家庭用太陽光発電をメリットデメリットで考えるのはもったいない
太陽光発電とは
ご家庭用の太陽光発電システムで言えば、
皆さんもご存じの屋根の上に太陽光発電パネル(黒光りしたパネル)を乗せて発電する仕組みです。
太陽の光で発電した電力は直接ご家庭では使用できない電力(直流)なのですが、パワーコンディショナーと言う装置でご家庭で使用できる電力(交流)に変換することで使用したり、電力会社に売電したりすることが出来ます。
太陽光発電のメリットとは
それは、電気を自宅で発電できることに尽きます。
自宅用に使用したり、売電することで電気料金の削減につながります。
(設置する容量や環境、地域にもよりますが)
10年~20年の使用により、設置費用分以上の削減も実現できるケースもございます。メガソーラーではありませんが、投資的な観点から見ても、魅力はあるのではないでしょうか?
また、停電時などの非常時に電気を使用することが出来るのも魅力ですよね。
※太陽光発電が設置されていても、停電時には通常設置されている壁のコンセントや照明器具などは使用できません。太陽光発電システムの機種などにもよりますが、非常用コンセントで1500Wまでの使用が可能です。
太陽光発電のデメリットとは
それは、設置費用が掛かるということです。
以前よりは価格が下がってはきましたが、初期費用として安いものではございません。
新築時では、住宅の価格にプラスされますので、その分、お借入額が増額されます。
また、初期費用の他に将来的にはメンテナンス費用が必要であることです。
電化製品で、かつ、屋外設置なので、必ずメンテナンスが必要となります。
太陽光発電のメリット・デメリットを比較して
コスト面では、将来的にはプラスになることが多いので設置することはオススメです。
環境面でも、化石燃料や原子力発電に頼らない発電方式は将来の地球のためにも良いと思います。
太陽光発電を設置する際の注意点とは
こう考えると、予算さえ合えば、設置一択にも思えますが、
工務店目線で言わせていただければ、
「新築の時は」
と言う文言を追加します。
新築の際には、太陽光発電パネルが屋根の上に載ることを想定して躯体を設計できますが、既存の住宅はそのように設計されておりません。
また、新築時は屋根も新品ですが、既存住宅の屋根はすでにある程度の経年劣化が発生している屋根の上に載せますので、屋根等の損傷を早める可能性やその後の屋根メンテナンスのしづらさも懸念されます。
特に新耐震基準以前に建てられた屋根自体の重量が重い湿式(土葺き)の瓦屋根などに、補強することなく載せるのはあまりお勧めしません。
耐震性を考慮すれば、屋根は軽くした方が有利になるのに、更に重くするというのは建築士として推奨出来ません。
もしも、そのような屋根の住宅に設置をご検討するのであれば、屋根の改修とセットで実施されるのが望ましいと思います。
今後の太陽光発電を取り巻く環境とは
東京都では、
2022年12月15日に開かれた都議会の本会議において、
2025年4月から都内に新築される住宅(大手ハウスメーカー)に太陽光パネルの設置を義務化するための条例の改正案が成立しました。
今後は東京都に倣い、全国でも同様の動きが広まっていくと考えられます。
今後は、新築時に太陽光発電を設置するかどうかだけではなく、将来的な設置も視野にした住宅設計が求められると考えられますので、屋根の形状や向きなどの設計、構造設計、蓄電池の設置場所、などもある程度想定しておくと共に、新しい創エネ設備の動向などにも注目していかねばならないと思います。
個人的には、あまり屋根に重いものを乗せたくないので、更なる軽量化を図っていただきたいのと、屋根以外への設置、再生可能な素材への転化、などを開発していただきたいと願っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。