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【資格取得】08_ギリ合格しました!

試験勉強をはじめてから、半年が過ぎようとしていた。

まだうす暗い朝、連日の深夜残業と勉強で疲れ果てた脳細胞にムチを入れるためのレッドブルとラムネをカバンに潜ませて足早に試験会場に向かった。

予定時刻より少し早めに到着した試験会場の前では、資格学校のスタッフが派手なシャカシャカのジャンバーを着て懸命にビラを配っている。

無意識に受け取ったビラには気の早い回答速報のお知らせと「最後の一問と解説」が。

まさかの苦手分野で心なしか不安になり、カバンから頼みの綱のレッドブルを取り出して一気に飲み干した。

ラムネをポリポリ食べながら苦手分野をまとめた自信作のノートを見返すものの緊張からか内容がまったく頭に入ってこない。

レッドブルの空き缶を捨てるゴミ箱を探したが、どこも『ゴミは各自でお持ち帰りください』の張り紙。まさか、ジュースの空き缶を持ち帰る羽目になるとは…。
フタ付きのペットボトル飲料を選んでおくべきだったか。もうどうにでもなれ、なんて開き直って自分の席についた。

壁ぎわの一番うしろ、集中できそうないい席だ。

試験官の説明が始まった。

説明をマジメに聞けば聞くほど、暗記した知識が抜けていく気がした。

試験はあっという間に終わった。

手応えあり。

ほくそ笑みながら帰路に着いた。

試験会場から最寄駅に向かって、信じられないほど多くの受験者がまるでダムの放水のように同じ方向に流れていく。

こんなに大人数が乗ってもびくともしない歩道橋を設計した人は素晴らしい。

帰宅後、夕食を食べ終え、MacBookを開いて意気揚々と試験学校の解答速報ページにアクセスした。

いやな汗が止まらない。

自己採点の結果は意外と低く、合格予想範囲のちょうどまんなか、ボーダーライン。

もうどうあがいても結果は変わらないと自分に言い聞かせるものの、マスクで曇るメガネと同じくらい、合格発表までの一ヶ月半はなかなか晴れない気持ちで過ごした。

年が明け、とうとう合格発表日を迎えた。

年末年始、神様仏様にあれだけ丁寧にお祈りしたんだから大丈夫。

おそるおそる合格発表をみる。

小さな文字の番号が無機質に詰め込まれた合格者一覧の左上に、私の受験番号がぽつんとあった。

合格点ギリギリ…、心の中で叫んだ。
神様仏様、そしてレッドブル様にラムネ様、本当にありがとう…!

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錫斑 大_Dai SUZUMURA
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