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クールな言葉を設置しておく

サーバー室にたくさんの機器を置く場合は、
個別空調を設置し、業務時間外も稼働できるようにしなければならない場合がある。

感情的になりやすい人間には、
常に冷気を浴びせるような言葉を設置しておくのが無難である。
そんな人間の1人でもある私にも、馬力の高い言葉が設けられている。

深夜残業中、ちょっとしたバグのようなメッセージが送られてくることによって、いかがわしいサイトの広告のように、ポンポンポンポン脳内で怒りが言葉として込み上げ、その言葉を打ち込んで視覚化するとうっすら赤く見える程の熱をおびた文章ができあがり、それを冷静に添削していく。
すると、その文章は熱さからやがて痛さに変貌を遂げていくのである。
そこに少しひんやりした風が、通り過ぎてゆく。
それが「さむいぞ」という言葉である。

熱を帯びた文章を打った後、
自分を社会適合者にしようとするための添削作業は、釘バットの釘を抜いていく作業であり
「そもそもバットで殴るのはいかがなものか」
という根本的な問いかけをするまでには
翌朝までかかる。
どれだけ釘を抜いたところで、
バットが長ければ、痛いのだ。
だからバットも文もがっつり短くする必要がある。

お笑いを見ているとわかるのだが、
欧米か!に代表されるいいツッコミは
とにかく短い。
説明じみた部分があると、
途端にさむくなるのである。
短くスパッと済ませるとかっこよかったり面白かったりするのだ。
返信が長文になったあげく、
「長文になっちゃってごめんね^^;」
と文末におちゃらけて書くようものなら、
とにかく「さむいぞ」。
もう寒くて冷たくて滑ってとにかく後頭部が痛い。

結局それで完成した文章を翌朝冷静に観察して直接話して伝えればいっかとなり、その文章はクールな言葉の風と共にチリになって消し飛んでいくのだ。
「さむいぞ」
いつもこう言って自分を落ち着かせている。
「落ち着け」のときもある。

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