『カワスイ』進化した水族館のキーワードは“環境体験”
ルフロンとは長い付き合いだ。
ルフロンは川崎駅にある商業施設である。僕が生まれた1992年の時には既に存在しており、小学生ぐらいまでは、しょっちゅう家族とルフロンに足を運んでいた。
だが川崎駅の改札口のすぐ近くにラゾーナが2006年にできて以降、改札から少し離れたルフロンにまで行くことが少なくなった。
大型テナントが撤退したりして、大変な時期があったようだが、もはや家電兼トイザらスと化したヨドバシカメラの力もあり、何とか持ち堪えてきた印象がある。
2019年、ルフロンは大幅なリニューアルをして開業。少し遅れるようにして2020年に川崎市初となる水族館カワスイが9,10Fにオープンした。
「川崎に水族館ができた!
しかもルフロンに!」
というのを知った時、個人的には親しみのあるルフロンが、時代に合わせてどんどん変わっていってしまうことが少し悲しくて、それが理由な訳ではないが、なかなか行かなかった。
お前はお前でよかったのに。八重歯みたいな良さがあった1Fのハンバーガー屋も、リニューアルを期に、歯列矯正されてなくなってしまった。他はどんなにいじってもいい、八重歯だけは残しておくべきだったと、あの時のルフロンの面影を知る男は語る。
前談が長くなった。
「赤ちゃんのために、みんなで行こう」という奥さんの提案で、昨日やっとカワスイに行った。オープンしてから3年も経っていた。
ルフロンの顔としてパッチリ二重の役割を果たすべく、誕生したカワスイ。ラゾーナに比べるとそんなに規模が大きくないルフロンに水族館、楽しめるのかなぁと思いつつ行った。
こんな感じで書いた記事って結局「実際行ったらマジでよかった」というフラグが立っているのだが、そう、結構よかったのだ。
水族館は魚を見に行くという考え方は古いのかもしれない。魚だけでなく、周りにある植物だったり、砂だったり、水流だったり、動物だったり、それら全てを環境として感じられる場所になったように思う。行くとその環境に身を投じることになるので、来場者は「魚を見る」ではなく「水辺の環境を体験する」ことになる。カワスイは正にそのような場所であった。
個人的にちょっとこれすごくない?と思ったのが9Fにあるアマゾンゾーン。
9Fと10Fの間のスラブがぶち抜かれて、天井が高く広々としたエリア。天窓から自然光が差し込み動植物を照らしている。天井の露出したパイプに、赤い鳥(ショウジョウトキ)がいるのが、写真に写っているのだが、わかるだろうか。
天井を覆うボードを撤去して、天井内に収まるはずだったパイプや建物の骨組みをあえて露出させるのをスケルトン天井という言い方をする。オフィス設計という職業柄、こういった天井はよく見かけるのだが、その天井に鳥が止まっている光景は不思議に感じた。
実家に帰ったら外国人がいたり、筆箱の中に箸が入っていたりする、そういったいつも見る景色にありえないものがある、そんな違和感であった。
『壊滅的な自然災害によって、人類は滅亡し、都市は動物たちの楽園となったー』
みたいなSF感をカメラを握りながら1人で味わっていた。
奥さんと赤ちゃんは、ズンズンと先に進んでいた。
僕はこの日、水族館に来る目的を一つ見出した。
それは「いっそ都市がぶち壊れてほしい」と思ってしまうほど、仕事に追われ、疲れ果て、自然の癒しをもとめた時にー
書き始めると大袈裟になってしまうのは悪い癖だ。ただ自然を感じたいなって時にまた来ようと思う。
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