木はそのままでは使えません
日本には国民の多くが花粉症で苦しむほど多くの杉の木がありますので、
日本の木材資源は膨大にあるのでは?
と思っている方も多いと思います。
しかし、手入れされていない畑の野菜が美味しくない、または、食べられないように、手入れされていない山や森の木たちは木材として品質が低かったり、木材として使うことが出来なかったり、するので木材資源にはならない山林が多いのが現実です。
木って何でも使える訳ではないのです。
■先入観、思い込みは資源を無駄にする
1 木は再生が可能な資源
割り箸や爪楊枝などの木を原料とした消耗品を見て、
「森林を破壊するな」
「環境破壊だ」
と言う論調が高まった時期がありました。
MY箸を持ち歩くことが環境へ配慮しているかのような行動に見えたのでしょうね。
冷静に考えれば、
そのMY箸を製造する際に使用する資源、排出するCO2のことや、洗う際に排水した水を浄化するのには消毒やエネルギーを使用しますので、どっちが環境にいいかは瞬時に判断できないとは思いますが、印象としては、割り箸を造るために森を破壊しているように思う方もいるのかもしれません。
しかし、木は植林すれば、また再生します。
むしろ、利益を生む資源であるから再生する費用を捻出することが出来ますので、割り箸を含めた木製品が造られないのであれば、森は管理されず荒れ果ててします。
管理されていない森がどうなっていくかは調べればすぐに分かります。
2 木を余さず使い尽くす
木材は建築の材料として製材した残りも割り箸などの小形の製品の材料として使用できます。
また、製材した際のおがくずも固めれば、薪ストーブなどの燃料としても活用できます。
そうして使い尽くしていけば、1本の木が様々な商品に生まれ変わり、産業として成り立っていくことになります。
割り箸を1本作るために1本の木を伐っている訳ではなく、伐った木をどのように無駄なく使うかを考えているというのが実際に行われていることなので、それって環境に悪いことだとは私には到底思えません。
逆に、省エネと言われている太陽光発電設備を設置するために広大な山林を伐採していることの方が余程環境破壊なのではないかと私には思えてしかたがありません。
■伐った後の流れで木材の質が変わる
1 建築木材は乾燥が命
木の名産地で伐採された木材であっても、伐ったばかりの木は大量の水分が含まれています。
それを乾燥させることで建築木材として使用できます。
しっかりと乾燥させていない木材を使うと、家が完成した後に木が乾燥していく中で変形を起こし、様々な不具合を生じることになってしまい、住宅の品質が著しく低下する可能性があります。
乾燥方法には自然の力で乾燥させる自然乾燥と、
木材用乾燥機で人工的に乾燥させる人工乾燥があります。
エアコンなどの空調機器が無かった大昔は乾燥が甘い自然乾燥の木材を使用しても、家に隙間も多かったこともあって、木材の乾燥も緩やかで大きな不具合にまで発展しませんでした。
しかし、現代では、隙間が少ない住宅にエアコンなどで急速に温度湿度を変化させてしまう為、木材の乾燥も急激に進んでしまう為、変形なども大きく発生するケースが見られるようになり、家の工事前にいっての含水率まで乾燥させる人工乾燥が普及しました。
木材乾燥として主流となった人工乾燥ですが、人工乾燥においてもどのくらいまで乾燥させるかなどによって品質が変わってきます。
2 乾燥した材料の加工は機械が行っている
昔は木材の加工は大工さんたちが行っていましたが、現代ではプレカット工場で機械が加工していることがほとんどです。
代々大工業を営んできた弊社でも新築現場で使用する木材は機械加工の材料を使用しています。
その方がコストも時間も抑えられ、また、加工の精度も高いからです。
昔は現場の作業と同じくらい作業場で木材を加工している時間がありましたが、現代では新築に携わっている大工には加工場、作業場はほとんど必要なくなってしまいました。
弊社では、リフォーム現場で使用する材料たちを加工するために、変わらずに稼働してくれています。
3 建築物は造り手で良くも悪くもなる
材料が悪くても、腕が良ければそれなりには納められます。
しかし、
材料が良くても、腕が悪ければ納まりが悪くなります。
最終的に現場で揮われる腕の良し悪しによって、現場の質は大きく差が出てしまいます。
技術者不足の現代では、
何とか現場の質を保とうと、現場での作業を極力減らし、また、マニュアル化し、技術を必要としないような環境作りが進んでおりますが、ロボットで全て現場が進むにはまだ時間が掛かりそうです。