売らないほうが売れる!?
こんにちは、営業コンサルタントのダイキです。
前回のメルマガでは、営業の基本について触れましたが、今回はちょっと意外な話をしたいと思います。それは...
「売らないほうが売れる」
という、一見矛盾した考え方です。
「えっ!? 営業なのに売らないの!?」
そう思った人も多いかもしれません。でも、実はこれこそが営業の真髄なんです。
では、具体的な事例を交えながら、この不思議な考え方について詳しく見ていきましょう。
■ 押し売りの失敗談
まず、私が新卒で入社したIT企業での失敗談をお話しします。
入社して間もない頃、私は「とにかく売れ」という上司の指示を忠実に守っていました。新規開拓の日は、会社のパンフレットを手に、片っ端から企業を訪問。
「こんにちは! ○○株式会社の△△と申します。弊社のITソリューションについてご説明させていただきたいのですが...」
そう言って、相手の反応も見ずにパンフレットを広げ、一方的に商品説明を始めるのです。
結果は...惨憺たるものでした。
「忙しいんで」と追い返されたり、「結構です」と冷たくあしらわれたり。中には「二度と来るな!」と怒鳴られたこともありました。
3ヶ月経っても1件も契約を取れず、私は自信を失い、このままでは営業に向いていないんじゃないかと悩んでいました。
■ 転機となった先輩の言葉
そんな時、ある先輩から衝撃的な言葉をもらいました。
「お前、お客さんの話を全然聞いてないだろ」
「えっ? でも、商品説明をしっかりしないと...」
「違うんだ。まず相手の話を聞け。相手の悩みや課題が分からなければ、何を提案すればいいか分からないだろ」
その言葉で、私は目から鱗が落ちる思いでした。
確かに、自分は「売ること」ばかりに必死で、お客さんのことを全く考えていませんでした。
■ 「聞く営業」への転換
それからは、アプローチを180度変えました。
まず、お客さんの業界について徹底的に調べ、どんな課題を抱えているかを予習します。
そして訪問時は、こんな風に切り出すようにしました。
「お忙しい中お時間いただき、ありがとうございます。御社の業界では○○という課題があると伺っていますが、実際のところいかがでしょうか?」
すると、お客さんは驚いた表情を見せつつ、自社の悩みを話し始めてくれるのです。
私は、相手の話をじっくり聞きます。そして、その悩みに対して、自社のソリューションがどう役立つかを、具体的に提案するのです。
■ 劇的な成果
この「聞く営業」に切り替えてからというもの、成果は劇的に変わりました。
以前は門前払いだった会社からも、「よく勉強してきてくれましたね」と評価され、商談に進むケースが増えました。
そして、入社半年後には、ついに初めての成約を取ることができたのです。
それからは、どんどん成約数が伸び、1年後には部署のトップセールスになることができました。
■ なぜ「売らない」ほうが売れるのか?
ここで疑問に思う人もいるでしょう。
「でも、結局は商品を売ったんでしょ? どこが『売らない』営業なの?」
確かに、最終的には商品を販売しています。でも、そこに至るプロセスが全く違うんです。
押し売り営業の場合:
自社製品の説明に集中
相手のニーズを考えず、とにかく売ろうとする
結果、相手に嫌われ、断られる
聞く営業の場合:
相手の悩みや課題をじっくり聞く
その課題解決に自社製品がどう役立つかを提案
結果、相手に信頼され、自然と購入につながる
つまり、「売ろう」と必死になるのではなく、「相手の役に立とう」と考えることが大切なんです。
これは営業に限らず、人間関係全般に言えることかもしれません。
自分のことばかり話す人と、相手の話をよく聞いてくれる人。あなたならどちらと仲良くなりたいですか?
きっと後者ですよね。それと同じことが、ビジネスの世界でも起こっているんです。
■ まとめ: 営業の本質とは?
ここまで読んでくださった皆さん、営業の本質が少し見えてきたのではないでしょうか。
営業とは、単に物を売ることではありません。
相手の悩みや課題を理解し、その解決策を提案すること。
そして、その過程で信頼関係を築くこと。
これこそが、営業の真の姿なのです。
だからこそ、「売らないほうが売れる」という、一見矛盾した状況が生まれるんですね。
皆さんも、何かを人に勧める時があると思います。その時は、まず相手の話をよく聞いてみてください。きっと、素晴らしい関係性が築けるはずです。
今回の内容はいかがでしたか? 少しでも皆さんの参考になれば嬉しいです。
次回は「信頼関係の築き方」について、さらに掘り下げていきたいと思います。お楽しみに!
それでは、また次回のメルマガでお会いしましょう。
営業コンサルタント ダイキ