頭を垂れたくなるような状況の時に、勇気をもたらす1冊―『暗闇のなかの希望 非暴力からはじまる新しい時代』(レベッカ・ソルニット/七つ森書館)

第二次世界大戦後、絶望的と人々が感じる状況は幾度もあった。しかし、本書は、そういった状況の中で、挫けることなく闘い、少しずつでも「前進」を勝ち取った人々の姿を描いている。
印象に残ったのは、15〜16ページに描かれているエピソード。支持してくれる人もほとんどいない状況で、反核兵器運動に立ちあがった少数の女性たちがいたが、自らですら無力感に襲われていた。ところが、後に平和活動家として名をはせるベンジャミン・スポック博士の転機となったのは彼女たちの姿を見たことだった。今現在の行動が、後にどの程度の影響を与えるかなど、誰にも図りえないことを証明している。
ほかにも、様々な人々の地道な行動が描かれている。
個人的には、著者自身の考えすべてに賛同できるわけではないが、困難に向き合ったときに、勇気をもたらしてくれる1冊であることは間違いない。
「暗闇」は絶望ではなく、必ず陽が差してくる限られた状況だということだ。

版元の七つ森書館が事業を清算したこともあって、現在は古書のみでしか入手できず、かなり高価だ。どこが、再刊してくれないだろうか。

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