図面を見ていないらしい
建築において、最も重要な情報源は「図面」です。
昔のように、現場の全てを把握している棟梁がつきっきりで現場が動いていた時代ならともかく、
現代では、図面が全てと言っても過言ではありません。
しかし、
現場で図面を見ている人、図面を理解できる人が少ないって本当ですか?
■現代人は紙を見ないらしい
1 取扱説明書を読まないらしい
携帯電話と言えば、スマートフォンですが、使いこなせていますか?
難しいというよりも、機能が多すぎてなかなか使いこなせていませんが、
そんな多機能、高性能な機器を扱うのに、取扱説明書に目を通さない方多いそうです。
取説を見なくても、以前からスマホの操作に慣れているなら、機種が変わっても操作しているうちに使い方が分かってきますが、全くの初心者やガラケーからの機種変更した方なども目を通さずに使い始め、使い方が分からずに携帯電話ショップに駆け込んでくる方が多いそうです。
ですから、ショップはいつも込み合っているみたいですね。
確かに、機種変更や契約内容の変更などで用事があっても、予約なしでは対応してくれないことが多いのは、そういう訳もあるのかもしれません。
高性能で高額な機器を操作方法の基本も知らずに使い始めてしまうなんて、しかも、インターネットがつながっていて、かつ、お金や個人情報などの重要なものまでありとあらゆる資産、情報が流出してしまう可能性があるものを使い方をした図に扱うなんて、怖いとは思わないのかと、その度量の大きさに驚かされます。
2 本や新聞が売れないらしい
活字と言えば、書籍、雑誌、新聞などの紙媒体ですが、
どこの情報を見ても、売り上げが下がってきているという情報ばかりです。
ここ数年で休刊、廃刊となった雑誌も多いですよね。
読書が趣味である私で考えても、
昔と変わらずに紙でも読みますが、スマホでも読むようになったので、紙を購入する機会は確かに減りました。
住宅を設計する上で
「本棚をどうしようか?」
ということがテーマとなることが良くありましたが、
今後は本棚が無くなっていくでしょうね。
3 図面を読めないらしい
別に紙媒体を読まなくなったり、活字離れが進んでいたり、
するということは全く関係が無いと思いますが、
建築現場では、図面をしっかりと見ることが出来る人材が減ってきているそうです。
誰かが指示した通りには作業できる作業員はたくさんいても、
図面を見て、現場の状況を見て、他業者と連携しつつ、適切に現場を管理、進行させていける人材が不足しているそうです。
昔で言う「棟梁(とうりょう)」、現代では「現場監督」です。
少子高齢化と人件費を極限まで落とそうとし続けてきたこともあって、深刻な人材不足が進む建築業界では、未経験者でもごく短時間で現場で作業できるように分業化が進んでいます。
そのため、図面を見ずとも、口頭などで指示されたことをただひたすらに同じように繰り返すだけの業種が増えつつあるような印象があります。
そのため、そこで経験を積んでいっただけでは手先の技術だけしか育たたないので職人が生まれず、職人が生まれないのでその先の現場が分かる管理者が生まれない、という悪循環が進んでいるような気がします。
逆に言えば、
自分で現場を見ることが出来る人材は引く手あまたのようです。
ただ、
名目上の棟梁や現場監督はいくらでもいますが、本当に必要な人材がすでに不足してきているようなので、年齢的にいつまでそうした人材がこの業界に残っているかは想像したくない状況です。
4 図面に書いてあることが全てと言う意識
昔のように棟梁がつきっきりで現場を進めていた時代は、お客さんとのやり取りから現場の全てを把握している棟梁がいつも現場にいるので、図面が無くても現場はスムーズ、かつ、質の高い作業が行うことが出来ましたが、
現代ではそもそもつききっりで現場を進めることは余程の大規模現場でもない限りは常駐していることはありません。
そのため、現場を円滑に進めるために図面等の現場資料の重要性が格段に上がっています。
だから、図面を描く側も読む側もそのことを意識していなければならないと考えます。
現代では、紙の図面だけではなく、スマホやタブレットなどにデータとして資料を持ち歩く時代になりましたが、私はまだ、小さい画面で図面を確認することに慣れていないこともあって敬遠していますが、現場からも紙の図面が消えつつあります。
1枚の図面があれば、現場にいる全員が情報を共有できた時代から、
一台一台別々の機器(一定以上の機能を有する)を所有していないと情報共有が出来ない時代のどちらが便利かは今のところ私には判断できませんが、もう少し時代が進んで国民全てがそうしたツールを手にするようになれば、瞬時に情報をやり取りすることも出来るようになるかもしれません。
技術がいくら進歩しても、使う人間次第ということは変わりません。