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侍から教わった自分道

昨日の午後に照明のショールーム見学会があった。
チャットに「オフィスから出発する人はエントランスに何時に集合時間してください。」と連絡をして、集まってもらった。
この会を企画したのは僕ではないのだが、3日に分けて行われるため、企画した人に今日の担当をお願いされたのだ。

Googleカレンダーで集まったメンバーを見て、少し緊張が走った。僕以外が他部署の設計グループだったのだ。しかも新しく入社した人も多く、顔と名前が一致しない人がちらほらいる。同じ部署の人、一人ぐらいはいたらよかったのなぁと思いつつ、きょろきょろしてみんな集まったようだったので出発した。目的地は四ツ谷である。

道中、電車に揺られながら、僕と同じく会社歴が少し長いN氏と、入社してまだ半年程のY氏と3人で話していた。話の中でN氏はY氏のことを「侍」と呼んだ。
侍、確かに刀が似合いそうな渋みのある顔。少し細身で体格がよく、髭を生やしている。さらに必要以上に自分のことを語らない。語らないが周りの話に笑って応え、すごく魅力的に感じた。

N氏の話によると醸し出す雰囲気だけでなく、提案する内容も侍っぽいそうだ。
半分冗談で「床の間とか提案するんですか」と聞いたら、本当にするようだ。因みにこの設計グループはビル改修を専門とする。一体どこに床の間を作って提案したのだろう。気になる。提案資料にも筆で書かれたようなフォントを少し使ったりするようだ。

色々と侍エピソードを聞いていて、もしY氏に侍スピリットが詰め込まれたものを提案されたら、お願いしたくなるなぁとその時に思った。自然な個性とアウトプットするものが一貫していると、いいものもよりよく感じる。


ショールームに着いた。
メインはスマホのようなタッチパネルで、ダウンラインやベースライト、間接照明、ペンダントライトを一度に調光調色の操作ができるシステムである。
照明の点滅グループそれぞれで細かく調光調色の設定ができたり、光の色の幅が一般的なものよりも広く、1日の自然光の移ろいを表現できたりもする。植物も光の組み合わせによっては育てることができるようだ。

やっぱり光って重要だよなぁ、と思いながら周っていた。オフィス提案ではわざわざ照明を追加しなくても、もともと設置されているため、減額の対象になりやすい。
だが「照明だけはケチるな」という、ある支店のチーム長の名言は未だ心に残り続けている。
その理由はショールームに来ると明らかだった。

さて、照明は進化を重ねて、植物を騙せるほどの自然光に近いものになれた訳だ。
僕自身も頑張れば侍になれるかもしれない。
大体こういうことを言うと「あなたはあなたでいい」と言われがちで、そうは思うのだが、自分の個性の限界を早々と知ったような気になって、侍のような憧れの存在になることを、すぐに諦めてしまいがちな気もしている。

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