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使用者にとって最適な道具を選ぶコツ   ~車いす編 その1~


理学療法士のだいちです。この仕事を始めてから車いすや装具・杖を使用している人とすれ違うと目がいくようになりました。街でもよくみかけますよね。最近はその様子をみながら「どうしてこの道具を選んだのかな??」と考えるようになりました。中には「これは明らかに適していないな」と思うことも少なくありません。皆さんは使用者にとって最適な道具を選べていますか?​

道具選びは大切

選ぶコツ (5)


 以前患者さんに「退院したらどのような車いすを使ったらよいですか?」と聞かれたことがあります。入職3年目の私はその場で上手く答えられず悔しい思いをしました。当時の私は患者さんが日常的に使用している道具に対して深く考えられていませんでした。しかし、考えてみるとリハビリで患者さんと接する時間は1日のうち長くても1時間。一方で車いすに座っている時間はその何倍にも及びます。1時間でどれほど良いリハビリを提供できたとしても車いす上で不良姿勢になっていれば身体はどんどん悪くなっていきます。身体に合わない車いすを使用すると

1.姿勢が悪くなる

2.部分的に圧力が集中しやすく褥瘡などのリスクが高くなる

3.安定性が悪くなり疲れやすい

4.動きにくい(駆動や食事など)

などの悪影響が生じます。これらを予防するためにも使用者に適した車いすを選ぶことが重要になります。この考え方は徐々に広まっています。
2017年からは「シーティング」で疾患別のリハビリが算定可能となりました。以下厚労省での質疑応答の内容です。

いわゆる「シーティング」として、理学療法士等が、車椅子や座位保持装置上の適切な姿勢保持や褥瘡予防のため、患者の体幹機能や座位保持機能を評価した上で体圧分散やサポートのためのクッションや付属品の選定や調整を行なった場合に、疾患別リハビリテーション料の算定が可能か。
 
算定可能。この場合の「シーティング」とは、車椅子上での姿勢保持が困難なため、食事摂取等の日常生活動作の能力の低下をきたした疾患に対し、理学療法士等が、車椅子や座位保持装置上の適切な姿勢保持や褥瘡予防のため、患者の体幹機能や座位保持機能を評価した上で体圧分散やサポートのためのクッションや付属品の選定や調整を行うことをいい、単なる離床目的で車椅子上での座位をとらせる場合は該当しない。
引用元:厚生労働省HP

また、2019年には日本シーティングコンサルタント協会がシーティングのガイドラインを掲載しています。
このように、近年、車いす上での姿勢を適切に保つことが重要だと認識され始めています。
『リハビリ時間には良い姿勢が保てるけど、次にみるときは元に戻っている』『訪問リハビリや通所リハビリで時間をかけてリハビリを提供できない』と思っている方は使用者に最適な車いすを選択することで問題が解決するかもしれません。

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