働ける人が増えるのかもね。
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