「売る力」の本質 - 量とプレッシャーが育む説得の磁場-
こんにちは、営業コンサルタントのダイキです。
今回は「売る力」というテーマについて、私の経験と持論をお話ししたいと思います。
営業の世界では、よく「商品知識が大事だ」「顧客ニーズを把握しろ」「競合分析をしっかりしろ」などと言われます。もちろん、それらも重要です。しかし、私はもっと根本的な「売る力」があると考えています。
その「売る力」とは何か?それは、「量」と「プレッシャー」によって育まれる営業の筋力です。
まず、「量」について説明しましょう。
新人営業マンや経験の浅い人には、とにかく量をこなすことが重要です。なぜでしょうか?それは、量をこなすことで「営業マンとしての当たり前感」が身につくからです。
この「当たり前感」とは、「物を売ることが当たり前」「契約になるのは当然」という空気感のことです。優秀な営業マンは、この「当たり前感」を身にまとっています。
私がIT会社で営業していたとき、月間30件の新規顧客開拓というノルマがありました。3ヶ月経っても全く成果が出ず、大型案件をとる戦略に切り替えようとしたときのことです。直属の上司に呼び出されて、こう言われました。
「お前、今の顔で契約が取れると思ってるのか?俺たちがそういう大型契約を取れるのは、その前に中小企業で死ぬほどの契約数を積み上げてきたからだ。」
この言葉は、今でも私の心に刻まれています。つまり、「当たり前感」は一朝一夕には身につかないのです。大量の契約をこなすことで、自然と身についてくるものなのです。
ここで重要なのは、単に数をこなせばいいわけではないということです。そこで登場するのが「プレッシャー」です。
「プレッシャー」とは、「今月やばい」「なんとかノルマ達成しないと」「ここは外せない」といった切迫感のことです。多くの人はこのプレッシャーを嫌がりますが、実はこれこそが「売る力」を鍛える最高の機会なのです。
なぜなら、プレッシャーの中で必死に営業活動をすることで、お客様に「この人なら任せられる」と思わせる「説得の磁場」が形成されるからです。
例えば、起業家がベンチャーキャピタルに投資を求める場面を想像してください。投資家が「Yes」と言うかどうかは、ビジネスプランや財務予測だけで決まるわけではありません。むしろ、「この起業家なら成功に導いてくれそう」と思えるかどうかが重要です。
同じことが営業にも言えます。お客様が契約するかどうかは、商品の良さや条件の有利さだけでなく、「この営業マンなら任せられる」と思えるかどうかで決まるのです。
そして、この「説得の磁場」は、プレッシャーの中で必死に頑張ることでしか形成できません。楽をして、のんびりと営業していては、決して身につかないものなのです。
ここで注意して欲しいのは、「当たり前感」や「説得の磁場」は、意識して演出するものではないということです。それは、数多くの経験と真剣な取り組みの結果、自然と滲み出てくるものなのです。
だからこそ、ベテラン営業マンは一目で「本物か偽物か」を見分けることができるのです。表面的なスキルや知識ではなく、その人が持つ「空気感」で判断しているのです。
では、具体的にどうすれば「売る力」を身につけられるのでしょうか?
とにかく数をこなす
新人のうちは、成約件数にこだわりましょう。たとえ小さな契約でも、とにかく数多く取ることが重要です。それが「当たり前感」を形成する土台となります。プレッシャーから逃げない
ノルマや締め切りのプレッシャーは、チャンスだと捉えましょう。そこで必死に頑張ることで、「説得の磁場」が形成されていきます。真剣に取り組む
ただ数をこなすだけでなく、一件一件を真剣に、全力で取り組むことが重要です。その積み重ねが、あなたの「売る力」となっていくのです。長期的な視点を持つ
「売る力」は一朝一夕には身につきません。焦らず、着実に経験を積み重ねていくことが大切です。自分の「空気感」を意識する
時々、自分の「空気感」がどうなっているか、客観的に観察してみましょう。「当たり前感」や「説得の磁場」が形成されてきているか、確認することが大切です。
最後に、私からのアドバイスです。
「売る力」の本質は、テクニックや知識ではありません。それは、あなたの中に形成される「当たり前感」と「説得の磁場」なのです。それらは、大量の経験と真剣な取り組みによってのみ獲得できるものです。
だからこそ、今日からでも、目の前の仕事に真剣に取り組んでください。たとえそれが小さな案件であっても、プレッシャーがかかる状況であっても、逃げずに向き合ってください。
その一つ一つの経験が、あなたの「売る力」を確実に育てていくはずです。
「量」と「プレッシャー」。この2つの要素を意識しながら、日々の営業活動に取り組んでみてください。きっと、あなたの中に本物の「売る力」が芽生えてくるはずです。
それでは、今日も素晴らしい営業活動になりますように。
営業コンサルタント ダイキ