うなぎ食中毒事件で考えたことの話
下記ニュースはご存知でしょうか。
横浜市の百貨店で土用の丑の日に販売されたうなぎで集団食中毒が発生した。
下痢、嘔吐などを訴える体調不良者が161人にのぼっており、うち90代の女性が死亡した事件です。
保健所によると黄色ブドウ球菌が原因菌とされ、うなぎ製造に従事した従業員は、
①手洗いが不十分
②手袋未着用
③手傷のチェックなし
が観察され、保健所から指導を受けたとのこと。
①手洗いが不十分
黄色ブドウ球菌は約40%の健康な人が保有しており、手荒れ等の傷口、鼻腔内、皮膚等に存在します。
黄色ブドウ球菌自体に害はなく、増殖することで産生する毒素(エンテロトキシン)が悪さをする毒素型食中毒です。
手洗いは石鹸をつけ30秒以上行うことで一定以上除菌可能(殺菌ではない)なため効果的であり、アルコール(殺菌)と組み合わせるとより効果を発揮します。
②手袋未着用
人は1時間に20回以上顔や髪を触ってしまうと言われています。
どんなにキレイに手洗いを実施したとしても、無意識で顔等に触れてしまえばリスクがあります。
手は感染経路の代表です。手荒れがなくても手袋を着用し、顔を触らないように注意し合いながら作業することは効果的です。
③手傷のチェックなし
手荒れがある従業員は手袋着用を必須としている作業工程に従事させるなど対応するため、工場(厨房)入場前に外傷、体調の確認は効果的です。
また記録を残すことはHACCPの基本であり、今回のような食中毒が発生した際に原因特定、再発防止策の重要な判断材料となります。
増やさない対策(素早い冷却)の情報は記載されていませんが、黄色ブドウ球菌は増殖しないと毒素を産生しないため、温度管理にも不備があったのではないかと考えています。
土用の丑の日で増産体制だったと予想され、
慣れない作業者、大人数を管理する経験の浅さ等も影響したのではないかと考えます。
食品会社はイレギュラーな対応を行うときこそHACCPの基本に立ち返り、リスクを考えて効果的に低減処置を行うよう意識し取り組まれると良いでしょう。
私も気をつけたいです。
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