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ミュージカル「イン•ザ•ハイツ」圧巻の歌とダンスから届いてくるもの

アメリカのミュージカル映画
「イン•ザ•ハイツ」を観ました。

アメリカ、ニューヨークのワシントンハイツに住むドミニカ共和国からの移民の街に住む人たちのお話し。

アメリカって移民の国って言われてるけど
ちゃんと恥ずかしながら
興味を持って調べたことがなくて
この陽気な明るい
ダンスと音楽とラップとノリとフラッシュモブの陽気なドミニカンな人たちに惹かれて
ちょっと調べてみました。

前置きになるけど移民の話し

昔昔、北米大陸とアジア大陸の一部は、繋がっていて、そのアジア大陸から狩猟しながら
一部の人たちが北米大陸に渡って来たのが始まりらしいです。
その人たちが先住民族。
学校で習ったコロンブスのアメリカ大陸発見で
インド大陸を発見したとコロンブスが勘違いして先住民族のネイティブアメリカンのことをインディアンと呼んだことから始まるらしい。

今更だけどインディアンの容貌がどうして黒髪黒目なんだろう?と昔から思っていましたが
やっとわかった気がします。

ヨーロッパで飢饉が起きてたくさんの英国やアイルランドからの移民がアメリカに押し寄せたこと。その後のヨーロッパからの移民の多くにより白人、英語圏の人たちがアメリカの中心社会を作り、その後、世界中の移民の人たちが集まってくる。
その中でも無理やりに奴隷として労働力の為に連れてこられたアフリカ系の黒人たち。
アジア圏の人。
ヒスパニック系の人。
人種のるつぼと呼ばれているはずですね。

そんな移民を先祖に持つアメリカで生まれたアメリカ人たち。
そして今でも不法入国や合法入国で増え続ける移民の国アメリカ。

ウスナビとバァネッサ

今回の舞台はその現代のニューヨーク
ドミニカ共和国からの移民の多くが住んでいるワシントンハイツ。

物語の始まりは、さながらドミニカ共和国のような南海の島の海辺のほとりで
可愛い子供たちに囲まれたお店で
昔語りをしているお店のオーナー、ウスナビのお話しから始まります。

ウスナビの名前は、ドミニカ共和国から移民としてアメリカにやってきたウスナビのパパが
軍艦の横にUS NAVYという文字を見たところから付けられた。物語はちょっとの過去から始まります。ウスナビは、このワシントンハイツでコンビニを従兄弟のサニーに手伝ってもらいながら経営していて
従兄弟のサニーは、親が不法入国して来たので不法入国2世としてアメリカでの在留資格がない。

彼が片思いしているのは美人のヴァネッサ。
ワシントンハイツからもうすぐダウンタウンに引っ越しをするお店に
美容師兼ネイリストとして勤めてる。
でも彼女の夢はファッションデザイナー。
ヴァネッサはめちゃめちゃダンスが上手くてモテる。
町のパーティで次々と男性に誘われて踊るシーンが圧巻。もうキレが半端ない。

ニーナとベニー

もうひとりの美人は、ニーナ。この街出身の希望の星。

みんな陽気で前向きで音楽とダンスを愛して楽しく暮しているけど、貧しい。
働いていても生活が厳しくここでは生活できないと出ていく人も多い。

ニーナは幼い時からみんなに愛されていて優秀で努力もできる人。
結果が出せてスタンフォード大学に入学出来た。

でも大学で待っていたのは
エリートの白人社会でした。

ドミニカンの彼女は、マイノリティ。
いろんな意地悪や辛い目に遭って、
街のみんなの愛や希望、両親からの深い愛情をたっぷり受けて育った彼女は自信を失くし挫折。

この貧しい街で交通センターを経営しながら学資を出してくれるパパに
これ以上負担をかけたくないと、大学を辞める決意で街に戻って来ます。

ニーナに憧れているのはこのセンターに勤めているベニー。彼はこのヒスパニック社会には、珍しいアフリカ系アメリカ人。

ベニーはアナウンスしながら交通整理をしています。でもこれが全部歌うようなラップ。

ミュージカルはセリフの中に音楽が溶け込んでそこにダンスがある。春馬くんは、セリフだけで気持ちを伝えきれない時は、歌でダンスでとキンキーブーツの時に言っていましたが、
インザハイツの中にはそれが、言葉じゃなく
ラップのリズムで、言葉がフラッシュモブで、
群衆ダンスでと、どんどん拡がります。

アブエラ

街にはキューバからの移民で自身、子供を持たなかったけれど、街のみんなのお母さん。
年老いたアブエラがいます。

アブエラのお母さんは、言葉も話せないキューバ人としてアメリカに来たので大変な苦労をしながら、このアメリカ移民社会で生活してきました。アブエラはそんなお母さんを見ながら育ち、年老いました。尊敬と愛を集めているみんなのお母さんアブエラ。

このアブエラが街の一斉停電で3日間電気が止まるなか、扇風機すら動かせない暑さと持病で真っ暗の中、自分の苦労した一生を振り返りながら自宅のベットの中で亡くなります。

インザハイツの目指すものとウエストサイドストーリーの違い

インザハイツは、陽気なヒスパニック系アメリカ人が歌い踊り、仲間との熱いコミュニティを作り、貧しいからみんなが助け合って
肩を寄せあいながら生きていく喜びを伝えていく映画ですが、アメリカ移民の歴史の一部。

その移民みんながそれぞれに自分のルーツを抱え、それぞれの違いを尊重しながら
時に敵対しながらそれぞれを許しあい
励ましあって日々生きる喜びを歌っているところが同じ名作と言われ、その素晴らしいダンスと歌と愛で歌い上げる悲劇の名作ウエストサイドストーリーを彷彿させました。

スピルバーグ監督のリメイク版
ウエストサイドストーリーも
映画館に観に行きましたが
比較できるものではないと思うのですが
同じアメリカ移民社会が舞台なふたつの名作の
どちらが好きかと言われたら

わたしはインザハイツをあげるでしょう。

なぜかと言えば、
わたしがハッピーエンドが大好きだから。
そしてインザハイツの世界では違いを認めて許しあいたいと願っているから。

ニーナを通して伝えたいこと

退学することを決めていたニーナは、ハイツのスパニッシュ社会の中で疎外感を感じながらアフリカ系移民として仕事を頑張るベニーのことが好きになり、
苦労してこの社会で生きてきて亡くなったアブエラや自分の両親のように強く生きていくことに気づき「わたしはこの街から出ていくつもりでスタンフォードに行ったけれど、本当はスタンフォードから、この街に戻ってくる為に、大学に行ったのかもね」とお父さんに言います。
サニーのような不法入国2世の人権を認める側の人になることに目覚めたようでした。

それを聞いたパパの言葉が
とても胸に落ちました「そうだ。何回パンチされてもリングは、降りちゃいけないんだ」

アメリカ社会の強さは、ここなのかもしれません。故郷のルーツを持ち、そこから新しい世界を目指し、何回パンチされても起き上がって、前へ進んでいく。

長くなりましたが、最後に。

インザハイツは、暑い夏に観ると余計に熱くるしくなる映画でしたが、観終わると
シャワーを浴びたようにさっぱりして
頑張ろ!という気持ちにさせてくれる映画です。

これは春馬くんきっと好きだったろうなと思っていたのですが、やっぱり好きだったようでした。だよね。

素敵なちょっとしたエピローグがあるので
映画のエンドロールが終わるまで
長いけど待って観て下さいね。
ここがインザハイツの真骨頂です。


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ろーず
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