見出し画像

事後報告(愚痴)は困ります

工務店を営む一級建築士ですと、
自社が係わっているお宅もそうでないお宅でも、なにかと家に関する話題を振られる機会が多くなります。

仕事につながるようなご相談はもちろん、
仕事につながらなかったとしても前向きな話題なら大歓迎なのですが、
時々、後ろ向きなお話しをされることがあります。

返答に困った事例についてお話ししたいと思います。


■そう言われましても・・・

1 思っていたよりも大ごとになってしまった

ちょっとした工事のつもりだったけど、プロによくよく話しを聞いてみたら大ごとになりそうだった、
というご経験はあると思います。

家のことを詳しく理解していないと、色んなことを見通すことなんて出来ませんので、そのような事も十分起こり得ると思います。

しかし、困った話の内容は、
大ごとになることが工事の終盤になって分かったということでした。

工事を進めていくうちに、
あれもこれも、そこもここも、と工事が拡大し、想定外の請求額になった、
というお話しでした。

確かに、リフォーム工事の場合には、
工事前(解体前)の段階で、中身の劣化具合などを全て見通すことは難しいことは良くありますが、あれもこれも、ということはごく稀だと思います。

ちゃんと、現地調査をして、打ち合わせをして、見積りをして、契約して、いけば、それ以降に想定を大きく超える変更は起こりづらいとは思うのですが、きっと、余程のイレギュラーがあったのでしょう。

その話を聞き終えた私の返答は
「大変でしたね」
が精一杯でした。

打合せの内容も経緯も工事の内容も分かりませんので、
良いも悪いも分かりませんし、
そもそも他社のことなど分かりようもありませんので、
返答を求められると困ってしまいます。

例え、他社施工のリフォームのお話しでも、その方がご満足なさっているのであれば、
「良かったですね。いい業者さんと巡り合ったのですね」
などと多少はお話しを膨らませられるかもしれませんが、後ろ向きのお話しになると、途端に次の言葉が出てこなくなります。

私に話すことで、多少でも気分が晴れれば幸いですが、その分のモヤモヤをしばらく私が引き継ぐことになります。

2 すぐにダメになってしまった

新聞を購読されているご家庭では、キッチン、浴室、トイレなどの水まわりリフォームに関する折り込みチラシが毎日のように入ってきますし、インターネットでもちょっと検索するだけ(場合によっては検索しなくても)星の数ほどリフォーム業者のホームページが見つかると思います。

その中から業者を選定していく過程で重要となってくるのが「価格」だと思います。
最高値を選ぶ方は多くは無いと思いますが、最安値も怖いと感じる方も多少はいらっしゃるかもしれません。

見積り内容をしっかりと把握できていれば、価格の理由も分かってくるので価格での比較が無意味であることに気が付くのでしょうが、たくさんの相見積をしていると比較は大変ですよね。

そんなこんなで、
金額比較のみで実施したリフォームの結果、
①想定外の短期間で不具合が発生
 ↓
②リフォーム会社に修理依頼
 ↓
③リフォーム会社の下請けが修理対応
 ↓
④短期間で不具合発生
 ↓
②に戻り、しばらくループ後、連絡が取れなくなる・・・。

実際のリフォーム工事を行わない営業窓口のみの会社に依頼したそうで、施工は下請け(または孫請け)が行っていたそうですが、材料が悪かったのか、工事が悪かったのか、よく分からないまま解決せずにいるそうです。

当然、弊社が係わることが出来ないので、お話しを聞いても「大変でしたね」がここでも精一杯の返答でした。

他人が行った工事の後始末は誰しも嫌ですよね。
きっと、ちゃんと直すには、直しではなく、
全て壊してやり替えることになるでしょうから。

3 屋根に上がらせてしまった

最近でも頻繁に報告が来るのが、
突然、乗用車にハシゴを積んだ業者風の人が訪問してきて、「屋根がおかしい、異常がある」などと言い、頼んでもいないのに自宅の屋根に上がって点検しますと話しを進めようとしてくる事例です。

未だにそんなことをやっている業者はたくさんいるようで、
車を運転していると、明らかに作業車両ではない普通の乗用車にキャリアーを設置して、無理やりハシゴを載せて走っている様子を良く見かけます。

それらの車両が全てそうとは言いませんが、
本当のプロは脚立など、車両内に入る工具を乗用車に載せている事はありますが、ハシゴをわざわざ普通の車両に載せて行くことは非常に珍しいことのような気がします。

前置きはさておき、
そうしてやってきた怪しげな人間を何の疑いもなく、屋根に上げてしまう方がまだまだいらっしゃいます。

【オレオレ詐欺】に今でも引っ掛かる方がいるのと同じなんだと思います。
人が良いというか、疑うことを知らないというか、
とにかく、屋根に上がらせたらアウトです!!

住人の目が届かない場所で何をされているかが分かりませんので、
この後の対処方法としては、

  1. そのまま何もなかったことにするか

  2. 屋根を全面的に改修するか

のどちらかになると私はご説明しております。
なぜなら、怪しい人間が上ってしまった後の屋根はどんな隠し要素が追加されているかが分からないので、結局は全面的に直す以外には安心できないからです。

絶対に上がらせたらダメです。

■最後までお読みいただきありがとうございます

カウンセラーのように良くお話しを聞いてあげて、解決に導くことが出来れば良いのですが、残念ながら私では家を造る以外では役に立つことが出来ません。